ALVAS JOURNAL

いにしえのいろはことば(川畑 耕二著 2002年 ペンギン社) 先人の教えは、いまも活かせる学びだらけ ~第一回:弱い自分がいるとき~

こんにちは。石井です。

本日は、「いにしえのいろはことば」をご紹介します。本書にはサブタイトルがあり、「子どもたちに・・・」です。

昔から、論語の素読が子供たちに実施されてきたように、本書の内容も子どもたちのために書かれた本です。ちなみに、論語の素読をしている時に、意味を教えられることは少なかったようです。

意味はわからないけど暗唱する・・・そして成長していくとその意味がわかってくる・・・

これこそ、子どもたちが書籍を素読する意義のようです。

とはいえ、私たちが「いにしえ」の言葉を素読し、理解をするのはとても大変です。そんなとき出会ったのが本書になります。

本書では、「○○の状況ではどうする?」のように、シチュエーションに応じて解決のヒントとなるような「いろはことば」が多く掲載されています。かつ解説つきです。

ぜひ、営業やマネジメントの各シーンにおいて役立つ観点がありましたら、ご一読をオススメします。本コラムでは、3回にわたり各シーンを解説しています。

第一回:弱い自分がいるとき ←今回のコラムはこちら!

第二回:人間関係で悩んでいるとき

第三回:幸せをつかみたいとき

目次

    1. 本書の構成


    本書は、「いにしえ」より大切にされてきた言葉とその現代語訳、また解説が掲載されています。

    例えば、「」であれば下記の言葉が紹介されています。

    いにしへの 道を聞きても 唱へても わが行ひに せずばかひなし(P.2)

    いかがでしょうか?なんだか、意味がわかるような・・・わからないような・・・

    でもご心配いりません。本書では、現代語訳と解説が記載されています。

    意味としては、「昔からの道理や言葉を知っているだけでは何も意味がありません。(当社により意訳)」ということでしょうか。

    現代の言葉で表現すると、「わかる」と「できる」の違いにも関係するだけでなく、「実際に行動やアウトプットをすることが大切」ということになります。

    実はこの言葉は、陽明学の重要な指針にも関連しているのです。それとは、「知行合一(ちこうごういつ)」です。

    私が以前、「陽明学のすすめ~経営講話「抜本塞源論」~(深澤賢治著 2005年 明徳出版社)~」をご紹介した際にも、下記のように解説しています。

    知行合一とは、「知」っていることと、「行」動が合致していることを指します。

    私たちビジネスパーソンは、さまざまな知識を学ぶことで成長することができます。現代では、多くの書籍をはじめ、インターネットを活用すれば多くの学びを無料で手にすることも可能です。

    ただ、こういった状況でこそ、「知行合一」という言葉の問いかけを確認したいものです。

    得られた知識と、行動は結びついているでしょうか?

    常に、何かを学ぶときには、行動も伴っているか考えたいものです。
    陽明学のすすめ~経営講話「抜本塞源論」~(深澤賢治著 2005年 明徳出版社)コラムより引用

    話がやや脱線してしまいましたが、本書では「いにしえ」の言葉をわかりやすく解説し、現代人である私たちでも容易に理解できます。そして、理解できるだけではなく、私たちが遭遇する可能性がある解決したいシチュエーションを想定して、解説されています。

    要するに、とても行動に移しやすい書籍となっているのです。まさに、知行合一!

    では、「ありがちなシチュエーション」を想定して本書を見ていくことにしましょう。

    2. 弱い自分がいるとき

    日々、仕事をしていると悩むことや落ち込むことなど色々ありますよね。そんな時、「なんて自分は弱いんだ・・・」と思ってしまうかもしれません。

    そんなとき、下記のような言葉を読んでみるといかがでしょうか?

    楽も苦も 時すぎぬれば 跡もなし 世に残る名を ただ思ふべし(P.28)

    こちらは、現代語訳を読まずとも意味をくみ取ることができるかもしれません。要するに、「楽しいや苦しいという目先のことだけにとらわれてはいけない」「名は今後も残るものだと思って心得よ」ということになります。

    解説に書かれている文章の一部分を下記で引用します。

    その時の苦しみや楽しみに心奪われることなく、そのことを通していかなる人生を送ったかについて想いを致さねばならない。その人の逆境をいかに生き抜いていくかが最も大事なことである。

    いかがでしょうか?
    私たちは、目の前の仕事に一生懸命になりすぎて、長期的な視点をおざなりにしてしまうこともあるかもしれません。確かに、直近の課題を解決することは大切です。しかし、そればかりに集中しすぎると落とし穴があるかもしれません。

    一喜一憂しすぎずに、崇高な人生をいかにしていきるのかを考えたいものですね。

    内村鑑三の「後世への最大遺物」において「崇高な人生」についても解説しています。よろしければご覧ください。

    3. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    今回は、「いにしえのいろはことば」より、「弱い自分といかに向き合っていくか」を考えてみました。

    昔の言葉が今にまで残る・・・そこには深い意味があると思っています。「残る」ということは、人生においてタメになる/役立つからなのだと・・・

    いにしへの言葉から学び、行動に移すことで、これらを後世に伝えていくために・・・そのためのバトンはいま、私たちの世代が持っているのでしょう。

    次回は、「人間関係で悩んでいるとき」を考えみましょう。

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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