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<トップセールスの本棚>【第1部】お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点(田内 学著 2025年 朝日新聞出版)~焦りの空気を見抜き、自分のものさしを取り戻す~

こんにちは。荻原です。

今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。本日お話を伺うのは、プロデューサーとして活躍されている阿南さんです。

ご紹介頂くのは、「お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点」。
お金の不安が蔓延する現代社会において、「自分にとって本当に必要なものさしとは何か?」を問いかける一冊です。

 

本書は2025年10月に朝日新聞出版から刊行され、直後にAmazonランキング総合1位を獲得した話題作。
著者の田内学さんは、前著『きみのお金は誰のため』で「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリを受賞した、注目の金融教育家です。

この記事は全3回に分けてお届けします。今回は【第1部】です。第1部では焦りの正体と「自分のものさし」を持つことの大切さを、第2部では「会社との関係と働き方の見直し」を、第3部では「社会全体の構造的な問題とその解決策」について掘り下げていきます。

是非、ご一読ください。

目次

    1. 本屋で見かけたランキング1位の本が、人生観を変えた

    荻原:今回ご紹介いただく書籍について教えてください。

    阿南:今回私が紹介するのは『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』です。本屋さんでビジネス書ランキング1位として紹介されていて、タイトルにも惹かれて手に取りました。

    荻原:ランキング1位は気になりますよね。タイトルからすると、投資や貯金の方法を教えてくれる本なのでしょうか?

    阿南:私も最初はそう思って購入したのですが、全く違いました。具体的な投資方法や貯金術ではなく、なぜ老後2,000万円問題が起きているのか、なぜ国が積み立てNISAを推進しているのか、その背景を紐解いていく内容です。

    荻原:表面的なノウハウ本ではないということですね。

    阿南:はい。読み進めて驚いたのは、この本がお金の本というより、人としての生き方やビジネスパーソンとして何が大事かを教えてくれる本だったことです。著者の田内学さんは東京大学大学院を卒業後、ゴールドマンサックスで金利トレーダーとして17年間勤務された方で、現在は金融教育家として活動されています。

    荻原:金融のプロフェッショナルが書いた人生論、という感じでしょうか。

    阿南:まさにそうです。本書は「整理する」「支度する」「直視する」「協力する」という四部構成で、段階的に理解が深まる設計になっています。金融関連の話は堅苦しいイメージがありますが、本書は非常に読みやすく、最近読んだ書籍の中でも特におすすめです。

    2. 「幼稚園から投資を学ばせるべきですか?」という質問の背後にあるもの

    荻原:本書の中で特に印象に残ったエピソードはありますか?

    阿南:田内さんがある学校で保護者向けに金融リテラシーの講演会をした際のエピソードです。保護者の方から「幼稚園のうちから投資を学ばせるべきでしょうか?都心の幼稚園ではもう株の勉強をしていると聞きました」という質問が飛んできたそうです。

    荻原:幼稚園で株の勉強、ですか。それは…少し早い気もしますね。

    阿南:田内さんは「お母さん、少し落ち着きましょう」と返されたそうです。このエピソードが象徴しているのは、「みんながやっているから」「乗り遅れたら大変」という焦燥感です。

    荻原:確かに、そういった空気を感じることはありますね。

    阿南:田内さんは書籍の中で、こうした不安を煽るビジネスが存在することを指摘しています。AIスクールが「使えないとヤバい」と煽るのも、人材会社が「30代からの転職は厳しい」と言うのも、結局は誰かのビジネスになっているという視点です。

    荻原:不安そのものが商品になっている、ということですね。

    阿南:積み立てNISAも、AIも、みんながやっているからとりあえずやらなければ、という焦りは、実は誰かに作られた不安かもしれません。もちろん、興味があって自分から学ぶ分には良いのですが、不安が原動力になっている場合は少し立ち止まる必要があると本書は教えてくれます。

    3. 500円のメロンジュースは、得なのか損なのか

    荻原:不安とどう向き合えばいいのか、本書では何か示されているのでしょうか?

    阿南:本書では、不安への向き合い方として「価格より価値を基準にする」という姿勢を大切にしています。この考え方を直感的に理解できるのが、「メロンジュースのクイズ」です。

    荻原:どんなクイズですか?

    阿南:こんな内容です。あなたは普段1,000円のメロンジュースを、セール価格の500円で買いました。しかし、「得した」と思いながら飲んだ翌日、同じジュースが300円になっていました。あなたはこの買い物を、得だと感じますか、損だと感じますか。

    荻原:難しいですね。500円なら定価の半額だから得したとも言えますし、でも300円と比べると200円損したとも言えますね。

    阿南:多くの人は「500円得した」「損も得もしていない」「200円損した」という三択で考えるそうです。でも田内さんは、学生や保護者にこう問いかけます。「他の答えを思いついた人はいませんか?」と。

    荻原:他の答え、ですか。

    阿南:ある保護者の方がこう答えたそうです。「ジュースが美味しくなかったら、どんな値段でも損したと後悔しますよね」と。

    荻原:ああ、なるほど!価格じゃなくて、満足したかどうかが本質ということですね。

    阿南:本当に大切なのは、自分がそのジュースを飲んで満足したかどうか。つまり「価値」です。値段や損得ばかりに気を取られると、自分にとって本当に大切なものが見えなくなってしまう。このクイズを読んで、私は自分が日常的に「価格」ばかりを気にしていたことに気づかされました。

    4. 自分のものさしを持つということ

    荻原:価値を基準にするというのは、仕事の進め方にも影響しそうですね。

    阿南:田内さんは書籍の中で、「不安は他人の物差しから生まれる。安心は自分のものさしから生まれる」と述べています。この言葉が非常に刺さりました。

    荻原:深い言葉ですね。自分のものさしを持つには、具体的にどうすればいいのでしょう?

    阿南:第一歩は、「自分にとっての価値とは何か」を言語化することです。私の場合は、買い物をするときに「お金の損得より、自分の満足感を重視する」というルールを決めました。

    荻原:ブラックフライデーのような大セールの時は、判断が難しそうですね。

    阿南:以前は「今買わないともったいない」と飛びついていましたが、今は「今の自分に本当に必要か」「使ったときに満足できるか」を基準にしています。そうすると、「もっと安くなるかも」という不安に振り回されなくなりました。

    荻原:営業の現場でも活かせそうですね。

    阿南:価格の上げ下げでお客さまとやり取りするのではなく、「このサービスでどんな体験ができるのか」「お客さまの課題がどう解決されるのか」を重視して、そこに価値を感じていただく。最近は、そういう商談の進め方を特に意識しています。

    荻原:価値を軸にすると、値下げ競争に巻き込まれなくなりそうですね。

    阿南:そうですね。実際に、お客さまも価格だけで判断することが減って、商談の質が変わってきたと感じています。
    営業現場では、つい「値下げ」や「割引」で契約を取りにいきがちですが、最近は「この商品やサービスで、どんな価値を提供できるのか」という視点を持つことのほうが大切なのではないかと考えるようになりました。
    価格ではなく価値を軸に話ができるようになると、価格競争から一歩抜け出せるきっかけになるのではないでしょうか。

    5. 第1部のまとめと次回予告


    荻原:ここまでのお話で、お金の不安の正体が「他人のものさし」にあることがよくわかりました。

    阿南:本書は、お金の不安が消えない方、何かを始める際に「乗り遅れたらまずい」と焦っている方におすすめです。特に、自分の仕事に対して今どんな価値を提供できているのかが不明瞭なまま働いている方に読んでいただきたいです。

    荻原:単なるお金の本ではなく、生き方全般に関わる本ということですね。

    阿南:本書は、物質的な豊かさではなく、精神的な豊かさを大切にすることを教えてくれます。SNSでのフォロワー数や年収といった他人のものさしではなく、自分の中に軸を持つ。それが安心につながるということを気づかせてくれる一冊です。

    荻原:次回は、この「自分のものさし」を持った上で、会社との関係をどう捉え直すかについてお話を伺いたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

    阿南:こちらこそ、ありがとうございました。

    ここまでが全3部シリーズの【第1部】です。前後の回もあわせて読むと理解がつながります。

    第1部:本記事
    第2部:(未公開)
    第3部:(未公開)

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点

    〇トップセールスの本棚とは?
    【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
    営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
    ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

    阿南 康平

    大学卒業後、システム開発を行うIT系ベンチャー企業に入社。個人事業主や中小企業の経営者に対しての新規開拓営業として、約2年従事。大手企業に対しての営業にチャレンジしたいという思いから、当社の理念に共感して2024年1月に入社。

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