<トップセールスの本棚>人生が整うマウンティング大全(マウンティングポリス著 2024年 技術評論社)~戦略的に相手にマウントを取らせる究極のコミュニケーション術~
こんにちは。荻原です。
今回のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。インタビューに答えてくださったのは、代表取締役CVOの高橋さんです。
一見、やめた方がいいと思われがちな「マウンティング」の本質を深く掘り下げ、実は最も重要なコミュニケーションスキルである「戦略的に相手にマウントを取らせる技術」について語っていただきました。
営業先で相手に気持ちよく話してもらいたい。
会議で誰かの意見を否定せずに別の提案をしたい、
そんな「関係構築に悩むビジネスパーソン」にこそ読んでほしい一冊をご紹介します。
是非、ご一読ください。
目次
1. 高橋さんが推薦する書籍「人生が整うマウンティング大全」の魅力とは?
荻原:本日は、よろしくお願いします。今回ご紹介いただく書籍について教えてください。
高橋:今回ご紹介するのは『人生が整うマウンティング大全』という本です。著者はマウンティングポリスというペンネームの方で、世界で初めてマウンティングを体系化した第一人者とされています。
この本の大部分は、びっくりするほど面白いマウンティング法で構成されているのですが、最後の30ページでそれまでとは全く違うマウンティングの本質を非常に分かりやすく言語化しているので、2度楽しめる書籍となっています。マウンティングに抵抗がある人も、最後の部分だけで、この本を買う価値があると私は思います。
荻原:そこまでおすすめされるのですね!具体的にはどんな内容なのでしょうか?
高橋:本書はさまざまなマウンティングの事例とセリフが紹介されています。
例えば「申し訳ありません。その日はニューヨーク出張でして…」といった具合に、海外出張を理由に自分の活躍を示すケースなど、30〜40種類が載っています。
読み進める中で印象に残ったのは、「鼻につくマウント」と「そうでないマウント」の違いです。たとえば「年収1000万円です!」と言われると鼻につきますが、「フルマラソンを完走しました」だと素直に「すごい」と思えますよね。つまり、マウンティング自体が悪いのではなく、配慮や言い回しの問題なのだと気づきました。
そして最終章ではさらに踏み込み、「自分がマウントを取るのではなく、相手にマウントを取らせる」ことが最も洗練された処世術だと語られています。これこそ本書の真髄であり、私自身も大きな学びとなりました。
荻原:確かに相手にマウンティングを取らせようという発想はなかなか起きないですよね。勉強になります。
高橋:はい。実はこれは、心理学でも非常に理にかなったアプローチです。
人は「自分の価値を認めてくれる人」や「自分に優位性を感じさせてくれる人」に対して、自然と好意や信頼を持ちやすくなる傾向があります。
つまり、「あえて相手に気持ちよくマウントを取らせる」という行為は、相手の自己肯定感を満たし、深い信頼関係を築くための戦略的コミュニケーションともいえそうです。
2. 戦略的に相手にマウントを取らせる究極の技術
荻原:「戦略的に相手にマウントを取らせる」というのは、具体的にどういうことでしょうか?
高橋:これが本書の核心部分です。相手の意見に同意するときの言い回しを例に挙げると、単に「それに賛成です」と言うよりも、「まさに○○さんのおっしゃる通りでして、やっぱりそういう考え方は欠かせないと思います」という表現の方が、相手の自尊心を満たしながら同意を示せます。
反対意見を述べるときも同様で、「それちょっと違うと思います」ではなく、「おっしゃることはすごく重要なポイントである一方で、社内の雰囲気をよくするためには、コミュニケーションスキルの向上が不可欠だと思います」といった言い回しにすると、相手を否定せずに異なる観点を提示できます。
荻原:なるほど。言葉一つで関係性が大きく変わりそうですね。
高橋:その通りです。質問をするときも、「これは顧客視点で考えるとどうなるのですか?」と直球で聞くのではなく、「門外漢で恐縮ですけれども、今回の戦略についてもう少しユーザー視点を強調した方がいいとも感じたのですが、どう思われますか?」といった具合に前置きを入れることで、相手を詰めるような印象を避けられます。
同じことを繰り返し説明する場合も、「これは何度もお伝えしていますが」ではなく、「うまくお伝えできておらず、恐縮ですが」と言い換えるだけで、相手の印象は大きく変わります。
3. 本書から得た実践的な気づきと変化
荻原:実際に読まれて、高橋さんご自身に何か変化はありましたか?
高橋:もともと仕事ではそれほどベラベラ喋る方ではないのですが、この本を読んでからは、より慎重に発言前に言葉を考えるようになりました。「これを話したときにどう受け取られるだろうか」「マウントを取っているように聞こえないだろうか」ということを一瞬考えるようになりました。
また、相手に教えてもらう場面を意識的に作るようになりました。
自分が知っていることでも、「聞いたことはありますが、僕の知識はまだ浅いので、ちょっと教えてください」と言えるかどうか。この違いは人間関係を築く上で本当に大きいと感じています。
荻原:相手が「喜んで話せる環境」を作ってあげるということですね。
高橋:まさにその通りです。人気のある人は、すごいから人気があるというより、「この人と話していると自己肯定感が高まる」という理由で好かれることの方が多いと私は感じています。一回の出会いの中で、相手が気持ちよくマウントを取れるシーンを何回作れるかが、関係構築において非常に重要だと気づきました。
4. マウンティング欲求との健全な向き合い方
荻原:本書で他に印象に残った内容はありますか?
高橋:最も深いなと思ったのは、マウンティング欲求は誰もが持っているもので、それを手放さなくてもいいという考え方です。最近はマウンティング欲求を否定的に捉える人が増えていますが、人生の早い段階でこの欲求を放棄して達観してしまうと、人生そのものがスケールしなくなる可能性があると書かれています。
人よりも上に立ちたい、秀でたいという気持ちは、結果として自分の成長につながる側面もあります。大切なのは、その欲求をどう表現し、どう相手と関わるかということです。
荻原:マウンティング欲求自体は自然なもので、それをどう活用するかが重要だということですね。
高橋:そうです。「マウンティングを制する者は人生を制する」という本書のメッセージは、まさにこういうことを指しているのだと思います。自分の欲求を理解し、それを相手のためにも使える人が、結果的により良い人間関係を築けるのではないでしょうか。
4. 「人生が整うマウンティング大全」はどのような人におすすめ?
荻原:この本はどのような方におすすめできますか?
高橋:特にお客様との関係をしっかり築きたいと思っている方におすすめです。仕事の実績で積み重ねる信頼ではなく、日常のコミュニケーションの中でより信頼してもらえる関係を築きたい人には非常に価値のある内容です。
また、悪気はないのに相手をイラつかせてしまう人にも読んでほしいですね。自分では無害だと思っている表現が、実は相手にとってはマウンティングに感じられることがあります。そういった無意識の行動を見直すきっかけになると思います。
荻原:営業職の方には特に役立ちそうですね。
高橋:そうですね。営業において信頼関係は何より重要ですから。相手が「この人と話していると気分がいい」と感じてもらえるコミュニケーションができれば、商談も必ずうまくいくはずです。
荻原:最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
高橋:本書は一見すると、ただのエンタメ書籍に見えるかもしれません。しかし、マウンティングを学ぶことで、相手を立てる力や信頼を引き出す会話力が身につきます。これはすべてのビジネスパーソンにとって大きな武器になるはずです。
3時間もあれば読める内容ですので、ぜひ気軽に手に取ってみてください。きっと明日からのコミュニケーションが変わるはずです。
荻原:本日は貴重なお話をありがとうございました。「戦略的に相手にマウントを取らせる」という視点は、まさに目から鱗でした。読者の皆さんもぜひこの新しいコミュニケーション術を実践して、より良い人間関係を築いていただければと思います。
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒人生が整うマウンティング大全
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
高橋 研
代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。