マンキュー入門経済学~Part.3(マンキュー入門経済学 2019年 東洋経済新報社 )経済を学び営業の視野を広げよう
こんにちは、矢野です。
本日のトップセールスの本棚では、「マンキュー入門経済学」の第三弾をご紹介します。
前回は、第二弾として「インセンティブ」についてご紹介しました。
<トップセールスの本棚>マンキュー入門経済学~Part.2(マンキュー入門経済学 2019年 東洋経済新報社 )経済を学び営業の視野を広げよう
今回は「GDP」についてご紹介します。
GDPは、日々のニュースの中で「成長率」について言及されることが多いです。
昨今においても、下記のようなフレーズはニュースで頻繁に耳にします。
・前年比○○%
・前期比○○%
・コロナ前の水準に回復
本記事では、スケールの大きな話に捉えられがちなGDPを、営業目線で考えていきます。
1. GDPとは何か?
GDPとは、
“Gross Domestic Profit”の略で「国内総生産」を意味します。
マンキュー経済学では、
「一定期間において、一国で生産されるすべての最終的な財・サービスの市場価値」
と定義されています。
日本のGDPで考えた場合、
・トヨタ自動車がアメリカで販売した自動車はGDPに含まれない。
・アップルが日本で販売したiPhoneはGDPに含まれる。
ということになります。
更に、日本のGDPは、ここ10年で500~550兆円を推移しており、これが日本の経済規模ということになります。
マンキュー経済学のなかでは、
・「GDPの大きさ」と「国民の生活水準」には強い相関がある
・だからこそGDPは「国力」を測るための重要な指標である
と記述されています。
一方、GDPは完全無欠な指標であるかと言えば「そうではない」ということもロバート・ケネディ上院議員(元アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディの実弟)の言葉を引用して記述されています。
「(GDPは)われわれの子どもたちの健康や教育水準、あるいは遊ぶことの喜びなどを考慮していない。GDPは詩の美しさや夫婦の絆の強さ、公開討論での理知や公務員の清廉さなどを含まない。(一部省略)要約すれば、GDPはすべてのものを測るが、『人生に価値を与えてくれるもの』は除外されており、またそれはアメリカに関するすべてのことを表しているが、なぜわれわれがアメリカ人であることを誇りに思うかという点は除外されているのである。」
彼の言葉には、「いくらGDPの拡大に邁進して国力の向上に努めたとしても、人が生きる上で大切なことや素晴らしさの全てがそこに詰まっているわけではない」ということが示されています。
以前、ある大手企業の営業本部長と話をしていた際にこんなコメントをされたことが私の心の中に残っています。
「確かに私が入社した頃(1980年代)に比べると便利にはなったけど、良くはなっていないよね。」
この営業本部長の肌感覚は、GDPでは測れないロバート・ケネディ氏の言葉と重なり合うものがあると感じます。
さて、ここで私たち営業に置き換えて考えてみると、GDPという指標と符合するような、「売上」という指標を抱えて日々拡大を目指して仕事をしていると思います。
そして、GDPと同じ思考プロセスをたどるのであれば、「売上は営業の素晴らしさを示す完全無欠な指標ではない」と考えることができるはずです。
では、営業は売上以外の指標として何を大切にすべきなのでしょうか。
2. 「顧客からどんな認識をされたいか」を先行すべき
売上以外の指標を考えるにあたって、「売上が発生する」までのプロセスを簡単に紐解いてみたいと思います。
営業活動を通じて、
①お客様が自社に対し前向きな認識が生まれ仕事を依頼する
②自社からお客様へ商品やサービス提供する
③お客様から自社へ売上が計上される
という時系列の関係が生じることになります。
③は②が無いと起こり得ませんし、②は①が無いと起こり得ません。
これらからわかることは、本来、営業が真っ先に指標とすべきことは「自社はお客様からどのような認識を獲得したいのか」という①ではないでしょうか。言い換えれば、①は営業活動上の先行指標にあたるはずです。
ところが、多くの営業組織では先行指標である①を定義せずに遅行指標である②(何を売ったか)や③(いくらで売ったか)ばかりに着目して営業会議や営業活動を行っているように感じます。
そもそも、営業組織、そしては自社が存在する根本的な理由は何でしょうか。
「お客様がいるから」という社会的な関係は欠かせないものの一つです。
であれば、まずは
「自社はお客様からどのような認識を獲得したいのか」
「お客様からどのように思われることが自社として本望なのか」、
これらを定義するところから始めるべきではないでしょうか。
繰り返しになりますが、これらの定義を考えることが営業活動における「先行指標」を生み出すことに繋がります。
この定義なしに「売上」のみを議論しても、営業活動自体が意味をなさなくなってしまうのです。
3. 解像度を高める
特に営業組織をリードする立場にある方は、お客様から獲得したい認識のイメージの解像度を高めてチームメンバーを共有して欲しいと思います。
繰り返しますが、「何を売ろう」「いくらで売ろう」ではありません。
売上が計上されるのは極めて事後のお話です。その為、真っ先に売上の話をしても仕方がないです。「お客様に○○と思ってもらえるような営業活動しよう」がまず先なのです。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
トップセールスの本棚「マンキュ―経済学」の第三回目は、 「GDP」をキーに営業について考えてみました。
経済学は「営業活動」や「営業組織」を考える上で、役立つ要素が数多く含まれています。
是非、ご自身の営業活動にお役立てください。
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ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。