実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス(前野 隆司著 2017年PHP研究所)~営業を楽しむための心理学的アプローチ~
こんにちは。荻原です。
今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。本日、インタビューに答えてくださったのは、アルヴァスデザインのマネージャーとして活躍中の岡田さんです。
人生における心の持ち方と幸福感の関係性について深い知見をもたらしてくれる一冊として「実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス」をご紹介いただきました。
を進める中で、時に重圧や否定的な感情を生み出すときがあると思いますが、そのようなときこそ、科学的アプローチで幸福感を高める視点は学ぶ価値があります。是非、ご一読ください。
目次
1. 「実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス」はどんな書籍?
荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、岡田さんのおすすめの一冊について簡単にご紹介お願いします。
岡田:はい、私がご紹介したいのは『実践ポジティブ心理学 幸せのサイエンス』というPHP研究所の新書です。著者は前野隆司さんという方で、慶應義塾大学で活動されていた後、現在は武蔵野大学でウェルビーイング学部を主催されている方です。
この本は、ポジティブ心理学という考え方を基に、人がより幸せに充実した人生を送るための科学的アプローチについて書かれています。特に興味深いのは、著者がこのポジティブ心理学を日本人の文化や価値観に合わせて最適化し、「幸福学」として体系化している点です。
荻原:なるほど。幸せを科学的に研究するという視点は興味深いですね。また、読みやすい新書サイズというところもいいですね。
岡田:そうですね。約3時間あれば読める分量で、ポジティブ心理学のエッセンスをコンパクトにまとめているので、忙しいビジネスパーソンにも手に取りやすい本だと思います。
2. 「実践ポジティブ心理学」との出会い
荻原:この本との出会いはどのようなものだったのでしょうか?
岡田:実は、仕事の中で何とかできないかと感じていた問いの答えを探していたことがきっかけです。「営業」という仕事は、しばしば「つらい」「きつい」という感情が出てくる方が多いと感じていました。アルヴァスデザインでは実践を通じて営業に対する感情を前向きに変えていく研修を提供していますが、心理学においても効果性の高い知見はないかと探していたんです。
今回、アルヴァスデザインの考え方と親和性の高い理論を見つけて、より深く内容を理解したいと思っていました。将来的には、そうした学問的知見を取り入れた研修コンテンツの開発などにつながれば・・・ともイメージしていたので、この本に出会えたのはとても良かったと思います。
荻原:なるほど。実践と理論を結びつけるという視点から、この本に出会われたんですね。実際に読んでみて、アルヴァスデザインが提供している研修内容とポジティブ心理学の方向性は合っていましたか?
岡田:かなり親和性が高いと感じました。特に本書で紹介されている「幸福の四つの因子」というフレームワークは、私たちの研修内容と非常に共通点が多いです。著者の前野さんは、これまでの研究を通じて幸福感を生み出す要素を四つに分類しているのですが、これが非常に腑に落ちる内容でした。
3. 幸福の四つの因子と営業への応用
荻原:「幸福の四つの因子」について、もう少し詳しく教えていただけますか?
岡田:著者の研究によると、人間の幸福感は大きく四つの因子に分けられるそうです。
一つ目は「やってみよう!」因子、つまり自己実現と成長です。目標に向かって挑戦し、成長することが幸福につながるという考え方です。
二つ目は「ありがとう!」因子で、つながりと感謝に関するものです。他者との関係性や感謝の気持ちが幸福感を高めるという要素ですね。
三つ目は「なんとかなる!」因子、これは前向きな思考に関するもので、楽観的な考え方が幸福度を上げるということです。
そして四つ目が「ありのままに!」因子、自己受容に関するもので、自分らしく生きることの重要性を示しています。
荻原:これらの因子を営業活動に応用するとどのようなことが考えられますか?
岡田:それぞれの因子を営業活動に当てはめると、非常に示唆に富む視点が得られます。例えば「やってみよう!」因子でいえば、営業はまさにチャレンジの連続であり、学びや成長の機会が豊富です。目標達成に向けて努力し、成長していくプロセスそのものが幸福感につながります。
「ありがとう!」因子については、営業は本質的に人とのつながりが不可欠な仕事です。顧客からの「ありがとう」の言葉がモチベーションとなり、幸福感を高めます。
「なんとかなる!」因子は、営業活動で直面する困難や挫折に対して、「なんとかなる」と前向きに考えることで回復力が強まり、継続的な幸福感につながります。
最後に「ありのままに!」因子は、自分のスタイルを活かしながら営業活動ができることで、自分らしさを発揮できる喜びを感じられるということです。
荻原:営業の本質を捉えた因子ばかりで共感しました。特に「ありがとう!」は日々のやりがいを再認識させてくれますね。
4. 「実践ポジティブ心理学」から学んだ具体的な実践方法
荻原:本書から学んだ具体的な実践方法はありますか?特に日常で取り入れやすいものがあれば教えてください。
岡田:本書には様々な実践方法が紹介されていますが、私が特に印象に残ったのは「上を向いて歩く」というシンプルな実践法です。これは本当に簡単なことなのですが、効果は絶大なんです。
具体的には、日常生活の中で意識的に上を向く、空を見上げるという行動を取り入れるだけです。著者の研究室でも実際に学生たちが試したところ、今まで気づかなかったことに気づき、明るい気持ちになったという結果が出ているそうです。
実は私も日々の通勤時や信号待ちなどで、意識的に空を見上げるようにしています。雲の流れを追ったり、形を何かに例えたり、「今日は天気が良くてきれいだな」と感じたりするだけで、心が前向きになります。
荻原:私も実はそれを実践しています!仕事で行き詰まったときに、ちょっと外に出て空を見上げると、広いなと感じて気持ちが一気に跳ね上がりますね。
岡田:そうですよね。本書によると、こうした上向きの姿勢が脳に前向きな信号を送り、ポジティブな感情を生み出すのだそうです。逆に、パソコン作業など下を向いている姿勢が多い時には、マイナスの感情が出やすくなるという仮説も紹介されています。ですから、例えばパソコン画面を目線より高い位置に置くなど、姿勢を工夫するだけでも効果があるかもしれません。
荻原:そういえば、ネガティブな気持ちになっている人は下を向いていることが多いですね。これはすぐに試せる実践法で、非常に参考になります。
5. 「実践ポジティブ心理学」はどんな人におすすめ?
荻原:最後に、この本はどのような方におすすめですか?
岡田:私は主に二つのタイプの方におすすめしたいと思います。
一つ目は、最近仕事が辛いと感じている方、あるいは仕事が面白くなくなってきたと感じている方です。本書を通じて、仕事の捉え方を見直すきっかけになるかもしれません。
二つ目は、営業職の方々です。特に営業が嫌いだと感じている方に、この本を通じて営業という仕事の見方を変えるヒントを得てほしいと思います。
年齢やキャリアに関係なく、幅広い方におすすめできる一冊です。
荻原:興味深いですね。私も機会があれば読んでみたいと思います。最後に、何か読者へのメッセージはありますか?
岡田:はい。本書から私が学んだ最も重要なことは、幸福感は物事を「どう捉えるか」に大きく左右されるということです。同じ出来事でも、捉え方一つで全く違う感情を生み出します。日々の営業活動においても、ネガティブな側面に目を向けるのではなく、四つの幸福因子の視点から仕事を捉え直してみると、新たな発見や喜びが見つかるかもしれません。
特に「上を向いて歩く」という実践法は、誰でもすぐに始められるものです。ぜひ試してみてください。そこから得られる小さな幸福感が、仕事全体の見方を変えるきっかけになるかもしれません。
荻原:ありがとうございました。心理学的アプローチから営業活動を見直すという視点は非常に新鮮で、多くの営業パーソンの方々に響くメッセージだと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
岡田 剛幸
大学卒業後、大手小売業での販売営業経験を経た後、大手たばこメーカーに転職。営業・マネジメントに加え営業組織の立ち上げを経験。2022年10月アルヴァスデザインに参画。
趣味は読書。歴史、失敗と人の行動が研究テーマ。好きな言葉は「温故知新」