ALVAS JOURNAL

失敗の本質(戸部 良一、寺本 義也、鎌田 伸一、杉之尾 孝生、村井 友秀、野中 郁次郎著 1991年 中央公論新社)~失敗から学ぶ3つのこと~

こんにちは。荻原です。

今回は、いつもと趣向を変えて、アルヴァスデザインで勤務しているメンバー激推しの「至高の1冊」をご紹介したいと思います。

本日は、第1回。

お話をお聞かせいただいたのは、営業経験が30年以上あるベテランマネージャーの岡田さんです。

そして今回ご紹介する本がこちら、「失敗の本質: 日本軍の組織論的研究」です。

是非、ご一読いただければ幸いです。

目次

    岡田さんが推薦する『失敗の本質』の魅力とは?

    荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、ビジネスパーソンにおすすめしたい岡田さんの至高の一冊について簡単にご紹介お願いします。

    岡田さん:はい、よろしくお願いします。私が大好きなのは『失敗の本質』という書籍です。初版は1980年代に6名の研究者の共著という形で執筆されています。内容としては、太平洋戦争で日本軍が負けた背景を「組織」という観点で、日本軍とアメリカ軍を比較した内容となっています。

    本書は5回ほど読んでいるのですが、私の経験では、現在のビジネスシーンでも通用する内容ばかりです。ただ、逆に言うと、今でも通用するということは、今でも日本軍が行っていた「失敗」につながる行動を日本のビジネスパーソンがしてしまっている…ということなので、複雑な心境にさせてくれる書籍でもあります(笑)

    また本書は、今後の日本のビジネスシーンで是非、活かしてほしいという願いを込めて書かれているので、ビジネスパーソン必読の書籍であると思います。

    書籍に興味を持ったきっかけは?

    荻原:この本とは、どのようなきっかけで出会われたのですか?

    岡田さん:私は大の歴史好きなので、いろんな歴史本を読み漁る機会が多くありました。ある日、もう題名も覚えていないのですが、日本とアメリカの違いについて書かれている雑誌を読んでいたのです。そこで「この内容の詳細は『失敗の本質』に書かれている」という趣旨の引用があったのです。そこで、早速買って読んでみた所、やはりすごく面白かったんです。これが本書との出会いだったと思います!

    荻原:なるほど、運命的な出会いですね!

    具体的にはどんな内容が本書に書かれているのですか?

    岡田さん:例えば、日本軍とアメリカ軍とでは「組織運営」に対する「思考法」が根本的に違っていたということが書かれています。強い軍隊を作るために、日本軍が練習と磨き上げ、つまり「錬磨」に重きを置いていたのに対し、アメリカ軍は「誰でもいつでも使える」つまり「標準化」を非常に大事にしていたそうです。

    荻原:なるほど!それは真逆ですね!

    岡田さん:そうなんです!当時の日本軍は夜間、敵の索敵を行うために、「すごく視力がいい人」を選抜しながら、日々どうすればその視力を向上させることができるのかに労力を割いていたそうです。例えば、遠くにある様々なターゲットを見つける練習をしていたそうです。つまりは、強みを磨き上げていく、ということをしていたのですね。ただ、これは優れた人材を選抜する手間とその人材の強みをより磨く手間を要するやり方だったのです。

    荻原:確かに、目が特別良い人ってそういないですもんね…

    岡田さん:反対に、アメリカ軍は「そんな人」を育てるくらいならレーダー作る方が楽と考えたのです。レーダーを作ってその操作の仕方を誰でもわかるマニュアルに落とし込むことで誰もが索敵できるようにしたのです。

    荻原:全く違ったアプローチですね!

    岡田さん:そして、悲しいことに現代の日本でもこういう何でもできる人を育成しよう!という話を耳にすることが多いのです。よく聞きませんか?「何でもできる人を育成しよう。」「この営業のやり方を磨き上げろ!」「この方法でやるのが正しいんだ…」これらは日本ではよく言われがちなフレーズですが、アメリカでは、反対に、「目的達成できるのならなんでも良い」という言い方をするのです。ある意味、日本は「一人のスーパーマン」を育てる思考を意識しており、アメリカは「みんなでスーパーマン」を意識しているということになるのです。

    荻原:これは非常に興味深いですね。

    この本から得た教訓をどのように日常の業務に活かしていますか?

    岡田さん:私はこれまでに何回かこの書籍を読んでいるのですが、その度に特にこの3つが大事なんだろうと思っている事があります。

    それは、

    ①事実を事実として認識する
    ②他者との協働
    ③仕組みを作る

    です!

    荻原:是非、一つずつお聞かせください!

    岡田さん:まずは「①事実を事実として認識する」からお話ししますね。「結果」にはどうしても個人の期待や希望みたいなものが差し込まれる瞬間があると思っています。しかし、それでは本当に解決しなければならない問題・課題も判断できなくなるのです。そのため、事実は事実として自分の中で、それが良かろうが悪かろうが、それはそれでちゃんと受け止める。これを徹底すれば、適切なスタートおよびゴール地点を描けるようになるので、私はいつもこれを意識するようにしています。

    荻原:確かに事実を事実として受け止める力は大事ですよね。

    岡田さん:次に「②他者との協働」です。さっきも少しお話しましたが、私はすごいスーパーマンみたいな超人や、何でもできる天才みたいな人一人が何かを成すよりも、何でもない普通の凡人が集まって知恵を捻り出して行動を起こすことの方が意味深いし、目標の実現に近づけると思っています。何せ一人の天才に依存していると、その人がいなくなったら回らなくなっちゃいますからね(笑)先の日本軍じゃないですけど、実際、夜中に双眼鏡を持って外を眺める人が死んじゃうともう誰も探せない…ということになってしまいますよね。レーダー使ってやれるのだったら誰でもレーダーのエキスパートになった方がいいなと思います。そしてやはり、いろんな人が集まってやるからには役割分担と権限委譲は必須かなとも思っています。任せるって決めたからには、もう任せきれると腹くくって何かあったら一緒に責任取るみたいな…(笑)そういうのがないと多分いわゆる普通の人が集まって大きなことを成すことができないのだろうなと思います。

    荻原:それは確かに間違いないですね。

    岡田さん:三つ目はこれまでの話と少し重なるのですが、「仕組みを作る」ことです。要は誰でもできる再現性を持たせることです。これだったら自分以外の人でも同じような結果が出せるようになるっていう仕組みをちゃんと作るっていうのが大事な事かなと思っています。まとめると、①事実を事実として認識する、②他者との協働、③仕組みを作る、です。

    どんな人にこの書籍をおすすめしますか?

    岡田さん:この書籍は部下を持つ人だけでなく、上司を持つ人全員にぜひ読んでほしい一冊になっています。なので、ビジネスパーソン全員に読んでほしいです!(笑)

    荻原:全員!!

    岡田さん:この書籍は、入社したタイミングや部下を持つようになったら課題図書として渡されるという話を聞いたことがあります。上司は上司で部下がやってしまいがちな「失敗」を、上司は上司自身で自身の上司にやってしまいがちな失敗を数多くの事例を踏まえて学べるからです。ただ、影響力で考えると、ぜひ上司の方々に読んでほしいですね!例えばこれから営業所長になる方ですとか…。

    荻原:なるほど!私も未読の一冊なので、早速購入して読んでみようと思います!本日は、非常に有益なお話をありがとうございました。『失敗の本質』は、確かに多くのビジネスリーダーにとって参考になる一冊ですね!

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒失敗の本質: 日本軍の組織論的研究

    〇トップセールスの本棚とは?
    【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
    営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
    ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

    荻原エデル

    社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
    趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

    岡田 剛幸

    大学卒業後、大手小売業での販売営業経験を経た後、大手たばこメーカーに転職。営業・マネジメントに加え営業組織の立ち上げを経験。2022年10月アルヴァスデザインに参画。
    趣味は読書。歴史、失敗と人の行動が研究テーマ。好きな言葉は「温故知新」

    RELATED ARTICLES よく読まれている記事

    営業の本質が問われる
    時代の到来。
    熱い気持ちを輸送経済新聞
    「いま、生き残るための営業術(全12回)」で表現しました。