ALVAS JOURNAL

ミライの授業(瀧本哲史著 2016年 講談社)~誰もがミライの変革者〜

こんにちは。荻原です。

いつだって世界を変革させる力があるのは私たち「新人」であると言われたら、皆さんはどう感じますか?

本日は、ベストセラー『僕は君たちに武器を配りたい』の著者・瀧本哲史さんが全国の中学校を訪れて開講した特別講義「未来をつくる5つの法則」のエッセンスをまとめた書籍「ミライの授業」をご紹介します。

瀧本哲史氏は、京都大学で教鞭をとりながら、エンジェル投資家として活動している有名な方なので聞いたことがある方もいるのかもしれません。

本書は、14歳の中学生に向けて書かれていますが、かつて14歳だった私たちにも刺さる名著です。歴史上の偉人のエピソードを紹介しつつ、この混沌とした時代でどのように人生を生きていけばいいのかのヒントをくれます。

偉人は、全部で20人登場します。
彼らがどういう時代に生き、なぜ大成することができたのか、または大成できなかったのかを紹介しています。どの偉人も深い洞察と学びをもたらしてくれますが、すべてをここではお伝えできないので、今回は、私が特に営業担当者にとって重要だなと感じたポイントを抽出してお届けしたいと思います。

 

目次

    1. かつて14歳だった私たちへ

    この記事を読んでいる大多数の人はきっともう14歳ではないでしょう。

    新卒で入社した22歳かもしれませんし、部下を持つ35歳かもしれません。
    なかにはもうすぐ40代後半に差し掛かるベテランかもしれません。

    しかし、皆さんに共通しているのは、かつて14歳であったということです。

    14歳の頃。つまり中学2年生の頃、特に皆さんの頭を支配していたのは、こんな疑問だったのではないのでしょうか?

    「学校の勉強って社会に出てから何の役にも立たなくない?」
    「数学や理科は大人になったら絶対に使わなくない?」

    人によっては、大人になった今でも同じ疑問を抱き続けているのかもしれません。実際、数学や理科のスキルをキャリアに活かす人は、研究者や技術職でもない限りあまりいないため当然の反応です。

    では、なぜ学生時代あれだけ苦労して学び続けたのか?

    良い高校・大学に進学するためでしょうか?それとも良い会社に就職するためでしょうか?

    もし、これが真実なのであれば、非常に悲しい現実と言えます。しかし、答えは違います。

    著者である瀧本氏はこのように考えています。

    「皆さんが学んでいるものの正体、それは「魔法」です」

    2. 私たちが学び続けなければいけない理由

    「魔法」を辞書で引くと、次のような内容であることがわかります。

    「魔力を働かせて不思議なことを行う術。魔術。妖術」(広辞苑・第六版)」

    子供の頃に夢想していた「魔法」という力も大人になるにつれて、それがただのファンタジーであることを学びます。
    しかし、少し視点をずらして周囲を観察すると、自然界には絶対に存在しないあり得ない現象で溢れていることがわかります。

    • 飛行機:12時間以上も飛行可能な全長約100m、重量約1500tもの鉄の塊
    • 電車:数分に一度、3000人を一度に別々の場所に移動させる鉄の箱
    • エアコン:24時間365日、ボタンを押すだけで一定の温度を保ち続けられる空間を作り出せるプラスチックの箱
    • 電子レンジ:ボタンを押すだけで、物質内部の水分のみを温める箱
    • 洗濯機:洗い・濯ぎ・脱水・乾燥をボタンひとつで自動的に完了させる箱

    極めつけは、下記のすべての機能がわずか重さ200g未満のアルミ製の箱に収まってしまっていることです。

    「百科事典、広辞苑、外国語辞書、映画、音楽、メモ帳、ゲーム、雑誌、書籍、時計、カレンダー、漫画、方位磁針、ボイスレコーダー、ライト、家計簿、天気予報、計算機、自分だけの健康データ、翻訳機、メール、通販カタログ、ラジオ、スキャナー、写真加工、映像加工、求人誌、銀行口座、新聞、電話、カメラ」

    この箱の名前をスマートフォンと言います。

    今や「日本国民の96.3%がスマホを所持する時代」ですので、インフラに近い媒体であると言えます。(NTTドコモ モバイル社会研究所より引用)

    しかし、1980年代でスマホの中に入っているすべての機能を享受しようとしたら、かなり大変かつ高価でした。なぜなら、ほとんどの機能が単独で存在していたからです。

    現代では、それらが技術の向上と発想の転換によりわずか200gのアルミ製の箱に収められました。もしこれを江戸時代の人間が見たら、きっと狐にばかされているか、妖術の国迷い込んだかと思ったのではないでしょうか。

    それだけ、現代人が享受しているテクノロジーは「魔法」に匹敵する力があるのです。

    そして、これらのテクノロジーは基本的に学校で学んだ基礎を発展させて作られています。そのため、これまでの人類の叡智を組み合わせにすぎないのです。

    ここで最初の疑問に戻りましょう。

    「なぜ私たちは学生時代に無駄とも思える勉学を強制させられていたのか?」

    その答えは、魔法技術(テクノロジー)の基礎を学ぶことで未来を変革させる基礎力を身につけるためなのです。

    著者の言葉を借りるなら、

    「勉強の目的は、いい高校や大学に合格することでも、いい会社に就職することでもありません。もっと大きな、もっと輝かしい未来を作るために勉強しているのです」

    です。

    3. 未来を変えるのはいつも「新人」

    人類の歴史は、有史以来、連綿と受け継がれてきました。その中で数多くの価値観が誕生をしては、別の価値観に塗り変わっていきました。

    そしてそれは、どれだけ強固な価値観であっても時代とともに変化をしていきます。

    • 古代ギリシャから数えれば2000年間以上は信じられてきた「天動説」
    • 全世界的に普遍的であった、男尊女卑の精神
    • 昭和時代では常識であった、現代ではハラスメントに当たる行動の数々
    • 残業をして当たり前から、働き方改革の普及
    • 対面営業からオンライン営業

    では、なぜ強固な価値観すら時代を経て変革するのでしょうか?

    テクノロジーが進歩するからでしょうか?

    その答えをアメリカの哲学者である「トーマス・クーン」氏が語っています。

    「あたらしいパラダイムの基本的発明を遂げた人は、ほとんど、非常に若いか、パラダイムの変更を促す分野にあたらしく入ってきた新人かのどちらかである」

    「明らかに彼らは、通常科学の伝統的ルールに縛られることがなく、これらのルールはもはや役に立たないから外のものを考えよう、ということになりやすい」

    ここで言う「新人」とは、若い世代の人たちやかつて若い世代と言われてきた人たちのことです。

    これは、たとえ現在、40代であったとしても、60代と比較したら十分に若いためです。

    昨今、営業の現場においてもこんなシーンを目にする機会はなかったでしょうか?

    • 従来の電話や対面での営業スタイルに固執する上司と、オンライン会議やデジタルマーケティングを活用しようとする若手社員
    • これまでずっと出社していたからと出社に固執する上司と、在宅でも出社並みかそれ以上のパフォーマンスを出すことができるから在宅勤務の頻度を増やしたい若手社員

    このように若手社員は、新しいテクノロジーやツールを駆使して効率的な営業活動を行おうとする一方で、上司は長年培ってきた伝統的な手法にこだわり続けることが少なくないのです。

    この世界には、例え同世代同士であったとしても完全に同じ価値観を持っている人はいません。

    日常に潜む違和感、仕事中に感じるモヤモヤ。それはきっと変革の種です。その種を育てるのも見なかったことにするのも私たち次第です。

    今日から少しでも「違和感」を見過ごさないことが最終的に大きな変革に繋がるのではないのでしょうか。

    この世界を変革してきたのはいつだって「新人」なのですから。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    「ミライの授業」という作品は、14歳に向けて書かれていますので、第一線で働く営業担当者は手に取りづらい書籍です。しかし、書かれている内容は、この世界の本質をついていると言っても過言ではない内容となっています。

    本記事では、ご紹介しませんでしたが、偉人にまつわる数々のエピソードはどれも読み応えがあります。また、14歳の未来を明るくするためにという想いが表現された本であり、非常に力をもらえます。

    最後に良くも悪くも、第一線で日々忙殺されていると、自分たちが「新人」であるということを忘れてしまうことも少なくありません。

    社会を変革させるのは一朝一夕にはいきませんが、自分の周りだけであれば、難易度は低いことが多いです。
    本記事がみなさんの新人」としての感性を少しでも思い出させるきっかけになれば幸いです。

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒ミライの授業

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    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

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