<トップセールスの本棚>苦しかったときの話をしようか(森岡 毅著 2019年 ダイヤモンド社)~人生の岐路に立つすべての人へ贈る、キャリア形成の道しるべ~

こんにちは。荻原です。
今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。本日、インタビューに答えてくださったのは、アルヴァスデザインでプロデューサーとして活躍している松本さんです。
キャリアの岐路のみならず難しい判断に立つすべての人に読んでほしい一冊として「苦しかったときの話をしようか」をご紹介いただきました。自分の強みを発見し、キャリアを切り拓くための具体的な方法が詰まった本書について、詳しくお話を伺います。

是非、ご一読ください。
目次
1. 娘への想いから生まれた、キャリア形成の教科書

荻原:本日は、よろしくお願いします。今回ご紹介いただける書籍はどんな書籍でしょうか?
松本:今回私が紹介する書籍は『苦しかったときの話をしようか』です。メディアでおすすめの書籍として紹介されているのを見て購入しました。
荻原:実際に読んでみていかがでしたか?
松本:想像以上に面白かったです。ただ、読みながら強く感じたのは、もっと早く出会いたかったということです。大学卒業や就活の時に読んでいたら、きっと人生は全く別の方向に進んでいたかもしれないと思わせてくれました。
荻原:それほどまでに影響力のある本なのですね。具体的にはどのような内容なのでしょうか?
松本:本書は、著者の森岡毅さんがご自身の娘さんに向けて書かれた、非常にメッセージ性の強い本です。今後のキャリアをどのように作っていくのか、自分自身の強みをどう生かせるのか、自分のキャリアの進め方はどのようにすると良いのかが体系的に書かれています。
荻原:娘さんに向けて書かれているからこそ、実践的な内容になっているのですね。
松本:そう思います。内容も読みやすくて、社会人としてある程度の土台がないと理解できないというわけではありません。
荻原:そうなると森岡さんについても知りたくなってきますね。どんな方なのですか?
松本:はい。森岡さんは、ユニバーサルスタジオジャパンの立て直しに貢献した方で、現在はジャングリラ沖縄の開発にも携わっています。そういった実績をお持ちの方のビジネスマインドを学べるので、説得力があります。
荻原:経験に裏付けされた内容というのは興味深いですね。
松本:はい。でも、本書で最も印象的だったのは、それだけの実績を持つ人でも、こんなに苦しかった時期があったということです。誰もが知っている有名なブランドの売上に貢献しながらもその過程での苦悩が赤裸々に語られていました。
荻原:成功者の苦しみを知ることができるのも、この本の魅力と言えそうですね。
松本:まさにそうです。だからこそ、就活時に読んでいたら人生が変わっていたかもしれないと感じました。
2. 人が最も苦しいのは「自己評価が極端に低くなっている時」

荻原:先ほど、森岡さんの苦悩が赤裸々に語られているとおっしゃっていましたが、その苦悩について、もう少し詳しく教えていただけますか?
松本:本書の中で森岡さんは、「人はどういうときに最も苦しいのか。それは自己評価が極端に低くなっている時だ」と書かれています。
荻原:自己評価が極端に低くなっている時、ですか。
松本:はい。周りからの評価が低いとか、成果が出ないといったことではありません。自分自身で自分の存在価値を疑う状況に追い込まれた時が最も苦しい。この言葉を読んだ時、多くのビジネスパーソンが一度は経験することではないかと思いました。
荻原:確かに。数字が悪いとか、上司に叱られるといった外的な要因よりも、自分で自分を否定してしまう方が辛いですよね。
松本:社会人として苦しい、しんどいと思うタイミングはいろいろな理由がありますが、自分自身の存在価値を疑うような状況が一番苦しいというのは、本当にそうだと感じました。本書では、自分自身では言葉にできなかった感情を、きちんと言語化してくれています。
荻原:言語化されることで、自分の状態を客観視できるようになりますね。森岡さんはどのように立ち直られたのでしょうか?
松本:そこが本書の素晴らしいところで、単に「苦しかった」という話で終わりません。森岡さんは「迷った時は厳しい方を取れ。人間の脳は楽な方がよく見えるようにバイアスをかけているけど、ハードな道が正解だ」と書かれています。
荻原:厳しい道を選ぶ勇気、ということですね。
松本:おっしゃる通りです。正直それを自分が実行できるかと言われると即答はできません。ただ、このマインドは持っておきたいと思いました。選択する・選択しないは別として、「人間の脳は楽な方がよく見えるようにバイアスをかけている」という認識を持っているだけで、判断の質が変わってくるのではないかと感じました。
3.「厳しい道」という選択

荻原:「厳しい道を選ぶ」という言葉は印象的ですが、本書では具体的なエピソードも紹介されているのでしょうか?
松本:はい、森岡さんの実体験が書かれています。ある大手グローバル企業の海外本社に赴任した時の話です。当時はアジア系というだけで差別がある環境でした、マネージャーという役職で入ったのですが、部下との関わりがうまく持てず、さらに上の上司からも「お前はいらない、お荷物だ。来なくていい」と言われてしまったそうです。
荻原:かなり厳しい状況ですね。
松本:本当は行きたくないし、楽な方の道を選べばお荷物だけれども席はあるという、いわゆる窓際族のようなポジションで終えることもできました。でも、それは自分が良くても、これから先の日本人、自分の会社の日本支社の人たちはもう永遠に本社に行くことができなくなる。日本人が舐められた立場を自分のせいで作ってしまうという葛藤があったのです。
荻原:まさに「厳しい道」か「楽な道」かの選択を迫られた瞬間ですね。
松本:その通りです。結局、森岡さんはその上司のところに乗り込んで「フィードバックありがとう。だけど、私はこういうふうにもっと頑張る」ということを伝えて、結果として数字も残されました。
荻原:自分のためだけでなく、後に続く人たちのためにも厳しい道を選んだということですね。
松本:はい。最初、この話を聞いた時、本当にかっこいいと思いました。ただ、同時に、私は全ての場面で厳しい道を選ぶ必要はないとも感じました。環境が合わないとなった時に、一旦その環境から離れるという選択をする。これも大切なのではないかと思いました。
荻原:いわゆる戦略的撤退ですね。
松本:「厳しい道」か「楽な道」かのどちらかに決めるのは自分自身です。その選択が戦略的なものなのか、単に逃げているだけなのかは自分自身に聞くのが大切であると感じました。
荻原:確かに、すべてに立ち向かおうとしていたら、気づかないうちに心がすり減ってしまうこともありますよね。
松本:本書ではさらに、「強い人間は環境に合わせて自分を変えるか、自分に合わせて環境を変えるか、そのどちらかができる」とも書かれており、納得感が強かったです。
荻原:すごく大事な言葉ですね。
4. TCL分析で見つける、自分だけの強み

いまのお話、「厳しい道を選ぶのか」「環境から一度離れるのか」という選択は、どちらが正解とも言えない難しいテーマだと感じました。本書では、そのためのヒントも書かれているのでしょうか?
松本:はい、まさにそこに関わるのがTCL分析です。森岡さんは、強い人は「環境に合わせて自分を変える」か「自分に合わせて環境を変える」かのどちらかができると言っていますが、その前提として「自分は何が得意で、どんな場なら力を出せるのか」を知る必要があるとも言っています。その具体的な整理の仕方として紹介されているのが、TCL分析です。
荻原:すごく面白そうですね。具体的にはどんな方法ですか?
松本:今まで自分が好きだった「何々すること」を書き出します。ただし、名詞としてではなく動詞として書き出すのがポイントです。例えば、部活のバスケで地区大会を勝ち抜くための作戦を考えるのが好きだったとか、運動して汗をかくことが好きだった…といった具合です。
荻原:動詞で書き出すことで、より本質的な「好き」が見えてくるということですね。
松本:そうですね。そうやって書き出した内容を、TCLという三つの軸に分けます。Tがシンキング、つまり考えることが好き。Cがコミュニケーション、人と関わっているという文脈。Lがリーダーシップ、変化を動かすとか人を動かすという意味です。
荻原:なるほど。その後はどうするのでしょうか?
松本:それが自分の強みになっていくので、その強みをどう伸ばしていくのかを考えます。例えばTとCがたくさんあるのであれば、その二つが強みになるので、シンキングとコミュニケーションの強みをより活かせる職種を選べば良い。Lのリーダーシップだけがとても強いのであれば、そのリーダーシップを存分に発揮できる場を選べば良いといった具合です。
荻原:自分の強みを客観的に把握する方法として、非常に実践的ですね。
松本:はい。先ほどの「戦略的撤退か逃げか」という話にもつながりますが、自分の強みを理解していれば、今いる環境が本当に自分に合っていないのか、それとも単に逃げたいだけなのかが判断できるようになるのではないでしょうか。
5. 人生の岐路に立つすべての人へ──次の一歩を踏み出すために

荻原:ここまでのお話を伺って、非常に実践的で深い内容の本だということがわかりました。本書はどんな方におすすめしたいですか?
松本:一番読んでほしいのは就活生、大学生です。職を決める前に読んでもらうのがベストなタイミングだと感じています。ただ、社会人になってから読む価値がないかというと、全くそういうわけではありません。
荻原:社会人にもおすすめできるということですね。
松本:自分のキャリアに悩んでいる人や、自分自身の強みがわからない人、自分が今後どうなっていくことが正解なのかわからない人にもおすすめです。
自分が何に強いのかを書き出して理解するためのアウトプットの方法も書かれているので、自己理解を深めたい人やキャリアに悩んでいる方にも読んでいただけると思います。
荻原:まさに人生の岐路に立っている方ということですね。
松本:そうです。特に、どこに就職するか、転職するか否か、自分とは何だろうという問いに直面している人にはおすすめです。一回読んでおけば、そういうタイミングが来た時に思い出せるので、早めに読んでおくのも良いと思います。
実際、私自身も読んだことで、“なんとなくしんどい”という感覚の正体が見え、キャリアの選択肢を判断する「軸」を持てるようになりました。これは、社会人にとっても大きな価値だと思います。
現代では同じ会社にずっといるということも少なくなっていますから、自分が本当にどうなりたいか、自分自身のブランドをどう定義したいかという時に読んでいただくのが良いのではないでしょうか。
荻原:本日は貴重なお話をありがとうございました。
松本:こちらこそ、ありがとうございました。
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【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
松本 有加里
群馬県出身。
大学卒業後、人材派遣会社で営業→事務と経験し2024年9月からアルヴァスデザインに入社。
趣味はアニメ・映画鑑賞。世界で一番嫌いなものは虫。


