DIE WITH ZERO(ビル・パーキンス著 2020年 ダイヤモンド社)~体験には賞味期限があるという真実~
こんにちは。荻原です。
本日のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。インタビューに答えてくださったのは、代表取締役CVOである高橋さんです。
「お金を残して死ぬこと」は、本当に美徳なのでしょうか?
本日のトップセールスの本棚は、そんな問いを投げかける一冊『DIE WITH ZERO』をご紹介します。
お金・時間・健康のバランスをどう考えるか、営業パーソンとして、そして人生を生きる一人として、心に刺さるヒントが詰まった一冊です。
高橋さんご自身の経験と併せて、本書から学べる人生の本質についてお話を伺います。
ぜひ、ご一読ください。
目次
1. 高橋さんが推薦する書籍「DIE WITH ZERO」の魅力とは?
荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、高橋さんのおすすめする本について簡単にご紹介お願いします。
高橋:はい、よろしくお願いします。私がご紹介したいのは『DIE WITH ZERO』という本です。著者はビル・パーキンスさんというアメリカ人のヘッジファンドマネージャーで、世界的なベストセラーになっている一冊です。
この本の核心は「いろいろ溜め込んでも死ぬまで持っていけない」というシンプルな真理です。お金や資産を使いこなせる年齢には限りがあります。その限られた期間に使わずに何をするのか?という問いかけが本書の出発点になっています。
荻原:なるほど。お金の使い方について考えさせられる内容なのですね。
高橋:はい、その通りです。本書では、自分の子供の世代に早めに資産を渡していくことを提案しています。死ぬまで抱え込んで遺産として渡すのではなく、子供たちがお金を適切に使える年齢の時に渡した方が良いという考え方です。
著者のビル・パーキンスさんは私より5歳年上で、1億ドル以上の資産を運用しているヘッジファンドマネージャーです。彼の知人が病気になった時の経験から、この考え方に至ったようです。病気が悪化し、以前できたことができなくなった時に、お金を貯め込むだけの人生は幸せではないと気づいたそうです。
荻原:著者自身の原体験があるからこそ説得力がありますね。
高橋:はい。実は本書の考え方は、私がこれまで大切にしてきた価値観とかなり重なるんです。自分のやってきたことが自分だけのルールではなく、成功している人も同じように考えていると知るとちょっと嬉しくなります。
2. 『DIE WITH ZERO』が教える“お金の使いどき”とは?
荻原:本書から特に印象に残った内容について教えてください。
高橋:本書の中核にあるのは、お金と健康と時間のバランスです。人生において、この3つが思うままに揃う時期はあまりありません。若い時は時間と健康はあってもお金がなく、中年になるとお金はあっても時間がなく、高齢になるとお金と時間はあっても健康がない…という具合です。
このバランスを整えるよう努力することが重要だと本書では説いています。私自身、30代半ばから実践していることがあります。例えば、通勤時にグリーン車に乗るようになりました。自腹ですが、月に3万円程度の出費です。年間で考えても30万円程度。
荻原:それはどのような理由からですか?
高橋:それで買えるものは「時間」です。普通の車両だと雑音が多く集中できませんが、グリーン車なら静かで作業ができます。片道45〜50分の通勤時間を往復すると、1日で約1時間半。月に20日通勤すれば30時間の質の高い時間が得られます。
年間で考えると約360時間買えるわけです。360時間しっかり働けば30万円以上稼げますよね。時給2000円以上で考えれば、十分元が取れる投資です。何より、その時間で培われたものは一生の資産になります。
荻原:時間を買うという考え方が素晴らしいですね。
高橋:さらに、40代後半になると健康維持にも努力が必要になります。色々な体験ができる時間も短くなっていると感じるので、健康と時間を買うためのお金は惜しまないと決めました。ジムやストレッチに通うとお財布は痛みますが、豊かな生活のためには気にしないと決めています。
3. 体験には賞味期限がある
荻原:他に印象に残っている内容はありますか?
高橋:本書の中で特に響いたのは「体験には賞味期限がある」という考え方です。大胆なリスクや投資ほど、人生の豊かさとして残るものです。
例えば、私は20代後半でメジャーリーグの養成学校に入学しました。当時は「自分はアホかも」と思ったこともありましたが、今思えばあの経験は一生の財産になっています。あの時しかできない経験だったのです。
また、本書では「4%ルール」という考え方も紹介されています。60歳を超えたら、自分の持っている資産の4%を毎年使うというものです。例えば1000万円の資産があれば、年間40万円を自分のために使う。これは非常に分かりやすい指標です。
荻原:確かに具体的な数字があると実践しやすいですね。
高橋:さらに興味深いのは、スタバでのコーヒーの例です。毎日コーヒーを2杯買っていると、それだけで月にかなりの出費になります。それを数ヶ月我慢するだけで、日本国内の往復飛行機代くらいは捻出できるのです。
重要なのは、「毎日のコーヒーが最も大切」という判断もあっていいということ。ただ、立ち止まってそれを考えることが大事なのです。自分の習慣を見直すことで、本当に自分を豊かにするものが何かを考える機会を持つべきだと思います。
荻原:おっしゃる通りですね。ビジネスの現場に置き換えて考えるといかがでしょうか?
高橋:メンバーの成長やチームづくりにおいて、“経験の鮮度”を意識することで、より意味ある投資ができると思います。
経験の鮮度を見逃さず、今この瞬間を活かす視点が、リーダーとしての価値を大きく引き上げてくれるはずです。日々の業務の中でも「今この瞬間にしか得られない経験」があることに目を向け、チームで共有していく姿勢が、組織の力を高めていくことにつながるのではないでしょうか?
4. 「DIE WITH ZERO」はどんな人におすすめ?
荻原:最後に、この本はどのような方におすすめですか?
高橋:仕事に生活が埋没している人におすすめしたいですね。人生が豊かになるためのルールは、とにかく働ける時間、働き尽くすことではないはずです。そういう時期があってもいいですが、生涯それをやり続ける意味はほぼないと思います。
体験には賞味期限があり、いつかできなくなる年齢が訪れます。だからこそ、本当に自分がやりたいことは、リスクを取ってでもチャレンジした方が良い、そう心から思っています。
荻原:素晴らしいメッセージですね。最後に、読者へのアドバイスをお願いします。
高橋:「健康と時間は金で買え」と声を大にして言いたいです。ラストチャンスはいずれ誰にでもやってきます。しかし、それがラストチャンスかどうかは、その場にいるときには分からないのです。過ぎ去ってから「あれが最後だった」と気づく。
そのラストチャンスを逃さないためには、自分の人生を豊かにすることに惜しみなく投資することが大切です。過度の蓄えに走らず、今を豊かに生きる。それが本書の伝えたいメッセージだと思います。
荻原:貴重なお話をありがとうございました。お金も時間も健康も、すべて有限な資源だからこそ、賢く使うことの大切さを改めて考えさせられました。
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【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
高橋 研
代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年株式会社アルヴァスデザイン設立。2018年「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」出版。