ALVAS JOURNAL

一兆ドルコーチ(エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル著/櫻井祐子訳 2019年 ダイヤモンド社)~人を育てて成果を出す、最強リーダーの教え〜

こんにちは。荻原です。

営業の仕事は、数字だけでなく“人”に向き合う機会の多い仕事です。
後輩やチームをまとめる役割を担うようになると、「どうすればこのメンバーが力を出し切れるのか」と悩むことも増えてくるものです。

本日は、そんな時にぜひ手に取っていただきたい一冊、『一兆ドルコーチ』をご紹介したいと思います。

この本は、グーグル、アップル、アマゾンといった世界的企業の経営者たちを支えた伝説のコーチ、ビル・キャンベル氏の教えをまとめたものです。著者は実際にビル・キャンベル氏から指導を受けた元グーグルCEOのエリック・シュミット氏をはじめとする3名で、非常にリアルで実践的な内容となっています。

 

目次

    1. 相手を成功させることが、自分の成功につながる


    ビル・キャンベル氏の教えの中で最も印象的だったのが、「人は高みに登れば登るほど、自分が成功するためには他人を成功させることがますます必要になる」という考え方でした。

    これは営業の現場を見ていても本当によく感じることです。特に、トップセールスの方を見ていると、自分の数字だけを追っているわけではないと感じます。
    同僚が困っているときに自分の経験を惜しまず共有したり、お客様の成功を心から願って提案したりしているのです。

    例えば、私が以前所属していたチームでも、最も成績の良い先輩が新人メンバーのために時間を割いてロールプレイングに付き合ってくれることがありました。

    一見すると自分の営業活動の時間を削っているように見えますが、結果的にチーム全体の底上げにつながり、その先輩自身もより大きな案件を任されるようになっていました。

    2. 安心して発言できる環境の大切さ


    ビル・キャンベル氏が特に重視していたのは、メンバーが恐れることなく自分の意見を言える環境作りでした。

    グーグルの大規模な調査では、成功するチームの最も重要な要素として「心理的安全性」が挙げられています。これは、失敗を恐れずに挑戦でき、率直な意見交換ができる環境のことです。

    営業チームでも、この環境があるかどうかで成果が大きく変わります。
    新しいアプローチを試して失敗したときに「なぜそんなことをしたのだ!」と責められるチームと、「どんな学びがあったか」「次はどう活かせるか」を一緒に考えてくれるチームでは、メンバーの成長スピードが全く違います。

    また、個人の成果も大切ですが、チーム全体の目標達成を意識することで、お互いに協力し合える関係が生まれます。実際、成果の高いチームほど「個人よりもチームの利益を優先する」メンバーで構成されているという研究結果もあります。

    「最近、メンバー同士で率直なやりとりができているか?」
    「挑戦や失敗が歓迎される空気になっているか?」
    「メンバーはチームの成果を“自分ごと”として捉えられているか?」

    そんな問いを自分自身に、そしてチームに投げかけてみることが、より良いチームづくりの第一歩になるのかもしれません。

    3. 相手の話に真剣に耳を傾ける


    ビル・キャンベル氏のエピソードで特に印象的だったのが、「面談の際には相手に全神経を集中させていた」という話です。スマートフォンをチェックしたり、時計を気にしたりすることは一切ありませんでした。

    書籍の中では、彼が「話の背後にある感情や意図を読み取る力に非常に優れていた」と紹介されています。実際、話し手自身がまだ気づいていないような本音や課題を鋭く察知し、そっと問いかけてくることもあったと言います。

    また、こんなエピソードも紹介されています。
    スティーブ・ジョブズから電話がかかってきたとき、ちょうどビル氏は子どものフットボールの練習に立ち会っていました。彼は電話に出ず、「今は子どもたちの時間だ」と言って、目の前のことに集中したのです。
    このように、「今、目の前にいる人に心を向ける」という選択を、一貫して大切にしていたのがビル・キャンベル氏の姿勢でした。

    これは私たちにとっても大きな学びです。
    営業活動においてお客様の話を「聞く」ことの大切さはよく言われますが、同僚や部下との関係でも同じことが言えます。

    とくに1on1や日々の相談の場では、ただ話を聞くだけでなく、「この人はいま何を感じているのか」に意識を向けることが大切です。忙しい日常の中で意識的に時間を取り、相手の言葉や表情に向き合うだけで、関係性は驚くほど変わっていきます。

    相手に真剣に向き合うことで、より深い信頼関係が築けるのだと改めて感じました。

    4. おわりに

    『一兆ドルコーチ』で紹介されているビル・キャンベル氏の考え方は、決して特別なテクニックではありません。むしろ、「人を大切にする」という非常にシンプルで、しかし実践するのが難しいことです。

    営業の現場では数字や結果に追われがちですが、その根底にある「人と人との関係」を大切にすることが、長期的な成功につながります。

    明日からの営業活動で、同僚やお客様との関わり方を少しだけ意識してみることから始めてみると、きっと新たな気づきや、これまで以上に深い関係性が築けるはずです。

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    営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
    ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

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