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【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則②(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~企業の目的とは?~

こんにちは、石井です。

現在、複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。

本日は第二回目として、「企業の目的」について考えていきます。

ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。

そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)も参考にしながら読み解いきます。

第1回:マネジメントの基本と原則とは?

 

目次

    1. マネジメントの基本と原則とは?(前回のあらすじ)

    マネジメントとは「なんとか~する」という意味の動詞です。

    日本では、頻繁にマネジメントを「管理(Control:コントロール)」と訳されることも多いですが、マネジメントの本来的な意味は何かを生み出す創造なのです。

    ドラッカーはマネジメントの基本と原則に対して、下記の強いメッセージを発しています。

    いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する。

    私たちは、基本と原則に沿うことでビジネスを成功に導くことができるのです。詳しくは、前回の記事をご覧ください。
    >マネジメントの基本と原則とは?

    2. 企業の目的とは?

    ドラッカーは、「企業の目的」を非常に端的に表しています。

    企業の目的の定義は1つしかない。それは、顧客を創造することである。

    これについて、「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)」の著者である藤田勝利氏は下記のように解説しています。

    原文では、顧客の創造とは”to create a customer”です。注目したいことは、”to create customers”ではないことです。

    つまり、不特定多数の顧客を創り出すということではなく、一人の顧客を創り出すことを大切にしていることが伺えます。

    実際に、藤田勝利氏は「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント」の中でも、「分析に頼りすぎるな!」と警告されたことを記載しています。

    3. 企業の2つの機能

    ドラッカーは、企業の目的を達成するために、企業は2つの機能を持っていると解説しています。

    2つの機能とは、「マーケティング」「イノベーション」です。

    ドラッカーが「マーケティング」において強調していることは、「顧客起点」です。

    ビジネスパーソンであれば誰もが理解しているであろう「何を売りたいかよりも、顧客は何を買いたいかを考える」ということを実践することは簡単ではありません。

    だからこそ、ドラッカーは分析に頼りすぎることなく、「顧客の声に耳を傾けること」を重視したのでしょう。

    続いて「イノベーション」です。

    イノベーションとは、何か大きな発明だけを指すのではないことが示されています。イノベーションとは、顧客の新しい満足を創造する行為だからです。

    私は本書から、営業であれば営業なりの、オペレーションであればオペレーションなりのイノベーションがあることを学びました。

    4. 印象的な2つの言葉

    「マーケティング」と「イノベーション」に関して、私が感じたドラッカーの印象的な2つの言葉をご紹介します。

    1つ目は、「顧客はどこにいるのか」です。

    私たちは、デジタル社会の中を生きています。この社会で生活をしていると、PCの先に顧客がいるかのように錯覚してしまいます。しかし、本当の顧客はPCの中にはいません。

    私たちは、もっと顧客の元に足を運び、実際に観察をして、対話をして理解を深めていかなければならないのだと感じます。

    2つ目は、「われわれの事業は何かを真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである。」です。

    私たちは、失敗をすれば振り返ります。成功すると次の成功を求めます。

    成功しているときには、原点回帰した問いを投げかけることは勇気を必要とします。メンバーの多くは、成功していれば事業について問い直す必要はないと感じるでしょうから。

    ただし、マネジメントの基本と原則に従えば、成功しているときこそ、私たちは冷静に事業そのものを考え直さなければならないのです。

    5. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    本日は、ドラッカーのマネジメントの基本と原則に加えて、企業の目的と機能について考えてみました。

    ドラッカーが投げかける問いは、現代のビジネスパーソンである私たちにとってもとても新鮮です。

    まさに、基本と原則は時を経ても大切な指針であると語ってくれているようです。成功しているときこそ、事業そのものを考え、真剣に議論してみてはいかがでしょうか。

    次回は戦略計画について考えていきましょう。
    >【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則③(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~戦略計画とは?~

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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