時代を勝ち抜く新しい営業スタイルとは – ソリューション営業からインサイト営業へ(中編)
こんにちは。高橋です。
本日は、本年度一つ目のコラムを投稿します。今年もアルヴァスデザインは、新たなビジネスチャンスを生み出すことに貢献できるよう、日々皆さまとともに、成長していきたいと考えております。
どうぞ宜しくお願いいたします。
昨年度になりますが、「時代を勝ち抜く新しい営業スタイルとは」と題した記事を公開しました。
本日の記事は、こちらの続編となります。
インサイト営業(理念実現型営業)の落とし穴
前編でご紹介したインサイト営業(理念実現型営業)は、現代にマッチした革新的な営業手法です。この手法を用いて、提案コンペの年間勝率92%を記録した企業もあります。営業活動の「質」で差別化をしたいと考える企業においては、強い武器になるのではないでしょうか。
一方で、このインサイト営業(理念実現型営業)には、重大なデメリットも存在します。
それは、“手間がかかる”ということです。
この手法は、煩雑な作業が多数発生し、受注までの時間がかかりがちです。例えば、顧客経営者との面談調整、顧客の経営環境の調査、顧客の経営理念やビジョンに対する仮説立案、現状とのギャップ分析、顧客経営者との関係構築など、いずれも相当な営業資源を要する作業です。
さらには、営業担当者が売りたい商品と顧客の経営理念との間に、大きな次元の違いが存在するため、その溝を埋めるための理屈づくりにも相当な手間がかかるはずです。
例えば、以下の様な経営理念を掲げる顧客があったとします。
「全てのビジネスパーソンが十分に能力を発揮し自己実現を達成しうる世の中を実現する」
この顧客に対してITシステムを営業する場合、「経営理念を実現する」ことと「ITシステムを導入する」ことが、どの様に関連するのかという理屈づくりが必要です。また、その経営理念が、経営戦略や業務フローとどう関連しているのかということも理解しなければならないはずです。
きっと、1社の顧客に対する営業活動に必要な資源は、これまでよりも多くなることでしょう。そうなると、全ての顧客に対して「理念実現型営業」を実践しようとすることで、営業担当者が疲弊してしまう姿が容易に想像できます。
ターゲティング
こうした落とし穴を回避するためには、3つの観点で顧客をターゲティングすることが大切です。
1)顧客としての成長性を見る
まずは、以下の図をご覧ください。
中長期的に、会社間の関係構築をする意義がある顧客かどうかを、見極めることが重要です。
結論としては、上の図の象限④を狙います。
象限①は、いわゆる「行きやすい顧客」ですが今後の成長がありません。
象限②は、最も後回しにすべき顧客です。
象限③には、顧客はほとんど存在しないはずです。
象限④は、営業努力によって化ける可能性がある顧客です。
私たち営業パーソンは、ついつい象限①の顧客に時間を割いてしまいがちですが、ビジネスポテンシャルが乏しい顧客にリソースに注ぎ込んでも、それに見合ったリターンは得られません。象限①の顧客に対する営業活動を徹底的に効率化し、④に力を注ぐことが重要です。
2)経営者の情熱を見る
・理念経営をしている(理念やビジョンを発信している)経営者
・定性的な成長意欲が強い経営者
・地元密着型企業の経営者
・創業者またはその一族の経営者
上記のいずれかに当てはまるような経営者の共通点は、経営に対しての強いこだわりを持っている点です。
この様な経営者の方々は、特に定性面でのこだわりを強く持っているため、それを実現するための手段については、高い関心を持つ人物であると言えます。したがって、インサイト営業(理念実現型営業)が、高確率で刺さります。
3)支援者の存在を見る
顧客企業の中に、あなたの営業活動を支援してくれる人物が最低1人いることは、必須です。具体的に、以下の人物イメージです。
・あなたに顧客内情報を提供してくれる人
・あなたの営業活動のアドバイスをしてくれる人
・あなたの営業活動の社内調整をしてくれる人
この様な人物は、あなたにとってのいわゆる支援者(あなたの味方)です。支援者が1人もいない状況下では、顧客企業と成約することは不可能であると、断言できます。どうしても、攻略したい企業に支援者がいない場合は、顧客内で支援者を恣意的に作り出す工夫も、必要かもしれません。
この様に、ターゲットを明確にしたうえで、インサイト営業(理念実現型営業)を推進することができれば、これまでの営業活動と得られる結果が変わってくるはずです。
時代を勝ち抜く新しい営業スタイルとは – ソリューション営業からインサイト営業へ(前編)
時代を勝ち抜く新しい営業スタイルとは – ソリューション営業からインサイト営業へ(後編)