無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ(高橋 浩一著 2020年 日経BP)~これからの営業組織に求められる世界観とは?~
こんにちは。荻原です。
今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。
本日、インタビューに答えてくださったのは、現役マネージャーとしてアルヴァスデザインで活躍されている松下さんです。
コロナ禍を経て営業スタイルが大きく変化する中、これからの営業組織のあり方を示した一冊として「無敗営業 チーム戦略」をご紹介いただきました。
是非、ご一読ください。
目次
1. 書籍「チーム戦略」の魅力とは?
荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、松下さんのおすすめの一冊について簡単にご紹介お願いします。
松下:今回私が取り上げたいのは『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』という書籍です。著者は『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』 で有名な高橋浩一さんが書かれた本で、2020年に出版されました。
高橋さんは東京大学経済学部卒業後、25歳で起業、一日100件のテレアポから数十人の営業組織をゼロから作り企業上場に向けた足がかりを作った、まさに“叩き上げ”の営業プロフェッショナルです。だからこそ語れる内容が詰まっています。
この本の特徴は、オンライン商談が当たり前になりつつある時代の営業スタイルについて詳しく書かれている点です。ただ、私が一番注目してほしいのは「これからの営業チームどうなるか」という部分です。
荻原:未来の営業チームについて書かれているのですね。気になりますね。
2. 営業の進化を示す「3つの世界観」
荻原:本書の中身について、もう少し具体的に教えていただけますか?
松下:本書では、営業組織のモデルを時代の変遷とともに3段階に分けて書かれています。
過去の営業を「営業1」として、これを「ずれの世界」というふうにしています。
営業担当者は「このサービスを売りたい」、お客さんは「こういうものが欲しい」と、別々のものを見てぶつかり合っている世界ですね。
それが時代の変化とともに「営業2」の世界観になります。それは、「二人三脚の営業の世界」です。営業担当者はお客様を理解しようとし、お客様も営業担当者を理解してくれる存在として認識する。一緒に同じものをすり合わせていく課題解決型の世界です。
荻原:なるほど。
松下:そして、これからは「営業3」になるよというふうにおっしゃっていて、それは「共創の世界」と表現しています。これは、アルヴァスデザインのメッセージと共通しています。
荻原:共に創るの「共創」ですね。
松下:そうです。この本では「共創の世界」と伝えていて、共に作り出した新しいものを見ている…ということが書かれています。同じものを見ている世界ではなくて、新しいものを作るという感じですね。
本書に書かれている言葉をそのまま用いると、「ビジョンを描きながらの対話で壁を乗り越えようとする」と書かれています。つまり、まだ見えてないものを一緒に作るということだと思います。
荻原:それは共感できます。
松下:これまでは正解を追うことが大切だったものが、今では異なってきている。今の時代、正解が何かわからないし、変化の速度が速いですよね。そういった時代において非常に重要な視点だなと、共感して読んでいました。
3. マネージャーとメンバーの関係性も変化する
荻原:その営業スタイルが「営業3」になっていくと、他の関係性にも影響があるのでしょうか?
松下:はい、影響があります。営業とお客様の関係だけでなく、マネージャーとメンバーも同じような関係性の変化が必要になるそうです。
営業1(ずれの世界)の世界観のときは、マネージャーが目標数字を課してプレッシャーをかけ続ける昭和スタイルでうまくいっていました。
しかし、営業2(二人三脚の営業の世界)になると理解が求められます。メンバーに対して現場で起こっていることを正確に把握して理解する、お客様との方向性がずれないよう合致させることが重要でした。
そして、営業3(共創の世界)の場合はもう正解がわからないから、自由な発想と試行錯誤で新しい価値を生み出す必要があります。
そうなると、もう上司・部下の従来の括りにはまらない。今までの「上司の方ができる」「スキルが上」という世界だけでもなくて、新しいアイデアを生み出すのが部下かもしれないメンバーかもしれないということです。
荻原:なるほど。意外と営業もメンバー育成も同じ部分があるのですね。
松下:通じる部分はあると思います。こういう営業をしていくなら、マネージャーとメンバーのあり方も変わってくる必要があるというのが印象的でした。
4. 実践から得た気づきと変化
荻原:本を読まれてから、ご自身の日々の行動に対する変化は起きましたか?
松下:私はマーケティングチームに所属しているので、「インサイトセールス」を広めていきたいという気持ちが一層強まりましたね。この本を読んで、アルヴァスデザインが実践している次世代の営業手法は決して一人よがりではないと確信できました。まだまだ発展途上ですが、その先を見据えて進んでいきたいという思いが強くなりました。
そして、マネージャー・メンバー間でも上意下達ではなくチームとして機能することの重要性を改めて感じました。現在ではAIも普及していますが、AIをツールとして活用しながら人間らしいアイデアを創出し、新しいものを作るのはまさにチームの力だと思います。
荻原:よりチームで働くということの解像度が上がったという感じでしょうか。
松下:そうですね。上意下達だと部下は指示待ちになりがちですが、チームなら相互の意見を織り交ぜて一緒に作っていけます。正解のない課題に対して、その場で一緒に考え、作り出していくことが必要だと感じました。
5. 印象に残った実践的なアドバイス
荻原:この書籍で特に印象に残った実践的なアドバイスはありましたか?
松下:2つあります。1つ目は「対話の基本は一対一のコミュニケーションである」、2つ目は「時にはオフサイトで未来を語る」ということですね。
まず1つ目ですが、本書では一対一のコミュニケーションこそが営業とマネジメントの基盤だと強調されています。
お客様との関係構築も、チームメンバーとの信頼関係も、すべては個別の深い対話から始まるということです。特に営業3の「共創」の世界では、この一対一での丁寧なコミュニケーションがより重要になってくると書かれています。
私もメンバーと定期的に1on1を実施しているので、この考え方にはすごく共感しました。やはり個別の時間を取ることで、その人なりの課題や考えていることがよく見えてくることがあります。
そして2つ目に印象に残ったのが、「時にはオフサイトで未来を語る」というアドバイスです。
四半期に一度や半期に一度など、あえて日常業務から距離を置き、チーム全員でこれからの方向性や目的について語り合う場をつくる。これは非常に本質的で、かつ戦略的な取り組みだと感じました。
荻原:それはなぜ、今の時代において重要なのでしょうか?
松下:忙しい日々の中では、どうしても短期的な成果や数字の達成ばかりに意識が向きがちです。そんな時こそオフサイトのように「場を切り替える」ことで、メンバーがふと立ち止まり、
「なぜ自分たちはこのチームで働いているのか?」
「私たちはどこに向かおうとしているのか?」
「お客様が本当に求めている価値は何か?」
といった根本的な問いに立ち返ることができる。これは組織にとって非常に重要な時間になる、といったような内容が書かれていました。
実際にチーム全員でビジョンを共有し、対話をする場を持つことで、メンバー一人ひとりの役割が再定義され、方向性が一致していく感覚があります。そこから生まれる「納得感」や「自分ごと感」が、日々の行動にも大きく影響してきます。
こうした取り組みは、営業3の“共創の世界”をチームで体現していくための戦略的な一歩だと思います。まさに「チーム戦略」というタイトルが示す通り、未来を見据えた営業チームづくりには欠かせない視点だと感じました。
荻原:確かに。結局は人対人の仕事ですからね。忙殺されていると、何のためにやっているのか?みたいな気持ちは確かに湧いてきそうなので、私も考えさせられました。
松下:本当にたくさんの案件を抱えて、お客様との接点も多く日々忙しくしている営業担当者ほど、この辺りを重要視して読まれると良いのではないかと思います。
6. どんな人におすすめ?
荻原:この書籍はどんな方におすすめですか?
松下:営業担当者、営業マネージャーの方に非常におすすめです。特に今までのやり方でうまくいっていた方は、この中身を読むことで次世代に向けた営業をどうしていけばいいか考えるきっかけになると思います。
ノウハウだけでなく、マインドの部分でもすごく役立つ内容が書かれているので、多くの営業の方たちに読んでいただけたらと思います。このままでは通用しなくなる可能性もある…という危機感や、刺激ももらえます。
荻原:本日は貴重なお話をありがとうございました。営業の進化を3段階で整理した視点は非常に興味深く、特に「共創」の世界観は、確かにアルヴァスデザインの理念とも共通するものを感じました。
松下:こちらこそありがとうございました。ぜひ多くの営業パーソンの方に読んでいただいて、次世代の営業スタイルを一緒に作り上げていければと思います。
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
keiko matsushita
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。