プレイングマネージャーの「仕事の任せ方」大全(加藤 定一著 2025年 三笠書房)~価値観理解が成果を変える〜
こんにちは。荻原です。
今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。
本日、インタビューに答えてくださったのは、アルヴァスデザインでプロデューサーを務めている阿南さんです。
マネジメントのみならず、チームで働くすべての方に役立つ『プレイングマネージャーの「仕事の任せ方」大全』をご紹介いただきました!
是非、ご一読ください。
目次
1. 300ページに及ぶマネジメントのバイブル
荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、阿南さんのおすすめの一冊について簡単にご紹介お願いします。
阿南:はい、今回私がご紹介したいのは『プレイングマネージャーの「仕事の任せ方」大全』という書籍です。著者は弊社のパートナー講師である加藤定一さんが、熱量を持って書かれた書籍になります。
荻原:なるほど、ありがとうございます。内容はどのような構成になっているのですか?
阿南:本書は全部で8章から構成され、全300ページにも及ぶボリュームがあります。仕事の渡し方や、部下にどのように仕事を任せるか、それを仕事のフェーズに合わせてどう対応すべきかなど、様々なパターンに分けて書かれています。
特徴的なのは、図やマトリックスが非常に多く、わかりやすく視覚化されていることです。また、チェック表やワークシートなども随所に配置されており、現場で実践しやすい仕掛けが盛り込まれています。
荻原:わかりやすいだけなく実践につながる内容なのですね。
2. 部下の「強み」より「価値観」を理解する重要性
荻原:多くの章があると思いますが、特に印象に残ったポイントはどんなところでしょうか?
阿南:章で言うと第3章「任せる部下を決める」というところが特に印象に残っています。この章は、仕事を任せる部下の決め方をメインテーマに展開しているのですが、特に「部下の価値観の理解」というパートが印象深かったです。
例えば、顧客対応が得意なメンバーと事務作業が得意なメンバーがいたとします。それぞれに強みがありますが、本書では、その人自身の「価値観」が必ずしも強みとマッチするとは限らないと説明しています。
荻原:具体的にはどういうことでしょうか?
阿南:例えば、上手に人前で話せるメンバーの強みはコミュニケーション力や提案力だと思います。しかし、その人自身が謙虚さや調和を価値観として強く持っている場合、社内ルール改革のリーダーなどを任せると、「提言をしたら規範を乱してしまうのではないか」「社内を分断してしまうのではないか」と考えて、心理的負担を感じてしまう可能性があります。
荻原:たしかに、外から見える“強み”と、その人が大事にしている“価値観”がずれていると、任された仕事がかえって重荷になることもありますよね。現場でも多かれ少なかれ起こっている気がします。阿南さんが印象に残った、ほかの事例もぜひ聞かせてください。
阿南:はい。本書で紹介されている事例の中で、著者の加藤さん自身が行ったパーソナルコンサルティングの事例が印象に残っています。
ある女性社員の強みは「共感力」と「責任感」で、後輩の指導がチームで一番上手だったそうです。そこで上司はその強みを活かして、新人用の教育マニュアル作成プロジェクトのリーダーに任命したそうです。
荻原:一見、適材適所という感じがしますね。
阿南:私もそう思いました。実際に彼女はプロジェクトを成功させたのですが、上司が「得意分野で最高の仕事ができて、達成感を覚えたでしょう」と思っていたのに対し、本人は「あまりやりがいを感じなかった」と後に話したそうです。
理由を尋ねると、「自分のキャリアプランを早く実現したいので、新人ではなく上司がどんな仕事をしているかに興味があった。できれば今回のプロジェクトに使った時間は、上司の業務理解を深める業務に費やしたかった」と答えたそうです。
荻原:なるほど。強みは発揮できても、本人の価値観とは合わなかったのですね。
阿南:はい。その通りです。貢献度自体は大きくても、本人の達成感や満足度が低ければ、長期的には就業意欲の低下につながってしまう可能性があります。一般的に考えると、「得意なことをやれば楽しい」と思いがちですが、必ずしもそうではないというのが目から鱗でした。
荻原:確かに、得意だけど好きではないというパターンもありますよね。
阿南:まさにその通りです。「得意」というのは他者から見てパフォーマンスが高いと認識されるものですが、「好き」や「価値観として大事にしている」ことは普段の仕事からは見えにくいですよね。そこを把握した上で仕事を任せることが重要だと思いました。
3.自分の仕事を分析する大切さ
荻原:この本はマネージャー向けの内容が多いようですが、阿南さんご自身の日常業務でも何か変化や気づきはありましたか?
阿南:ありました。アルヴァスデザインでは、他の方に仕事を依頼したり手伝って頂いたりしながら、チームとして協働するケースが多くあります。
そういう背景もあり、第1章の「自分の仕事を分析する」という部分から一番大きな影響を受けた気がしています。
本書では、「自分自身でなければならない仕事」、「部下に任せても良い仕事」、「部下に任せた方が成長につながる仕事」など、様々な視点で仕事を分類するフレームワークが紹介されています。
荻原:なるほど。そのように分類分けするのですね。 一つひとつの仕事を「誰がやるべきか」だけでなく、「どんな目的でやるのか」まで考えることで、日々の業務の質も変わってきそうですね。
阿南:はい。実際に、私も自分自身の仕事を見直してタスク管理をしっかりするようになりました。
その中で、自分でなければできない仕事なのか、他の方に任せた方が効率的なのか、あるいはそもそもやらなくていい仕事なのか、そういった視点で整理する習慣がついてきました。
荻原:素晴らしい習慣ですね。阿南さんのように、実際の行動につながった例を聞くと、読んでみたくなります。
4. 営業職も必見!「言ってはいけないありがとう」の衝撃
阿南:実は本書の中に営業にも役立つコラムがありました。「言ってはいけない『ありがとうございます』とは」というタイトルです。
荻原:気になります!
阿南:営業パーソンであれば、お客様が「御社と契約します」と言ってくれた際に、ほとんどの人が「ありがとうございます」と言いますよね。私自身もそう言っています。
しかし本書では、それを病院の例に置き換えています。
仮に患者が「手術を受けます」と決断した時に、医師が「ありがとうございます」と言うでしょうか?言わないですよね。それは不謹慎に聞こえるし、病院の利益のためと思われてしまうからです。
本書では、営業でも同じことが言えると指摘しています。お客様が決断した直後に「ありがとうございます」と言ってしまうと、「この提案は本当にお客様のためだったのか」と疑問を持たせるリスクがあります。無意識のうちに自分の成績や成果が確定することに喜んでいるように見えてしまうのです。
荻原:確かにそうですね。では何と言うべきなのでしょう?
阿南:医師であれば、「良くご判断なさいました。手術は怖いかもしれませんが、万全の体制で精一杯尽力しますので安心してください。一緒に頑張っていきましょう」というような声掛けをすると本書では紹介されています。
営業パーソンも同様に、例えばお客様が社長であれば「社長の素晴らしい判断に敬服いたします。この判断を成功に導くため、引き続きご提案を続けてまいります。」というように、相手の判断をポジティブに評価することで、自分の決断が正しかったと思ってもらえるし、長期的な信頼関係も築けるというわけです。
荻原:なるほど!これは目からウロコですね。
阿南:そうですね。お客様の判断を評価し、その成功に向けて一緒に取り組む姿勢を示すことで、お客様とより良い関係構築を作れる営業パーソンになれるということです。
5.どんな人におすすめ?
荻原:最後に、この本はどのような方におすすめですか?
阿南:読んでほしいのはもちろんマネージャーやプレイングマネージャーの方ですが、それだけではなく、チームでお仕事をされる方すべてにおすすめします。極論を言えば、会社や組織の規模に関係なく、職場で働いているすべてのサラリーマンの方に読んでほしいと思っています。
役職がなくても、自分の仕事を分析する視点や、他の人と協働する際の考え方など、多くの学びが得られます。また、将来マネージャーを目指している方にとっては、評価面談の活用方法など、これから必要になるスキルを先取りして学べる貴重な機会になると思います。
荻原:なるほど。次回は本書の後半部分についても伺いたいですね。
阿南:はい、次回は第5章から第8章についてお話しできればと思います。まだ読み進めている途中なのですが、第8章の「評価面談で育成する」が非常に興味深そうで楽しみにしています。評価面談を単なる評価の伝達の場ではなく、育成の機会として活用する方法が書かれているようです。
荻原:阿南さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。「プレイングマネージャーの『仕事の任せ方』大全」は役職の有無に関わらず、多くのビジネスパーソンに役立つ内容だということがわかりました。次回の後編も楽しみにしています!
阿南:こちらこそありがとうございました。ぜひ皆さんも一度手に取ってみてください。日々の仕事の見方が変わると思います!
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒プレイングマネージャーの「仕事の任せ方」大全
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
阿南 康平
大学卒業後、システム開発を行うIT系ベンチャー企業に入社。個人事業主や中小企業の経営者に対しての新規開拓営業として、約2年従事。大手企業に対しての営業にチャレンジしたいという思いから、当社の理念に共感して2024年1月に入社。