<トップセールスの本棚>はじめてのスピノザ 自由へのエチカ(國分 功一郎著 2020年 講談社)~善悪を自分で決める生き方~

こんにちは。荻原です。
今回も引き続き、トップセールスの本棚をインタビュー形式でお届けしていきます。本日、インタビューに答えてくださったのは、20年以上営業経験をお持ちのマネージャー・岡田さんです。
17世紀の哲学者スピノザの思想を現代に蘇らせた一冊をご紹介いただきました。
仕事や人生における「善悪」の捉え方を根本から変える内容となっています。
是非、ご一読ください。
目次
1. 能力で世界を見つめ直す視点との出会い

荻原:本日は、よろしくお願いします。はじめに、岡田さんの至高の一冊について簡単にご紹介お願いします。
岡田:私がご紹介したいのは『はじめてのスピノザ』という本です。副題が「自由へのエチカ」となっています。東京大学教授の國分功一郎さんが書かれた、17世紀の哲学者スピノザの入門書です。
この本は新書版で約180ページと非常にコンパクトですが、スピノザの代表作『エチカ』のエッセンスがすごくわかりやすく書かれています。
『エチカ』はラテン語で「倫理学」という意味で、哲学を学んでいる人の間では「スピノザのエチカ」と言えば通じるくらい有名な書籍です。
荻原:この書籍とはどういったきっかけで出会ったのですか?
岡田:以前、何かの雑誌を読んでいた時に、「個性を姿や形で分けないで、能力、できることによって分類する方がいいのでは?」という文章を目にしました。それがスピノザの『エチカ』に書かれていると紹介されていたので、そこから自分なりに調べて、この本に行き着きました。
荻原:そんな出会いだったのですね。ちなみに能力で分類するというのは、具体的にどういうことでしょうか?
岡田:イメージしやすいように説明すると、「馬」と「牛」は姿形で言うと全く異なります。でも、荷車をつけて荷物を運ぶことができるという能力で見ると、馬と牛は同じグループになるといったイメージです。
つまり、「見た目の違いよりも「何ができるか」という能力で世界をもう一回見つめ直してみませんか?」という観点です。この考え方が頭の中に残っていて、もっと知りたいと思いました。
荻原:なるほど。確かに新鮮で面白い観点ですね。
2. 善悪は組み合わせで決まる

荻原:より詳細に本書について教えてください。
岡田:もちろんです。スピノザのエチカでは、善は「活動能力を高める」と言っています。私自身はわかりやすく「元気になる力を高める」と捉えています。そして、自分と物事を組み合わせたときに、自分が元気になるのであればその組み合わせは善であり、元気がなくなるのであればそれは悪である、という善悪の見方を提示しています。
荻原:なるほど。善悪の基準は人と物事の組み合わせによって変わってくるということですか?
岡田:そうです。組み合わせによって人によって変わってきますし、もっと言うと、同じ物事であったとしても、その人の状況によってでも善悪が変わるイメージです。
例えば仕事で言うと、これまでに経験したことがない仕事に取り組んでいたためすごく忙しい状況があったとします。でも自分は体調が良くて睡眠もバッチリで、目的や優先順位が見えている状態であれば、この経験したことがない仕事は、チャレンジ精神や、新しい経験からの学びを与えてくれます。このような時、この経験したことのない仕事は「善」ととらえる人もいると思います。
でも、まったく同じ体調・同じ自分であっても、別の出来事が組み合わさるだけで、この新しい仕事は「悪」としてとらえられるかもしれません。
たとえば、家族が体調を崩していて本当はそばにいたい。でも重要な出張の予定があって帰れない。すると、仕事の内容そのものは変わらなくても、「罪悪感」や「不安」といった感情が加わり、自分の活動能力自体が著しく下がってしてしまうかもしれない。この場合、この仕事は「悪」としてとらえられるかもしれません。
荻原:確かに、状況によって180度変わることはありそうですね。
岡田:はい。そもそも経験したことがない仕事や、忙しいとか、出張があることが悪ではなくて、そのときの自分の状況次第で、善にも悪にも変わるということです。大切なことは「自分自身が元気になる組み合わせはどういうものか?」を知ることであり、本書にはそのヒントが詰まっています。
荻原:なるほど。とても興味深いです。
3. すべての存在は完全である

荻原:他に印象に残っているエピソードはありますか?
岡田:スピノザは17世紀のヨーロッパの人なので、キリスト教の考え方の影響を受けていますが、普通そういう考え方を持っていたら神様=イエス・キリストのような存在という認識になることが多かったはずです。しかしスピノザは「神様とは何か」と問われれば、イコールそれは自然である、もっと言えば宇宙であると言ったそうです。
神様が姿を変えて、周りの自然とか宇宙とかこういう形で現れるのが、その神様そのものである。つまり、神イコール自然という概念です。
荻原:なるほど。すべての自然現象が神様の化身ということですか?
岡田:そうです。その自然界にあるものは神様の化身なので、すべて完璧という考え方です。
例えば、生まれつき角が一本ない牛というのを人間が見ると、これは牛という生物の完全体ではないという捉え方をしますが、スピノザからすると角があろうがなかろうが、この世にある以上は完全であると言います。
荻原:すべてを肯定する考え方ですね。
岡田:そうですね。欠陥があるとか障害があるとか、勝手に人間がそう決めているだけで、この世にあるものはすべて神様の化身である。神様は完全なのですべて完全である。そこに優劣はない。そこにあるのはそれぞれが持っている能力の違いである。
それと自分が組み合わさったときに、自分が元気になるのであれば、自分にとってそれが善である。その善になる組み合わせを、自分の中でいろいろ見つけましょう、ということが書いてあります。
荻原:今の社会が持っている価値観を根本から穿ってくる感じがして面白いです。
4. 自由とは能力を発揮できること

荻原:この考え方を知ると、世界の見え方は変わってきそうですが、何か変化はありましたか?
岡田:一番変わったのは、今自分が体験している現象が、良いか悪いかを、問いかけるようになったことですね。もっと言うと、より深く自分が体験した物事を考えるようになりました。
単純に正しいか正しくないかを判断するというよりは、こうなると自分の力がよりよく発揮できる、こうなると発揮しづらいという条件のような切り口をたくさん感じるようになりました。
荻原:もしかして、その思考がやがて自由へとつながっていくということなのでしょうか?
岡田:そうかもしれませんね。自由というのが何なのかというと、スピノザは「自分が持っている能力をそのまま引き出すことができることが自由だ」と言っています。
単純に何をやっても良いよ、ではなくて、自分が本来持っている能力を何の妨げもなく、何かブレーキをかけられることなく、能力を、それこそ自然に発揮することができれば、それは自由である、と。
荻原:なるほど。すると、問い続けることで、自分と真に向き合えるので、自由には近づくかもしれないですね。
5. 自分なりの幸せを探す人におすすめ

荻原:これまでの内容はどれも人生を根底から変えてくれそうな核心をつくようなお話でしたが、業務ベースでもどんなことに繋がりそうか聞いてみたいです。
岡田:そうですね。個人的には、業務に生かすというよりも、ビジネスパーソンとしてのあり方、もっと言うと、生き方への影響が大きいと感じています。
なぜなら、自分自身の能力の組み合わせを見た時に、「より元気になる組み合わせは何だろう?」「どう自分自身が活動すればより輝けるのだろう?」と考えるきっかけを与えてくれる書籍だからです。
もちろん、本書は考え方の正解をくれるものではありません。自分で探求し、作っていくものです。頑張っているのに思い通りいかないとか、自分は何のために働いているのだろうという感じで、ちょっと自分の中で答えがはっきりしていない人は、こういう考え方に触れて、自分の中でもう一回見つけるのはありかもしれません。
荻原:ヒントを与えてくれる書籍というわけですね。
岡田: そうですね。仕事の中で人と関わるとき、自分が元気でいられる組み合わせを知っているだけでも、少し気持ちが軽くなりますよね。「あ、これは自分にとって良い流れだな」と気づけることで、日々の中に小さな幸せを見つけやすくなると思います。
荻原:最後に、これから読まれる方にメッセージをお願いします。
岡田:本書は、自分の中での「よりよく生きるため」の道具に近い本だと思います。自分にとっての善悪は何なのか、どういう組み合わせが自分を元気にするのか。それらを考えるきっかけとして、ぜひこの本を手に取ってみてください。新しい視点が、あなたの人生を少し幸せにしてくれるはずです。
荻原:本日は貴重なお話をありがとうございました。
岡田:こちらこそ、ありがとうございました。
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒はじめてのスピノザ 自由へのエチカ
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
岡田 剛幸
大学卒業後、大手小売業での販売営業経験を経た後、大手たばこメーカーに転職。営業・マネジメントに加え営業組織の立ち上げを経験。2022年10月アルヴァスデザインに参画。
趣味は読書。歴史、失敗と人の行動が研究テーマ。好きな言葉は「温故知新」


