休養学:あなたを疲れから救う(片野 秀樹著 2024年 東洋経済新報社)~疲れ知らずの営業パーソンへの道〜
こんにちは。荻原です。
本日は、慢性的な疲れに悩む現代人にとって必読の書として注目を集めている、片野秀樹氏著作の「休養学:あなたを疲れから救う」をご紹介したいと思います。
皆さんは、月末の数字追い込みや連続するプレゼンテーション、お客様への夜遅くまでの対応を終えた後、しっかりと休んでいるつもりなのに、なぜか疲れが取れずに悩んでいるという経験はないでしょうか?
実は、これは営業職を含む現代人が共通して抱える大きな課題でもあります。
著者によると、日本人の約8割が疲れを抱えて生活しているのが現実です。しかし、単に「休む」だけでは、この問題は解決しません。
本書は、そんな現代人の疲労問題に科学的な視点からアプローチし、効果的な休養方法を具体的に紹介している一冊です。
営業の現場で日々奮闘されている皆さんにとって、パフォーマンス向上の鍵となる一冊と言えるでしょう。
目次
1. なぜ営業パーソンは「疲れが取れない」のか?
まず興味深いのは、日本人の労働時間についてのデータです。
OECDの調査によると、日本の年間労働時間は1607時間で、加盟国平均の1752時間よりも145時間も少ないということです。つまり、「日本人は働きすぎ」というイメージとは裏腹に、データで見る限り、日本人はむしろ他国よりも休んでいるということになります。
では、なぜ多くの営業パーソンが疲れを感じているのでしょうか?
著者は、その原因を「正しい休養の取り方を知らないからだ」と指摘しています。
例えば、営業職の皆さんはこんな経験はないでしょうか?
・土日にゆっくり寝ていたのに、月曜日の朝がつらい
・お客様との商談で気を遣いすぎて、家に帰っても頭がスッキリしない
・数字のプレッシャーで夜中まで考えて、眠れない
これらは全て、現代の頭脳労働者における特有の疲労パターンです。
昔の肉体労働中心の時代であれば、身体が疲れれば自然に眠くなり、朝起きれば回復するという単純なサイクルで十分でした。
しかし、現代の営業職は常に頭を使い、人間関係にも気を遣います。お客様との関係構築、提案書の作成、数字の管理など、体は疲れていなくても、頭の疲れが取れないまま、肉体的な疲労も蓄積してしまうのが現代営業パーソンの特徴的な疲れなのです。
2. 最高の休養を取るための新しいサイクル
多くの営業パーソンが実践している疲労回復のサイクルは、「営業活動→疲労→休養」というシンプルなものです。
しかし、このサイクルでは100%の回復ができず、次の週には50%程度の疲れを抱えたまま営業活動を開始することになります。
これが慢性的な疲労感の原因です。
著者は、この従来のサイクルに「活力」という要素を加えることを提案しています。
つまり、「営業活動→疲労→休養→活力」というサイクルです。
休養を取った後、すぐに営業活動を再開するのではなく、活力に満ちた状態まで持っていってから活動を始めるのです。
では、営業パーソンがどうすれば活力に満ちた状態を作り出せるのでしょうか?
答えは、「あえて軽い負荷を自分にかける」ことです。
これは、スポーツ界では「超回復理論」として知られている考え方を、営業職の日常生活に応用したものです。
ただし、この負荷は次の4つの条件を満たしていることが重要です:
・自分で決めた負荷であること
・仕事とは関係ない負荷であること
・それに挑戦することで、自分が成長できるような負荷であること
・楽しむ余裕があること
営業パーソンの場合、以下のような例が考えられます:
・営業スキルとは関係ない新しい言語の学習
・趣味のゴルフや筋トレでの新たな目標設定
・料理や楽器演奏などのクリエイティブな活動
・地域のマラソン大会への参加
これらの活動を通じて、仕事とは違う分野での成長を実感することで、活力を高めることができるのです。
3. 「攻めの休養」という新しい視点
本書の最も革新的な点の一つが、「攻めの休養」という概念です。
営業職の皆さんなら、こんな休日の過ごし方をしたことがあるのではないでしょうか?
従来の「守りの休養」の例:
- 土日は疲れてベッドでゴロゴロ
- テレビを見ながらお酒を飲んで時間を過ごす
- 「何もしない」ことで疲労回復を図る
一方、「攻めの休養」とは、休養を通じて自己成長や能力開発を図ることを目的とした積極的な休み方です。
営業パーソンの「攻めの休養」の例:
- 営業スキル向上とは関係ない新しい資格取得への挑戦
- 個人的な興味で始めた副業や創作活動
- 営業現場とは違うコミュニティでの活動(ボランティア、サークルなど)
- 新しい体験(美術館、コンサート、旅行など)
日本社会では「休む=怠ける」という考え方が根強く残っており、特に営業職のように成果が数字で現れる職種では、休むことに罪悪感を持つ方も多いでしょう。
しかし、著者はこのような価値観の転換を強く勧めています。
「休むことは、生産性を高めるための投資である。」
これは、営業パフォーマンスの向上にも直結する考え方です。適切な休養を取ることで、お客様への提案力や集中力を高め、そして何より営業に対する情熱を維持することができるのです。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか?
『休養学』は、営業職をはじめとする現代人が抱える慢性的な疲労問題に対して、科学的な根拠に基づいた具体的な解決策を提示してくれる実用的な一冊です。
営業の現場では、「休む暇があったら一件でも多くお客様を回れ」という考え方が根強く残っていることもあります。しかし、適切な休養を取ることで、お客様への提案の質が上がり、結果として営業成績の向上にも繋がるのです。
また、本コラムでは割愛しましたが、書籍では休養を「生理的休養」「心理的休養」「社会的休養」の3層に大別し、さらに 休息/運動/栄養/造形・想像/娯楽/親交/転換 の7タイプに細分化して解説しています。
これらは、営業の忙しい日常に取り入れやすく、自分に最適な方法を見つけるための具体的な指針となるでしょう。
お客様のために、会社のために、そして何より自分自身のために、「質の高い休養」を実践してみてはいかがでしょうか。きっと、営業活動にも新たな活力をもたらすことができるはずです。
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。