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ZERO to ONE君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール著 2014年 NHK出版)~競争するより10倍にこだわりを〜

こんにちは。荻原です。

本日は、起業家としてPayPalを創業しただけでなく、早期からFacebookに投資をしたことでも有名なレジェンド「ピーター・ティール」氏の書かれた「ZERO to ONE」をご紹介したいと思います。

本書はあのピーター・ティール氏が執筆したということもあり、ビジネスマンであれば一度は聞いたことがあるかもしれません。

ただ、起業家向けに書かれているため、、起業を考えていない人は少し敬遠してしまうかもしれません。しかし、起業家のみならず、どの世代の営業担当者にも刺さる内容となっています。

 

目次

    1. ZERO toONEとは

    「人が、未来を想像する時、2つの形をとる。」

    これは、本書の冒頭で語られている言葉です。

    上記の解として、一つは「水平的思考」。もう一つは「垂直的思考」があります。

    「水平的思考」とは、既に前例がある事例を水平展開することです。端的に言えば、前例をコピーすることです。

    中国はこれを国家主導のもと行い、アメリカをはじめとした先進国と呼ばれる地域での事例をそのまま転用、あるいは改良しました。都市の構造、電線設備、鉄道など、例を挙げれば枚挙にいとまがありません。そして、わずか20年足らずで、GDPを世界第2位の座にまで急躍進させました。

    一方の「垂直的思考」とは、全くの新しいことを始めること。もしくは、ゼロから1を生み出すことです。つまりZERO to ONEです。

    そして、これが、本書がもっとも大事にしているテーマでもあります。

    2. 競争はするな。市場を独占しろ。


    営業担当者として、数字を追っていると、誰かと競合することは日常茶飯事です。それは、社内の他のメンバーかもしれませんし、ライバル会社もしくは新興企業かもしれません。

    そのため、「競合」することは、ある程度仕方がないという前提で戦略を組み立てます。3C分析(Customer(市場・顧客)、Company(会社)、Competitor(競合))がマーケティング業界では主流の分析方法の一つであるというのもその一つの事例とも言えるのかもしれません。

    しかし、著者は「競争」というイデオロギーをバッサリ切っています。

    「私たちは『競争はポジティブなことである」と信じるように洗脳されてきたが、競争は利益とイノベーションを制限する、あまり役に立たないイデオロギーである。」

    これは、人々が互いを真似るようになり、創造的な可能性が制限されるからです。

    では、どうすればいいのか?

    答えは非常にシンプルです。市場を独占すればいいのです。

    独占をしている状態は、そもそも競合がいない、または少ないこともあり、ライバルを気にすることなく、創造的にビジネスを展開することができるのです。

    そしてこれは、何も会社経営というビジネスシーンにのみ見る現象ではありません。一般的な営業担当者もこれと似た状況を常に経験していると言えます。

    例えば、最も成績が優秀な営業担当者はその他の営業担当者よりも圧倒的に多くの顧客を独占的に持っており、その結果、競合との差別化ポイントの明確化にリソースを割くことなく、自分のポテンシャルを最大限に発揮できるのです。

    もちろん、独占市場を築くことは簡単なことではありませんし、一朝一夕で実現する難易度でもありません。

    では、どうすればいいのか?

    著者は、「10倍にこだわれ」と言います。

    3. 10倍にこだわれ


    もし、「遠い未来に大きなキャッシュフローを生み出すのは、どのような企業と言えるのか?」と質問されたら、皆さんはなんと答えますか?

    もちろん、画一的な答えはありません。

    しかし、あえて答えるとすれば、「プロプライエタリ・テクノロジーはビジネスの1番根本的な優位性である」がその一つ答えであると著者は言います。

    「確かな経験則から言えるのは、プロプライエタリ・テクノロジーは、本物の独占的優位性をもたらすようないくつかの重要な点で、二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならないということだ。」

    「プロプライエタリ・テクノロジー」とは、特定の企業や個人が独占的に所有し、他の人が自由に使えない技術のことです。特許や著作権などで保護されており、その技術を使うには所有者の許可が必要なものもあります。

    例えば、Googleのアルゴリズム、AppleのIOS、MicrosoftのWindows OS、AmazonのAWS(Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービス)、コカコーラのレシピがその代表例です。

    どれも世界を席巻する超一流の企業であり、完全なる「独占」を生み出しています。しかし、上記で挙げたどの企業も最初から世界の頂点に君臨していたわけはありません。最初は、小さな市場(ニッチな市場)を独占しながら、少しずつそれを拡大していったのです。

    もちろん、ニッチな市場を独占するのは簡単なことはありません。ただ、不可能でもありません。ライバルが持っている解決手段よりも10倍優れていれば良いのです。

    ここでいう10倍とは、全ての面でライバルよりも優れていなければいけないということではありません。一つの小さな市場、つまりニッチ分野で10倍良くあれば良いのです。

    例えば、

    • AIについて専門家のごとく習得し、誰よりも分かりやすくお客様の状況に最適な説明や導入支援ができる
    • 英語を学習し、自社がこれまで開拓してこなかった外資系市場を開拓する
    • 自分の所属している業界にはないテクノロジーを習得し、それを活用したアプローチを考える
    • デザインについて猛勉強し、プロのデザイナーに依頼をしたのではないかと疑われるほどのプレゼンテーションスライド作れるようになる
    • TEDトークなどの優れたプレゼンテーションを研究し、誰もが憧れる圧倒的なプレゼンテーション力を身につける

    これは、いわゆるブルーオーシャン戦略と似ています。

    簡単に実践できることではありませんが、簡単に実践できないからこそ達成した時、圧倒的な独占が約束されるのです。

    4. おわりに


    いかがでしたでしょうか?

    本日は、世界的な超一流ビジネスマンであるピーター・ティール氏の渾身の著書についてご紹介しました。

    いわゆるブルーオーシャン戦略は、昔から大切にされてきましたが、きちんと自分自身の業務範囲にまで落とし込もうと考えるのはなかなかハードルが高いことであったと思います。

    世界は今後もどんどん加速しています。テクノロジーの進化により、多くの新興企業が皆さんのライバル会社になるかもしれません。しかし、テクノロジーが進化した分だけ、より簡単に学習ができる環境ができ上がっていくとも言えます。

    皆さんも自分だけのニッチを極めてみてみるのも面白いのかもしれません。

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒ZERO to ONE君はゼロから何を生み出せるか

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    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

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