Deep Skill ディープ・スキル 人と組織を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」(石川 明著 ダイヤモンド社 2022年)
こんにちは、高橋です。
本日は、Deep Skill(ディープスキル)という本をご紹介します。
私たちビジネスパーソンは、人と関わりながら仕事をしています。
とりわけ、営業パーソンは多くの人と接する仕事で、案件の大小によってはお客様と自社の組織対組織の関わり合いが生まれることも珍しくないでしょう。
本書は、このように人や組織とは切っても切り離せない私たちに、大きな学びを与えてくれます。
単なるハウツー本ではなく、人間の心理を理解した上で、対ヒトや対組織と関わりを持つためのヒントを得ることができます。
目次
1. 人と組織が動くということは
人と関わり、組織の中で仕事をしていると、連携・連動・連関というような連(つら)なりがいかに大切かを思い知らされます。
誰かの想いで始まるビジネスの種を「アイデア」とした場合、それが芽を出し、成長し、最終的にお客様の元に届くまでには、さまざまな連なりを必要とします。
そのどこかが途切れたら、そのどこかに欠陥があったら、お客様に価値の高い商品やサービスを提供することはできません。
「バリューチェーン」という言葉は、ビジネスシーンでもはや一般的な言葉です。
これは、まさに「価値」が「連なる」ということを指し、特定のビジネスに関与するステークホルダーの全てが結びつくことで、お客様にとっての価値が最大化することを意味しています。
ここで大切なことは、「共に動く」ということです。
一言では、「協働」です。そのためには、私たちは、人や組織を動かし、動かされることを目指さなければなりません。
私たち株式会社アルヴァスデザインは、「営業する/されるが楽しい世の中を実現する」というビジョンを掲げています。
この「する/される」とは、まさに「協働」の証であり、それを実現するためにも、人と組織を動かすという視点が欠かせません。
一人では生きることができないビジネスシーンでは、人と組織をいかに動かすかが肝要なのです。
2. 特に意識したい4つの技術
人と組織を動かす上で、今回のコラムでは「21の技術」から厳選して4つをご紹介します。
・その1:正論を真正面からぶつけるな!
人間は感情を持つ生き物です。そして、人間の意思決定には大きく感情が影響することは有名な話です。これは世界的な名著であるファスト&スロー 上下 あなたの意思はどのように決まるか?でも紹介されています。
「わかってはいるけどやりたくない。」「理解したけど賛同できない。」という感情を持つことは、全く珍しくありません。人間は感情で物事を決定し、後で論理を構築するのです。
つまり、私たちがいくら正論を述べたところで、相手の感情にポジティブな影響を与えない限り、物事は前に進みません。
むしろ、真向から正論を述べることは、相手の感情を逆なで、かえって物事の進行を遅らせるだけでなく、人や組織の風土まで悪化させる可能性があるのです。
・その2:自分だけのポジショニングを取れ!
組織の中で仕事をしていると、「あの人は優秀だな。」「こういう先輩のようになりたい。」「優秀な同期には負けてられない。」という感情を、一度は持ったことがあるのではないでしょうか。
このような想いを持つことは、私たちの成長を刺激するという意味で必要不可欠です。
ただ、忘れてはならないことは「自分自身の強みを活かしたありたい姿」を描くことです。優秀な方の真似をすること、スキルやマインドを盗むことは大切です。
しかし、自分の強みを見つけ、それを活かすことこそ、組織の中で希少性と価値が高いビジネスパーソンになるのです。
私たち株式会社アルヴァスデザインも、「守破離」という考え方を大切にしています。
まずは、私たちが培ってきた仕事のやり方と文化を徹底的に学ぶこと(守)からスタートします。その上で、徐々にそれを独自のやり方に変えていき(破)、最終的にはユニーク性の高い仕事を遂行(離)できるようになるのです。
・その3:ご機嫌の良さを保つことはスキルだと心得よ!
前述した通り、私たちは感情を持っています。そのため、出会う人や環境、それがもたらすある種の雰囲気によって、常に感情を揺さぶられています。
ただ、ビジネスパーソンとして常に「ご機嫌である」ということを見せることは大切です。とりわけ、マネージャーにとっては必須のスキルと言えるでしょう。
例えば、営業現場ではクレームまではいかないまでも、さまざまなネガティブ事象が起こります。これは、どのビジネスパーソンでも必ず遭遇するものです。
こんな時は、真っ先にマネージャーやチームのメンバーに相談することが大切です。なぜならば、ネガティブ事象を眠らせておいても良くなることはほとんどなく、むしろ悪化するからです。
でも、いざ相談をしようとしても気になるのが周りの表情であり、空気感です。その根底にあるのが、その場に居合わせた人が持つご機嫌です。
風通しの良い組織を作る、よりチームワークに富んだ組織を作る、そういった場合に大切なことはマネージャー自身がご機嫌でいることなのではないでしょうか。
・その4:他者の脳みそを借りまくれ!
皆さんは、このようなご経験がありませんか?
- 相談してみたら新しいアイデアが浮かんできた
- 添削してもらった明らかな間違いや欠陥に気付いた
- 対話をすることで思考の整理につながった
私たちは、誰かに話を聞いてもらったり、意見をもらったりすることで思考の枠を広げることができます。時には、考えもつかなかったアイデアを手にすることもできるでしょう。
このような意味で、壁打ち、コーチング、対話などの機会はとても大切です。
しかし、ビジネスパーソンによってはこれらを敬遠したいと感じることもあるようです。
その背景には、「まだ、完璧な状態ではないから見せたくない」「ダメ出しをもらいたくない」「否定されたらプライドが傷つく」というようなことがあるのではないでしょうか。
確かに、過去のネガティブな経験から他者とのコミュニケーションをしたくない気持ちが芽生えることもあるでしょう。人間は本能的に安全を望みますし、現状維持の気持ちを強く持っています。
しかし、フィードバックを受けることで仕事の質を高めることはとても大切なのです。一時のプライドを捨てることで、自身と組織の双方が成長する働きかけをしていくことはとても大切なのではないでしょうか。
3. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、「Deep Skill(ディープスキル)」から4つの技術を厳選してお届けしました。
私たちは、人や組織と助け合いながら仕事をしています。この環境の中で、互いに気持ち良く仕事を進めていく方法を模索することで、互いの成長も加速することでしょう。
人間は感情を持った生き物です。それを前提にコミュニケーションすることは大切です。
そして、感情を持った自分自身をいかにセルフマネジメントしていくかも考えておきたいことですね。
変化の激しいビジネスシーンで、いかに組織の中で価値の高い人材になっていくのかを考えるためにも、ぜひご一読いただきたい書籍です。
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【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
高橋 研
代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。