ALVAS JOURNAL

ツァラトゥストラ①(ニーチェ著 1973年 中公文庫)~読むことは何を意味するのか?~

こんにちは。石井です。

今回から、中公文庫から出版されているツァラトゥストラを複数回に分けてご紹介します。

ツァラトゥストラは、ニーチェの代表作の1つです。しかし、800ページほどある本書を読破することは難しいだけではなく、内容もなかなかヘビーです。

そこで、本コラムでは複数回に分けて皆さんにお伝えしたい箇所をピックアップしてお届けします。きっと、本コラムをお読みいただければ、ニーチェの素晴らしさに触れ、「ツァラトゥストラ」を読んでみたいと思うことでしょう。

今回は、「第一部:読むことと書くこと」をベースにして考えていきます。

 

目次

    1. ニーチェという人物とツァラトゥストラを読む前に

    ニーチェは、1844年にプロイセン(現在のドイツ)で生まれました。

    彼は、哲学者として活躍したことは有名です。大学で教鞭をとり、後に執筆活動に専念することになります。

    ツァラトゥストラを読む前に知っておきたいことは2つです。

    1つ目は、ニーチェはキリスト教を批判する言葉を多く残していたわけですが、その背景には熱心な信者であったことがあげられます。彼は、「神は死んだ」という言葉を残しましたが、これは彼の強い信仰心が生んだ言葉です。

    2つ目は、ツァラトゥストラの大まかなストーリーです。ツァラトゥストラは、山にこもって孤独な生活をします。その中で神は死んだことを近くし、人間は人間を超える存在になるべきであることを伝えるべく山を下ります。

    そして、ツァラトゥストラは人々にさまざまなことを語り掛けていきます。この語り掛けことそが、ツァラトゥストラの書籍の大部分を占めているわけです。

    まとめると、キリスト教を信じたニーチェが、「神は死んだ」という思想に直面し苦悩した想いを、ツァラトゥストラの語り掛けに乗せて訴えかけているのが本書なのです。

    2. 読むこととは?

    私たちは、読書量にバラつきはあるものの、それなりに本に触れる機会がある中で育ったと言えるでしょう。特に、本をよく読む方に刺さる内容かもしれませんが、ツァラトゥストラは下記のように語り掛けています。

    いっさいの書かれたもののうち、わたしはただ、血をもって書かれたもののみを愛する。

    いかがでしょうか?この文章から、ツァラトゥストラは、「読むこと」に対して相当な想い入れを持っていることがわかります。続けて、この言葉を見てみましょう。

    ひとの血を理解するのは、たやすくできることではない。

    いかがでしょうか?

    ご紹介した2つの文章をまとめて解釈すると、「私たちは、著者が全身全霊をかけて書いた本のみを読むべきである。そして、私たちは、それらの本を理解することは簡単ではないことを知るべきである。」ということです。

    この世は、多くの書籍で溢れかえっています。多くの情報があり過ぎます。

    そんな中、私たちは「著者の血が通った本」を選ぶべきなのです。そして、そのような本は難解であることを知らなければなりません。

    3. 簡単に理解できる本に価値はない

    私たちは、もっと難しい本に触れるべきかもしれません。

    現代では、「○○分でわかる」「カンタンに理解できる」というようなキャッチコピーが大量発生しています。このキャッチコピーの前提には、「わからないから簡単にしてほしい」という考えが隠れています。つまり、効率化です。

    もちろん、仕事をする上でも時間は有限ですから時にはこのような考えが必要でしょう。

    しかし、「世に何かを生み出す」ためには、「創造する」ためには、もっと難しい考えに触れる必要があるのではないでしょうか。

    それは、単なる「効率化」では解決できません。そして少なくとも、簡単にやり方を知ることができるハウツー本のようなものに傾倒しては、価値あるアウトプットが出せなくなるのではないでしょうか。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    本日は、ニーチェのツァラトゥストラの第一部である「書くことと読むこと」を元にコラムを書きました。本書は難解ですが、だからこそ奥深く、さまざまな視点や考えを与えてくれます。

    ぜひ、難しい本に挑戦し、その中で成長することで、何か新しいものを世に生み出してみませんか?

     

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