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ファスト&スロー 上下 あなたの意思はどのように決まるか? (ダニエル・カーネルマン著 2011年 ハヤカワ・ノンフィクション文庫)~意思決定に付きまとうバイアスの正体~

こんにちは、石井です。

本日は、ファスト&スローという本をお届けします。

本書はとても長く読破するには大変な書籍の1つではないでしょうか。

ただ、本書はビジネスにおいて日々発生している意思決定において、大きな見識となる一冊と言えます。

著者のダニエル・カーネルマンは、アメリカ合衆国の心理学者です。2002年にはノーベル経済学賞を受賞しています。

意思決定の中には、じっくり考えて答えを出すものもあれば、日頃の感覚でなんとなく意思決定をしているものもあります。これらが、どのように私たちのビジネスに影響を及ぼすのかも含めて見ていきましょう。

目次

    1. 本を手にとったきっかけ

    私が本書を手にしたのは、2018年くらいであったと記憶しています。とても分厚い本、しかも上下巻…。

    しかし、読み進めていくと私たちのビジネスに密接に関係していることがわかります。

    また、本書を今のタイミングでご紹介しようと思ったきっかけは、私が現在通っているリーズ大学ビジネススクールMBAコースのモジュールの1つである意思決定(Management Decision Making)においても推奨図書として掲載されていたからです。

    (※英語の原書は読めていません!笑)

    本モジュールにおける学びで、ファスト&スローを学び意義を再確認した私は、今回トップセールスの本棚でご紹介するにいたりました。

    2. ファストとスローとは?

    本書によると、人間の脳は2つのシステムを持っています

    システム1は、反応や直感であり、深い思考を要求せずに意思を決定する働きです。このシステムは、とにかくスピーディーです。

    そのため、毎日決まった仕事をする場合には効果を発揮します。なぜならば、深く考えずに、どんどん意思決定して仕事を前に進められるからです。

    システム2は、論理的であり、ゆっくり考えた上で意思決定をする働きです。このシステムは、複雑であり時間を要しますが、的確な答えを出せる確率が高いことが特徴です。

    3. どちらが優れているのか?

    システム1とシステム2を見て、皆さんどのように感じましたか?

    そして、システム1とシステム2でどちらが優れていると思いますか?

    実は、この2つのシステムはどちらも優れており、優劣をつけることができません

    例えば、毎日のように同じ意思決定をしている仕事に対して、毎回論理的に時間をかけて考えるシステム2が働いては、相当な時間ロスを招きます。

    会社としての重要な意思決定の場面では、システム1の直感だけに頼っていてはメンバーを巻き込むことができないでしょう。

    つまり、システム1とシステム2は共に長所と短所を持っているのです。

    では、ファスト&スローでの学びとは何か?

    4. バイアスを知っておく

    本書からの学びの1つが、人間が簡単に陥ってしまうバイアスを事前に知っておき、それを未然に防ぐことです。

    代表的なものに「確証バイアス(Confirmation Bias)」があります。

    確証バイアスとは、自分が良いと思ったことを支持する情報を集めてしまうシステム1の働きです。

    例えば、「この人を採用でとるべきだ!」と直感で思うと、その人の良い面ばかりに目が行ってしまうということです。

    また、「現状維持バイアス(Status-quo Bias)」というものもあります。

    現状維持バイアスとは、過去に良かったことがこれからも続いていくだろうと思ってしまうシステム1の働きです。

    例えば、昨年の売上が良かったから、何となく今年も売上が伸びそうな気がする…と思ってしまうことです。システム1の働きなので、因果関係の分析をせずに直感でこのように感じるということです。

    5. 直感は信じてはいけないのか?

    システム1の働きを封じ込め、バイアスをゼロにすれば意思決定が上手くいくのか?というと、これもまた別問題です。

    直感は大切ですし、あたる可能性もあります。

    大切なことは、直感で判断している自分を知ることであり、もし直感に不安があるのならば、システム2を稼働させてじっくり考えることです。

    これを自らコントロールすることで、意思決定の質が高まると言えます。

    6. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    今回は、ファスト&スローという本を題材にして、意思決定について考えてみました。営業活動、マネジメントでは、常に意思決定を求められていると言えますね。

    もちろん、ビジネスシーン以外にも、私生活でもさまざまな意思決定の連続です。

    そんな日々の生活の中で、本書のシステム1とシステム2の働きを理解しておくだけで、少しは意思決定の質が高まるはずです。

    ぜひ、意思決定の質を向上させるために、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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