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アイデアのつくり方(ジェームス・W・ヤング著 1988年 株式会社CCCハウスメディア)~ひらめく人は天才か?~

初めまして。本コラムを初めて担当します根建です。
今回は、アメリカ最大の広告代理店で敏腕を振るったジェームス・W・ヤング氏の著書「アイデアのつくり方」をご紹介します。

本書は1988年に初版が刊行されていますが、実際は80年以上前のコラムに掲載されたもので、現代でもベストセラーの一つでもありますので、読まれた方が多くいらっしゃるのではないかと思います。

目次

    1.「ひらめき」と聞いて何を思い浮かべますか?

    私自身が凡庸であるため、頭の回転が速い人、正解を導くことができる人、アイデアをひらめく人を目の当たりにすると、頭の出来が違うのだな、と感じることが多々あります。
    かのエジソンの有名な名言「天才とは、1%のひらめき(inspiration)と99%の努力(perspiration)である」はご存じかと思いますが、この2つ、比較するものなのでしょうか。
    まずはChatGPTに「ひらめきと努力、どちらが大事?」と尋ねてみたところ、答えは次の通りでした。

    「ひらめきは、新しいアイデアや革新的な解決策を生み出すために不可欠です。~中略~、一方で、努力は目標を達成するために必要な行動を継続する力です。」

    「アイデア」をつくり出すためには、「ひらめき」も「努力」も大事な要素ということですが、革新的な解決策を生み出すために不可欠な「ひらめき」は、「努力」に比べると、より先天的に持って生まれた特別な才能に思えます。
    では才能を持った人はどれくらいいるのでしょうか。

    2.この世界には2種類の人間がいる。

    著者はある社会学者が提唱する定義を使って、「世界には2種類(アイデアを生み出すorそうでない)の人間がいる」と紹介しています。
    一つは新しい組み合わせの可能性につねに夢中になっている「投機的な人々」、もう一方は「投機的な人々に操られる側の人々」です。
    この2つのタイプが生まれつきによるものか、環境によって形作られたかは問題の本質ではなく、現実に2種類のタイプがいるということと、残念ながらアイデアをつくり出す(ひらめく)ことができない人々もたくさんいるということが否定できない事実であると語られています。
    では、「ひらめく人」は一握りなのでしょうか。この社会学者によると「投機的な人々」の中には企業家、あらゆる種類の発明や、政治・外交活動に従事する人々も含まれており、決して小さいグループではないことがわかります。つまり、新しい組み合わせの可能性を考え、アイデアをつくりだす才能は決して稀有なものではないということです。

    3.アイデアをつくり出すために必要なこととは?


    我々がアイデアをつくりだす才能を持っていたとして、その才能を発揮するためには「技術の習得」が不可欠だとしています。どのような技術を習得するにも、重要なことは「原理」を知り、「方法」を訓練することだと示しています。
    本書では、2つの原理と段階的な5つの方法を紹介していますが、その内容については、是非ご自身で確認いただければと思います。
    ただ、ここで初めにとるべき「方法」を紹介すると、「情報を収集する」という実にシンプルなことです。しかし、最も有効的なことではありますが、最も面倒で中途半端に終えてしまうものでもあると説明しています。

    4. おわりに


    今回ご紹介した本のタイトルは「アイデアのつくり方」です。
    著者が広告代理店で活躍していたため、本書は広告を事例に取っていますが、読み終わると自分が経験してきたありとあらゆる事象が、そこに当てはまるように感じると思います。
    「アイデア」を「目的達成に必要なもの」と捉えれば、営業を成約に導くアイデア、より効率的にモノを生産するアイデアなど、営業職、製造業など業種・業界に問わずに適応できる手法だといえます。
    事実、私は営業をする際には相手の情報を集め(今の時代はインターネットでほとんどの情報を収集できます)、さらに、それをもとに面談で、相手から直接情報を集め、情報を整理し、考えて実行に移し、成約に導くという方法を取っています。営業で成果を残している方は無意識にでもしているかと思います。

    本文は60ページに満たないですが、翻訳の関係からかペーパーバックを読んでいる感覚で、はじめは頭に入ってこない方もいるかもしれません。
    まずはざっと30分程度で読んでしまい、解説や訳者あとがきを読んでから、再度読みなおすと腑に落ちるかもしれません。2度読み返しても2時間もかかりませんので、通勤や通学中、本を読む人がめっきりと少なくなった電車の中などで読んでみてはいかがでしょうか。

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    根建 良司

    大学卒業後、医療業界に長く従事。その後、組織マネジメントに携わったのち、営業コンサルにも興味を持ち、現職に至る。好きな言葉は、ある物語に登場する大旦那の一言。「人間なんてものはな、無駄なことがしたいがために、普段から額に汗して働くんだ」。

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