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相手を巻き込む伝え方(鵜川洋明 2019年 フォレスト出版) やりたいことを実現するには”何を””どう”伝えるのか?


こんにちは。伊藤です。

営業パーソンにとって、誰かに何かを「提案」をすることは多くあると思います。

そして、新しいテクノロジーの出現、世の中の価値観の変化によって、今いる組織や、自分自身が変化を迫られているという方も多いと思います。

また別の切り口で考えると、自分自身が現状に対して十分なやりがいや意味を感じられず、それゆえ何かを変えたいという方もまた多いのではないでしょうか。

 

現状を変えるためには、今とは違う何かを生み出していく必要があります。

「新しい環境に進む」「新しい商品やサービスを創出する」「新しい仕組みを作る」などが、それにあたります。

そのためには、周囲を巻き込み、形にしていくための「提案」が不可欠になってきます。

 

さて、今回紹介させていただく著書は、「提案」をしていく中で、周囲を巻き込み動くために何をすべきか?という観点や方法を紹介した鵜川洋明氏の著書「相手を巻き込む伝え方」です。

目次

    1. 提案には構造がある

    本著では、「提案の構造」について定義されています。

    下記の図1を見てみましょう。

    提案には、「構想する」フェーズと、「伝える」フェーズがあります。そして、「構想する」フェーズには、何を伝えるかを「着想」することと、伝える内容を「構成」するという2つの観点があります。

    構想したものが、相手の心に響くか否かは、「どう伝えるのか?」という「表現力」にかかってきます。そして、この構想と表現を楽しめるか否かは、自分自身の「心の状態」にかかっています。

    (図1)提案の構造

     

    提案することに苦手意識を持っている人、うまく提案ができないと悩む人は、自分はどこが弱いのだろうと確認してみてください。

     

    2. 提案の構造における4つの糸口とは?

    提案には4つの核があります。「着想・構成・表現・心の状態」です。

    そして、着想・構成・表現・心の状態のそれぞれに、自身が苦手意識を解消し、「提案するのが楽しくてしょうがない!」となるためのカギがあるそうです。1つずつ見ていきましょう。

     

    ①着想のカギ

    着想のカギは「意味」です。

    「自分は何に意味を感じるのか?」

    「相手は何に意味を感じるのか?」

    「世の中にとって意味あることは何か?」

    そして変化の中で「新しい意味をどのようにつくるのか?」を考えることです。

     

    有名な話ですが、日本には「近江商人の教え」というものがあります。その中で語られる「三方よし」という概念があります。

    三方とは、「自分・相手・世の中」のことです。

    「売り手よし。買い手よし。世間よし。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのが良い商売である」

    まさに提案をする上で最も根幹となるものだとも言えます。

     

    ②構想のカギ

    構成のカギは「」です。

    思いついたイメージにロジックを与え、思いを相手に伝わる形に整理をし、かつ方向性を見失わずに話を広げていけるようになることが必要です。みなさんは、次の和歌を聞いたことがありますか?

    規矩作法 守りつくして 破るとも 離るるとても 本を忘るな

    これは安土桃山時代に侘び茶を完成させたとされる千利休が詠んだものです。

    意味は、「教えや規律を守り続けながらも、いつしかそれを打破り、離れていく事も大切であるが、そこにある基本精神は忘れてはならない」 と述べたものです。

     

    つまり、本当の基本「型」を知り得ること、身につけることこそが、

    夢の実現への確実な道を切り拓いてくれると記載されています。

     

    ③表現のカギ

    表現のカギは「物語」です。

    誰が何をどう伝えるかによって、同じことも全く違う話にすら思えることもあります。本著では人の感情を動かし、記憶に残る物語の要素を活かしては表現していくアプローチについて述べています。

    次の英文は、歴史的に有名かつ称賛された米国キング牧師の「私には夢がある」(I Have a Dream)演説の一説です。

    I have a dream that one day on the red hills of Georgia, the sons of former slaves and the sons of former slave owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.

    私には夢がある。いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の子孫たちとかつての奴隷所有者の子孫たちが、兄弟の間柄として同じテーブルにつくという夢が。

    実際に彼が演説をしている姿を見たことありますか?YouTubeにも出てくるので、ぜひ検索してみてください。

    彼が話す演説には、「物語」があります。「物語」とはそれを聞く人の感情を揺さぶり、心を動かす何かを生み出すものです。

    感情を揺さぶられる話は、そこに臨場感を感じ、その臨場感は印象深い体験の記憶になっていきます。

    仕事での提案は、これほど壮大ではありませんが、物語を意識すると、人の感情を動かし、相手の記憶にも残りやすい性質があるようです。

     

    ④心の状態のカギ

    そして、心の状態のカギは「解放」です。

    自分を制限し、縛るものから解放され、怖さや嫌いを克服し、楽しくなるための意識の持ち方であり、整え方です。

    次の言葉は、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

    映画「LIFE!」に登場する、LIFE(ライフ)社のスローガン(社訓)です。

    世界を見よう、危険でも立ち向かおう、壁の裏側を覗こう、もっと近づこう、もっとお互いを知ろう、そして感じよう、それが人生の目的だから

    この映画は「LIFE」誌の写真管理部に務めるウォルター・ミティが主役であり、彼の生きざまに感動すること間違いなしです。

    「提案」をするにしても、何をするにしても、自分のビジョンを持ち、自分がそれをする意味を感じられることを増やしていくことが、強いエネルギーと、提案を楽しむマインドを生み、それが、提案をする自身の魅力になっていくと筆者は述べています。

    「着想」「構成」「表現」「心の状態」それぞれのカギいかがでしたでしょうか?

    この著書では、思わず相手が心を揺さぶる技術や方法、精神論も書かれています。ぜひお手に取ってみてください!

     

    3. おわりに

    2020年も残りわずかとなりました。今年はコロナ禍の影響があり、本当に今まで経験したことのないような年でした。現在、人と人との直接的な関わりができなくなっていますが、だからこそ家族やパートナー、友達など人と人とのつながりの大切さをより感じた年でもあったのかなと思います。

    かの有名なマハトマ・ガンジーの言葉にこんなものがあります。

    見てみたいと思う世界の変化にあなた自身がなりなさい

    内から湧き出る衝動や感情を、ビジョンに変えて、誰かに伝えてみる。今いる場所や環境を自分自身が楽しく面白い場所に変えていくことが求められることになっていく時代へ突入しています。

    最後まで見て頂き、ありがとうございました。

    みなさま、良いお年を!!!

     

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    北海道生まれ札幌育ち。2020年9月入社。
    大学卒業後、公立教員、某大手アパレル企業にて勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。丁寧かつ親切な対応を心掛けています。趣味は温泉巡りで、好きな言葉は「一期一会」

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