都鄙問答(石田 梅岩著 2016年 致知出版社)松下幸之助も愛読した「商売の極意」はここにあり~第二回:倹約の考え方~
こんにちは。石井です。
本日は、石田梅岩の「都鄙問答(といもんどう)」をお届けします。
皆さんは、この書籍をご存じでしたか?
実際のところ、それほど有名な書籍ではないかもしれません。現代の一般大衆向けという意味では・・・
しかし、本書を愛読した商売人は数多く、その一人が松下幸之助と言われています。
「経営や仕事に行き詰まったら読みなはれ」と言い、他の人にもオススメしていた書籍がこの都鄙問答なのです。
本書では、さまざまなシチュエーションにおいて、石田梅岩と質問者のやり取りが掲載されています。もちろん、ビジネスシーンに直結するものもあれば、ビジネスとは少し離れたお話で例えば、法事の段取りなんかも出てきます。
そんなやり取りの中で、驚かされるのは石田梅岩の一貫した商売への考え方であり、そこに到るまでに会得した知見の数々です。具体事例や書籍からの引き出しがとても多く、非常に読み応えのある書籍です。
本書を通じて、「真の商売道」とは何かを考え、日々の仕事に活かしていこうではありませんか!
第一回:始発点は心
第二回:倹約の考え方←今回のコラムはこちら!
第三回:商売における儲け
目次
1. 石田梅岩という人物(再掲載)
石田梅岩氏をご存知でしょうか。
江戸時代に活躍した思想家であり、石田梅岩の「石」をとって「石門心学」を開いた人物です。
生まれは、1685年ですから江戸の中期になります。現在の京都府で生を受けました。1744年にこの世を去りましたので、ちょうど60年の生涯になります。
その中で、石門心学の「心」にも表現されているように、仕事をする上での「心」を重要視しました。詳しくは、2章でお伝えしますが、石田梅岩は何においても人としての正しいあり方や考え方、そして尽くす心を大事にしたと言えるでしょう。
そんな石田梅岩の考えに心頭し、繰り返し「都鄙問答」を読んでいたのが松下幸之助と言われています。誰もが知っている経営の神様ですね。
では、松下幸之助が愛読し、ご自身の大切な考えの1つに添えた石門心学の「商売」とはどのようなものなのでしょうか。
2. 第一回(始発点は心)のあらすじ
石田梅岩は、商売における「心」をとりわけ重要視しました。
商売は「心を尽くす」ことから始まるというものです。これは、「初心」とも言うべきものであり、「何かの役に立ちたい/貢献したい」という気持ちそのものです。
一方で、素晴らしい「初心」を持ったとしても、仕事を続けていく上でそれを持ち続けることは容易ではありません。具体的には、自身の名声に加えて生活水準の向上など、さまざまな欲求が出てきます。
これらの感情を持つことは悪いことではありませんが、正しいことをした結果として商売が成功することが大切であり、やはりその根本には「心」があると言えるのです。
3. 倹約の考え方
「倹約」というと、どのようなことをイメージされますか?
- 高価なものより安価なものを選ぶ
- 必要なもの以外は買わない
- 衝動買いはしない
このようなイメージでしょうか。
確かに、「倹約」には出るお金の量を少なくするという側面があると思います。しかし、ただ支出を減らすというだけでは、「ケチ」という表現でも良さそうです。
では、石田梅岩はどのように「倹約」を捉えていたのでしょうか。
石田梅岩は、「倹約」と「ケチ」は違うものだと捉えており、大きなおごりをしないことが大切であるとした上で、過度な高望みをしてはいけないことを強調しています。
要するに、正しい道をおごることなくひたむきに進むことが最も大切であるとしているのです。
私たちは、成功すると見栄を張りたくなります。そして、より良い生活を求めたくなります。この欲は尽きることがないと言えるでしょう。
そんな時、「ケチ」になってはいけません。使うべきところには、きちんとお金を使うべきなのです。
一方で、自身の身の丈を知り、その程度の中でお金を管理していくことが非常に大切です。これこそが、「倹約」と言えます。
お客様にはいただくお金以上のことを差し上げ、自分が買い手になるときは真摯さを忘れずにいたいものです。そして、いくら仕事がうまくいこうとも、「倹約」する姿勢を持ち続けることで、私たちは謙虚でい続けられるのでしょう。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、石田梅岩の「都鄙問答」より、第二回:倹約の考え方をお伝えしました。
日々仕事をしている、日々生活をしている・・・そんな中で、必ず使うものはお金です。だからこそ、そのお金に関する考え方を知っておくことはとても大切です。
石田梅岩は、「倹約」と「ケチ」は違うものだとしています。お金というものは、使う時には使うことも大切なのでしょう。ただし、正しい方法で。
そして、なにより「倹約」の根本には身分をわきまえて高望みはしないということが大切なのだと思います。それこそが、私たちに謙虚さを与えてくれるはずです。
次回は、「商売における儲け」です。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。