こんにちは。石井です。

本日は、石田梅岩の「都鄙問答（といもんどう）」をお届けします。

皆さんは、この書籍をご存じでしたか？
実際のところ、それほど有名な書籍ではないかもしれません。現代の一般大衆向けという意味では・・・

しかし、本書を愛読した商売人は数多く、その一人が松下幸之助と言われています。

「経営や仕事に行き詰まったら読みなはれ」と言い、他の人にもオススメしていた書籍がこの都鄙問答なのです。

本書では、さまざまなシチュエーションにおいて、石田梅岩と質問者のやり取りが掲載されています。もちろん、ビジネスシーンに直結するものもあれば、ビジネスとは少し離れたお話で例えば、法事の段取りなんかも出てきます。

そんなやり取りの中で、驚かされるのは石田梅岩の一貫した商売への考え方であり、それに到るまでに会得した知見の数々です。具体事例や書籍からの引き出しがとても多く、非常に読み応えのある書籍です。

本書を通じて、「真の商売道」とは何かを考え、日々の仕事に活かしていこうではありませんか！

第一回：始発点は心
第二回：倹約の考え方
第三回：商売における儲け←今回のコラムはこちら！

1. 石田梅岩という人物（再掲載）

石田梅岩をご存知でしょうか。

江戸時代に活躍した思想家であり、石田梅岩の「石」をとって「石門心学」を開いた人物です。

生まれは、1685年ですから江戸の中期になります。現在の京都府で生を受けました。1744年にこの世を去りましたので、ちょうど60年の生涯になります。

その中で、石門心学の「心」にも表現されているように、仕事をする上での「心」を重要視しました。詳しくは、2章でお伝えしますが、石田梅岩は何においても人としての正しいあり方や考え方、そして尽くす心を大事にしたと言えるでしょう。

そんな石田梅岩の考えに心頭し、繰り返し「都鄙問答」を読んでいたのが松下幸之助と言われています。誰もが知っている経営の神様ですね。

では、松下幸之助が愛読し、ご自身の大切な考えの１つに添えた石門心学の商売とはどのようなものなのでしょうか。

2. 第一回（始発点は心）のあらすじ

石田梅岩は、商売における「心」をとりわけ重要視しました。

商売は「心を尽くす」ことから始まるというものです。これは、「初心」とも言うべきものであり、「何かの役に立ちたい／貢献したい」という気持ちそのものです。

一方で、素晴らしい「初心」を持ったとしても、仕事を続けていく上でそれを持ち続けることは容易ではありません。具体的には、自身の名声に加えて生活水準の向上など、さまざまな欲求が出てきます。

これらの感情を持つことは悪いことではありませんが、正しいことをした結果として商売が成功することが大切であり、やはりその根本には「心」があると言えるのです。

3. 第二回（倹約の考え方）のあらすじ

石田梅岩は、「倹約」と「ケチ」は違うものだと捉えていました。

「倹約」であるということは、大きなおごりをしないことであり、必要以上の高望みをしないことです。言い換えると、正しい道をおごることなくひたむきに進むことが最も大切であるとしているのです。

私たちは、ビジネスシーンにおいてさまざまなお金のやり取りをしています。そんな時に意識したいことは、お客様にはいただくお金以上のことを差し上げ、自分が買い手になるときは真摯さを忘れずにいるということです。

いくら仕事がうまくいこうとも、「倹約」する姿勢を持ち続けることで、私たちは謙虚でい続けられるのでしょう。

4. 商売における儲け

石田梅岩の「都鄙問答」を三回に分けてお伝えしてきましたが、最後は「商売における儲け」を考えていきたいと思います。第二回のテーマである「倹約」においても、お金について考えましたが今回は「儲け」の視点でお金のことを考えていきます。

さて、皆さんにとって、「儲け」とは何でしょうか。

石田梅岩は、商売における「儲け」について下記のような言葉を残しています。

商品を売って利益を得るのは、商人として当然の道である。仕入れ値で売るのが商人の道というのは聞いたことがない。

商人の売買の儲けは、武士の俸禄と同じ。儲けのないのは、武士が俸禄を受けずに出仕するようなものだ。
※俸禄…領地を持っていない武士が、幕府から給与（米）を受け取ること

いかがでしょうか。かなりインパクトのある言葉ですね。

ここから読み解けることは、「正しい商売をすることで儲けることは良いこと」であるということ、そして、石田梅岩の考えの根底には「武士道」があるということです。

言い換えると、石田梅岩は「武士が仕えることで給与を受け取るように、商人も仕事をすることで儲けることは当然のこと」として捉えていたのです。

ここで重要なことは、「商売が正しいかどうか」という視点です。やましいことやズルをすることでお金を手に入れることは、商人として儲けるとは言いません。これはただの盗人です。

石田梅岩は、愚直に生きることを推奨し、仕事にまい進することによって得られる儲けは堂々と受け取る世の中を作りたかったのでしょう。石田梅岩によって、江戸時代では商人への考え方に変化が起き、それが今現在の日本の経済に良い影響を及ぼしていると言えるのではないでしょうか。

お金には不思議で、魔力的な力があるため、いつも人間はその欲求と戦っています。そんな中で、忘れたくないことは「商人としての儲けの考え方」です。つまり、「正しく働き、正しい儲けをもらう」という経済の根本です。私たちは、これを心にとめ、日々仕事をしていきたいものです。

4. おわりに

いかがでしたでしょうか。

本日は、石田梅岩の「都鄙問答」より、第三回：商売における儲けをお伝えしました。

私たちは、「こんなに儲けて良いのだろうか？」「これだけお金もらって大丈夫？」という感情になることがあるかもしれません。それは、まさに正しいアンテナと言えるかもしれません。

なぜならば、このような感情を持っている時点で「自分が施している以上の儲けを得ているかもしれない」と心のどこかで感じているからです。
石門心学で大切にしていることは、「自分が働いた分を儲けとしていただく」という経済の根本です。

この考え方を忘れずに、私たちが日々仕事をしていくことでより良い経済の循環につながり、人が生き生きと働ける社会に近づいていくのではないかと感じます。

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