マンキュー入門経済学~Part.2(マンキュー入門経済学 2019年 東洋経済新報社 )経済を学び営業の視野を広げよう
こんにちは、矢野です。
本日のトップセールスの本棚では、「マンキュー経済学」をご紹介します。
前回は、マンキュー経済学の第一弾として「機会費用」と「実証的な主張と規範的な主張」
についてお伝えしました。
第一弾の記事はこちら → <トップセールスの本棚>マンキュー入門経済学~Part.1
今回は第二弾として、「インセンティブ」についてお伝えします。
皆さんは、「インセンティブ」と聞くと、どういったイメージを持たれますか?
また、インセンティブの本質を理解して、使っているでしょうか?
今回のコラムでは、営業担当者をはじめ、営業マネージャーにとっても知っておくべき
「インセンティブ」を経済学の視点から考えてみます。
目次
1. 経済学の定義とは?(前回の復習)
まずは、前回の復習から入ります。
経済学の定義とは
「社会が希少な資源をいかに管理するかを扱う学問」
です。
※希少とは「社会の資源に限りがある」のことです。
つまり、経済学とは
「社会に限りがある資源をいかに管理するか」
という考え方に基づきます。
2. インセンティブとは?
そもそも、インセンティブと聞くと、何をイメージされますか?
私たち営業にとって、インセンティブという言葉は「賞与」「ボーナス」といった言葉に強く紐づいているかもしれません。
インセンティブとは、日本語では「誘因」と訳し
「人々の意思決定や行動を変化させるような要因のこと」
を指します。
先ほどの例に戻り、表現を具体化させると
「営業は、賞与があることによって、営業成績を高めようと思い、自らの営業行動を変化させる」
ということになります。
3. 私たち営業とインセンティブ
インセンティブという言葉の意味を理解したところで、次に私たち営業とインセンティブの関わりについて考えていきます。
まず押さえたいことが、マンキュー経済学に記載されている
「人々はさまざまなインセンティブに反応する」
という原則です。
私たちは、日々の生活を送る中でもさまざまなインセンティブに反応しています。
例えば、スーパーでりんごを買うとします。いつも1個100円で買っていたりんごが、
突然1個150円になったとします。
この場合、150円を払ってりんごを買うかもしれませんし、
りんごは高いのであきらめて他のものを買うかもしれません。
このように、私たちの日常はインセンティブに反応するものばかりなのです。
この意味を、私たち営業の立場で考えると
営業は、「賞与」・「ボーナス」といったもの以外にも、さまざまなインセンティブに反応して、日々意思決定を行い、日々行動を変えていっているのです。
例えば、担当しているお客様が来期の予算を上げるという話を聞くと、
「なんとかして受注したい」と思うかもしれません。また、その逆もしかりです。
日々の行動にこれだけインセンティブが影響しているのであれば、インセンティブを効果的に活用したいですよね。
では、インセンティブの使い方について考えてみましょう。
4. そのインセンティブは効果的?
皆さんは、このようなコンテストがあった場合、やる気が出て、自らの行動は変わりますか?
つまり、このコンテストは、あなたにとってのインセンティブになりますか?
「本日9:00-18:00で、電話でアポイントメントを一番多く取得できた人に、○○円分の商品券を与えます」
いかがでしょうか。
やる気が出る人、出ない人、さまざまいらっしゃると思います。
では、半年間、毎日同じコンテストずっと続けたらどうしょうか?
皆さんの中で、「半年間もやるのか?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、半年間このコンテストを続ける中で、一位を獲得し続けた人は、「もう商品券はいらない」という状況になっているかもしれません。
これらから言えることは、
・インセンティブには「良い面」と「悪い面」が存在する
・インセンティブは、受け手によって、その度合いが変わる
・インセンティブとは「短期的な目標」に対しては働きやすいが、「長期的な目標」に対しては比較的働きにくい
ということです。
5. インセンティブを提示する上で、次の2点を押さえよう
では、マネージャーが効果的にインセンティブを活用するには、どうすれば良いのでしょうか。
今回は、私が考える2つの視点をご紹介します。
1つ目は、
「視点を増やす」
ことです。
自らが良いインセンティブだと思っても、他者にとっては良くないというケースがあります。
つまり、インセンティブは人それぞれ異なるという事です。
そのため、インセンティブを一律に設計することはあまり良い選択ではない可能性が高いです。
では、どうすれば良いか。
一人で考えこまず、視点を増やす努力が必要です。
例えば、個々人のインセンティブを知るために対話をするなどがおススメです。
その際の代表的な質問例は、
「今の会社で働いている理由は何か?」
「働く上で大切にしていることは何か?」などが該当します。
2つ目は、「短期的な目標」の方が、「中長期的な目標」よりもインセンティブが働きやすいからといって、
「短期的な成果にこだわり過ぎない」
ということです。営業の売上を出すためには、確かに、短期的な追い込みが必要なシーンはあります。
しかし、これらは長続きしません。
「明日の飯を作るために、お客様にせまることは、3年後に良い成果をつくることにつながっているのか?」
ということを考えるべきだと思います。
6. おわりに
いかがでしたでしょうか。
営業にとって馴染みのある「インセンティブ」について解説しました。「賞与」「ボーナス」以外にも、私たち営業の仕事には密接にインセンティブが関わり、インセンティブを上手く活用することが、私たちの営業行動を良い方向に変えていくということもご理解いただけたと思います。
特に営業マネージャーは、メンバーにどんなインセンティブが働いているかを知ることがパフォーマンスを引き上げる要因になるので、理解に努めましょう。
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