ゼロから学べる!ファシリテーション超技術(園部浩司著 2020年 かんき出版)~営業現場で活かすファシリテーションスキル~
こんにちは。荻原です。
今回のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。本日、インタビューに答えてくださったのは、現役プロデューサーとして活躍中の阿南さんです。
営業パーソンにとって欠かせないスキルの一つである「ファシリテーション」について、初心者でもわかりやすく学べる一冊として「ゼロから学べる ファシリテーション超技術」をご紹介いただきました!
複数社での打ち合わせや合意形成が求められる現代の営業現場で、どのようにファシリテーションスキルを活かしていけば良いのか、実践的な視点でお話を伺います。
是非、ご一読ください。
目次
1. 営業現場に直結するファシリテーション本との出会い
荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、阿南さんがおすすめする書籍について簡単にご紹介お願いします。
阿南:今回紹介するのは『ゼロから学べる ファシリテーション超技術』という本です。著者は園辺博氏で、現在はプロファシリテーターとして活躍されている方です。
営業パーソンにとって必要不可欠なファシリテーションスキルやマインドが初心者でもわかりやすくまとめられた一冊になります。
荻原:ファシリテーションって、営業の現場でも結構活かすことができそうですよね。場を回すという意味で。
阿南:そうですね。今の私たちの仕事のスタイルでは、例えば自社とお客様との商談を行う場合、両社の複数メンバーが同席するケースが多くあります。
そうなると、1対1の打ち合わせではなく、複数名による会議形式になりますよね。その場合、自然と誰かが進行役を担う必要が出てきます。
その役割を担うのは、やはり営業パーソンだと思います。
そして、単に会議を回すだけでなく、参加者の意見を引き出したり、全体の納得感を高めたりといった“ファシリテーション”の視点が求められます。
また、既存のお客様からご紹介いただいた他社との商談など、複数社が関わる場面では、なおさらそのスキルが必要になります。
そういった意味でも、営業パーソンにとってファシリテーションは、今や必須のスキルだと強く感じています。
荻原:営業にも欠かせないスキルなのですね。そう聞くと、この本を書かれた園部さんが、どんなご経歴の方なのかも気になります。
阿南:園部さんはもともと経理部で働いていたそうです。営業や企画の経験がない中で、30代後半にマネージャーへ昇格し、事業計画を担う部署に異動したことが転機になりました。
会議の進行や合意形成といったファシリテーションが求められる場面が増え、最初は苦労されたそうですが、徐々にスキルを磨いていったといいます。
その経験が、マネジメント力の向上、さらには独立にもつながっていったそうです。
荻原:なるほど。現場で鍛え上げた、実践型のファシリテーションのプロというわけですね。
2. 「百点を目指さない」合意形成の極意
荻原:特に印象に残っている章や言葉、シーンはありますか?
阿南:「百点を目指さない」という考え方が第六章に載っていて、非常に印象的でした。第六章は「合意形成の仕方」というタイトルで、営業パーソンの仕事にも深く関わってくる章でした。
企画を発足する時やプロジェクトマネジメントをしていく際に、二択で迷うことはよくありますよね。A案がいいのか、B案がいいのか。会議は基本的に正解がわからないです。そのため、多くの人が納得する状態に導くことはできても、すべての人が納得する状態に導くことは難しいものです。
荻原:確かにそうですね。
阿南:後になって振り返った時に、あの時はA案を選んだけれど、やはりB案が良かったという話は往々にしてあります。そこを追求するときりがないので、70点ぐらいでよいというマインドで選択することが大事と書かれています。70点というのは納得できない部分もあるけれども、全体的に見ればおおむね文句はないというギリギリのラインです。
荻原:なるほど。今の判断が70点かどう判断すればいいのかについても書かれていましたか?
阿南:はい。参加者の表情を見ることが重要だと書かれていました。例えば「これで進めていきますがよろしいですか」と確認した時に、口では「はい、大丈夫です」と言いながらも、顔から嫌悪感が滲み出ている人がいることがありますよね。
また、そこまでいかなくても、多くの人が理解はしているけれど、腑に落ちているかどうかは微妙な雰囲気の時がありますよね。参加者の大多数がそのような状態であれば、今日の会議で思い描いたゴールにたどり着いていないので、次回またお話ししましょう、という形でリカバリーすると良いと書かれています。
そのため、全体の納得感が70点のボーダーラインと言えると思います。
荻原:なるほど。ある程度の全体の納得感は70点を満たす上で必要ということですね。やはり、結果としてその方が仕事が円滑に進みやすいからでしょうか?
阿南:そうですね。結局やってみないとわからないこと、進めてみないとわからないことが多い中で、いつまでも二択三択で「こちらがいい」「どちらが正解だ」と議論していても、結局どちらも百点にならない可能性があります。その時間がもったいないのです。
荻原:確かに。二つのうちどちらにするか迷った時も、どちらかに決めようということにこだわりがちですが、両方とも結局ダメだったというパターンもあることを考えると、早く実行した方がよいということになりますね。
3. 実践から見えたファシリテーションの効果
荻原:本を読んでから実際にファシリテーションを実践してみましたか?
阿南:はい。実践してみました。オンライン研修で受講生が退出された後、事務局と講師とプロデューサーだけ残る場面があるのですが、この時、何を話していいか分からない時間が流れるタイミングあったんです。
荻原:確かに。ひと段落した後ですしね。
阿南:そうなんです。ああいった場で、率先して、例えば、振り返りとして一人ずつ簡単に感想を述べてもらうなど工夫をしました。自分から発言しても良いですし、誰かに振っても良いです。事務局の方、サポートの方、自分が言って最後講師の方に言って締めてもらって終了みたいな形など、実践してみました。
荻原:実践してみて実際どうでしたか?やはりファシリテーションしやすくなりましたか?
阿南:そうですね。読んだ後の方が実感値はありますね。本書では、「大きく拍手しましょう」というところから、感想を聞くんだったら「全員に当てましょう」みたいに具体的に書いてあったので、焦らずにやるべきことが明確になりました。結果として終わった後の時間をだらっとせずに意味のある時間として過ごせました。貴重な体験でしたね。
4. 営業パーソンにとってのファシリテーション
荻原:この本を読んだことで、阿南さんの仕事に対する姿勢はどのように変わりましたか?
阿南:一番大きいのは、本書で学んだ内容を活かしてやってみようという前向きな気持ちになったことです。そのため、例えば社内の会議で「まとめて」とか「この話題を阿南くんに任せるから、このパートで話して」と言われた時に、今の私なら、すんなり引き受けられると思います。
ただ、もし読んでいなかったら、「嫌だな」とか「どうしよう、皆の前で話さなければならないのかな」「誰に何の話題を振ろう」ということを考えていたと思います。
荻原:発言の場により率先して出やすくなったということですね。
阿南:出やすくなりました。これは、本書で学んでから思ったことなのですが、実際にファシリテーターができている方は、無意識のうちに本書に書いてある内容をやっているんだなと思いました。
荻原:確かにそれは言えているかもしれませんね。さらに聞ききたいのですが、阿南さんにとってファシリテーションとは何になりますか?
阿南:私の場合は、「永遠の課題」というところですね。まだできていないところや、うまく話せない、まとめられていないタイミングが仕事の場面で多くあるので、「あの時こう言えばよかったな」とか「こういう準備を事前にしておけばよかったな」と感じることが、この本を読んでからは非常に強く感じるようになりました。この本を読んだからには活かしていきたいという思いがあります。一朝一夕で身につくものでもないので、永遠の課題とさせていただきました。
荻原:なるほど。一旦書籍を読んで、世界観はわかったけれど、実際やってみたらまた少し違った、そんなにうまくいかないということも出てきますよね。
阿南:その通りですね。
5. どんな人におすすめか、そして実践のコツ
荻原:最後に、どのような方にこの書籍をお勧めしたいですか?
阿南:まずは、社内会議が多い方で、その社内会議でどう進めていいか悶々としている方におすすめしたいです。二点目は、営業をしていく中で、会議や打ち合わせの場にお客様やお客様以外の方がいらっしゃって、複数社で合意形成をしなくてはいけないという場面によく遭遇するような方にお勧めしたいですね。
荻原:ファシリテーションが求められる人たちということですね。
阿南:その通りです。
荻原:最後に、何か伝え残したことはありますか?
阿南:この本には図やイラストに加え、アジェンダのフォーマットや便利ツールなども載っています。便利ツールも使いながら実践していただけたら、より会議がスムーズになるのではないかと思います。
荻原:ありがとうございました。今回お話をお聞きして、ファシリテーションが営業現場でいかに重要なスキルかということがよく分かりました。特に「百点を目指さない」という考え方は、完璧主義に陥りがちな場面で非常に参考になりそうです。
そして何より、阿南さんが実際に読後すぐに実践され、前向きに取り組めるようになったという変化が印象的でした。本日はありがとうございました。
阿南:ありがとうございました。
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒ゼロから学べる ファシリテーション超技術
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
阿南 康平
大学卒業後、システム開発を行うIT系ベンチャー企業に入社。個人事業主や中小企業の経営者に対しての新規開拓営業として、約2年従事。大手企業に対しての営業にチャレンジしたいという思いから、当社の理念に共感して2024年1月に入社。