ALVAS JOURNAL

<トップセールスの本棚>誰でもできる!アサーティブ・トレーニング ガイドブック(海原純子著 2019年 金剛出版)~事実と気持ちを切り分けて、伝える勇気を持とう~

こんにちは。荻原です。

今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。本日、インタビューに答えてくださったのは、アルヴァスデザインでプロデューサーとして活躍中の結城さんです。

自分の気持ちを伝えることに課題意識を持っていた結城さんが、本書を読んだことをきっかけに、自分の伝え方に変化を感じ始めたという「アサーティブ・コミュニケーション」の実践法について、詳しくお話を伺いました。

ぜひ、ご一読ください。

 

目次

    1.アサーティブとは何か? 相手も自分も『OK』を目指すコミュニケーション

    荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、本書について簡単にご紹介をお願いします。

    結城:私がご紹介したいのは『誰でもできる!アサーティブ・トレーニング ガイドブック』という本です。副題に「みんなが笑顔になるために」とあるのですが、相手も自分も大切にするコミュニケーションについて書かれています。

    アサーティブなコミュニケーションをもっと身につけたいと思い、この本を手に取りました。著者の海原純子先生は、昭和女子大学でアサーティブ講座を開講されている心療内科医です。全国から受講者が集まる人気講座を長年担当されている方の実践知が詰まっている点にも惹かれました。

    荻原:それは大人気ですね。本書はどのような内容なのでしょうか?

    結城:具体的な状況を把握して気持ちを整理し、いつ、どのようにイエスと言い、ノーと言うか。相手の気持ちを傷つけずに、自分の気持ちを明確に伝えるにはどうすればよいかが書かれています。

    本書で定義されているアサーティブとは、「正直に居心地よく自分の気持ちを表現すること」、そして「他者の権利を否定せず、尊重しながら自分の権利を使えること」です。つまり、ウィンウィンの関係を築くためのコミュニケーション手法なのです。

    荻原:まさに令和の時代に必要な考え方ですね。

    結城:本書にはさまざまな例題が収録されていて、「こういうケースであなたならどうしますか?」という問いかけがあります。答えが載っているものもあれば、自分で考えるものもあり、職場内でのディスカッションの題材としても使えそうです。お互いに言いやすい文化を作りたいときにも活用できる一冊だと感じました。

    2.「知らぬ間に陥る『危険な会話スタイル』5つのパターン」

    荻原:印象に残っている章はどこでしたか?

    結城:まず第1章で「アサーティブとは何か」を学び、自分自身のアサーティブ度をチェックしていくのですが、私は第2章の「危険な会話スタイルを検証する」、ここが非常に印象的でした。

    アサーティブではないスタイルとして、5つのパターンが紹介されています。

    1つ目は「逃避スタイル」。
    「私はよくわからないから任せる」と、意見を持つこと自体を放棄してしまうスタイルです。

    2つ目は「服従するけど裏で反対するスタイル」。
    嫌だけど合わせて、後で周りにグチグチ言うスタイルです。

    3つ目は「言い訳スタイル」。
    自分の気持ちや要望をそのまま伝えず、「すみませんが…」「私が悪いんですけど…」などと前置きや弁解をたくさんつけてしまうスタイルです。本音をやわらかく包みすぎるあまり、結局何を伝えたいのかが弱くなってしまいます。一見配慮があるように見えて、実は自分の意見を小さくしてしまう伝え方です。

    4つ目は「間接攻撃スタイル」です。
    間接攻撃というのは、Iメッセージに見せかけた攻撃のことです。例えば、「あなたがそうすると、私は世間に顔向けできない」といった言い方です。一見、自分の気持ちを伝えているように見えますが、実は相手を攻撃しているというスタイルです。

    荻原:なるほど。攻撃が潜んでいるのですね。

    結城: 5つ目は「嘘の作り話スタイル」です。
    本当は興味がないのに「また誘ってください」と言うようなケースです。日本では、よく聞くフレーズですよね。

    荻原:確かに、心当たりがあります。

    結城:これらのスタイルは、自分の意思や考えをきちんと相手に伝えられておらず、対等なコミュニケーションを築くことができなくなってしまうのです。本書を読んで、自分も無意識にこうしたスタイルに陥っていたことに気づかされました。

    3.アサーティブになるための3ステップと、体の準備

    荻原:では、アサーティブになるためにはどうすればよいのでしょうか?

    結城:第3章で紹介されている3ステップがシンプルで実践的です。

    まず「何が起こっているかを認識する」。次に「自分がその結果何を感じているか」。そして「どんな変化を望むか」。この3つを切り分けて考えることが大切だと書かれています。

    物事に対して直感的に反応してしまうことがあるのですが、この本を読んで、事実と気持ちを切り分けることの重要性を学びました。
    「嫌だ」と思う前に、何が起きているのか、自分はどう感じているのか、どうなってほしいのかを整理する。これだけで、相手に伝えやすくなるのです。

    荻原:なるほど、事実と感情を分けるということですね。

    結城:その通りです。さらに興味深いのが、第4章の「ボディワーク」です。アサーティブな人はどんな姿勢で歩いて、どこを見て会話して、どんなスピードでどんな音程で話しているか。そこまで言語化されているのです。

    荻原:そこまで具体的に書かれているのですか。

    結城:はい。アサーティブな人を思い浮かべてイメージすること自体が大事だと。精神的な問題でありながら、体と心は連動しているので、体の準備も必要だと書かれています。落ち込むときは下を向いてしまうけど、空を見ながら落ち込むことはできない。それと同じで、形から入ることも効果的なのだと納得しました。

    荻原:確かに、姿勢や声のトーンで印象は大きく変わりますよね。

    4.目上の人にも伝える勇気

    荻原:本書の中で印象に残ったエピソードはありますか?

    結城:第8章に載っている、町内会でのエピソードが非常に印象的でした。ある方の実体験なのですが、自治会婦人部でお祭りを開催することになり、地元の著名な陶芸家が作品を寄付してくれたそうです。

    ところが、100円の駄菓子と一緒に3,000円の陶芸作品を並べても、当然売れない。お祭りが終わっても作品は一つも売れず、婦人部部長のKさんが「みんなで買い取りましょう」と提案したのです。

    荻原:それは困りますね。

    結城:周囲も「Kさんが言うなら仕方ない」という空気になりかけたそうです。でも、アサーティブを学んでいたこの方は、思い切って発言したのです。

    「先生が作品を寄付してくださったのはとてもありがたいことだと思っています。ただ、100円の駄菓子と一緒に並べたら、大事な作品でも価値が見えなくなってしまう。先生に正直に報告して、ご意見を伺うほうがいいのではないでしょうか。せっかくの作品だから、価値がわかる方が購入するべきだと思います。」

    荻原:事実と気持ちと要望を、きちんと切り分けて伝えていますね。

    結城:すると、他のメンバーも全員うなずいて賛成してくれた。一番反対されると思っていたKさんも「タンスの肥やしがまた一つ増えるところだったわ」と快く納得してくれたそうです。先生ご自身も「安く売ってくれて構わなかったのに。失敗したね」と笑って受け止めてくれ、結局、別の敬老会で展示販売することになったそうです。

    荻原:素晴らしい結果ですね。

    結城:このエピソードを読んで、目上の人に対しても、恐れずに言葉にして伝える勇気が大切だと感じました。もし何も言わずに受け入れていたら、モヤモヤを抱えたまま過ごすことになっていたかもしれない。アサーティブを学んだおかげで、一歩踏み出すことができたという話に、深く共感しました。

    営業の仕事でも、お客様に伝えるべきことがある場面や、上司に共有しておかなければならない場面はたくさんあります。たとえば、無理な値引き依頼を断るとき、メンバーに改善点を伝えるとき、上司に懸念を共有するとき。感情でぶつかるのではなく、事実・感情・要望を整理して伝えることができれば、関係性を損なうことなく前に進めます。このアサーティブという手法は、円滑なコミュニケーションを築くうえで非常に有効だと思います。

    荻原:確かに、お互いが気持ちよく仕事できそうですね。

    結城:はい。感情を込めすぎると伝わりにくくなることがありますが、事実ベースで伝えることで、ロジカルな人にも、価値観が異なる人にも、伝えやすくなるのではないかと思いました。

    荻原:最後に、本書はどのような方におすすめですか?

    結城:自分の気持ちをもっと上手に伝えたいと思っている方。言いたいことがあるのに、うまく言葉にできなかった経験がある方には、ぜひ読んでいただきたいです。

    また、仕事でお客様や上司など、相手を立てる環境にいて、自分の意見を挟むタイミングを探している方にもおすすめします。この本を読むことで、自分が主体的に発言できる場を増やせる方法が見つかるはずです。

    荻原:アサーティブな対話が増えれば、チームの心理的安全性も高まりそうですね。組織づくりの観点でも、大切なテーマだと感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

    結城:こちらこそ、ありがとうございました。

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒誰でもできる!アサーティブ・トレーニング ガイドブック

    〇トップセールスの本棚とは?
    【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
    営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
    ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

    結城 香織

    埼玉県生まれ埼玉県育ち(本籍は福井県)
    営業の力で、「笑顔」と「明るい未来」のあふれる社会に貢献していきたいという思いから、アルヴァスデザインの企業理念に共感し2025年4月に入社。 趣味はサウナ、家の片づけ、四季のお花を飾ること。

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