読書について(小林秀雄著 2013年 中央公論新社) ~書とどう向き合い、自分とどう向き合うか~
こんにちは。石井です。
今回は、日本を代表する文芸評論家である小林秀雄氏の「読書について」を取り上げます。小林氏は、数々の書籍を著しているためご存じの方も多いかもしれません。
私自身もいくつかの本を読んだことがありますが、今回はその中でも「読書」にまつわる書籍になります。
「トップセールスの本棚」において、毎週多くの書籍をご紹介しておりますが、皆さんはどのように読書をされていますか?
また、どのように読書を楽しみ、どのように読書と向き合っていますか?
これらを考えるヒントが本書籍にはつまっています。本書には、さまざまな小林氏の短いエッセーが掲載されています。本コラムでは、その中で選りすぐりのものや素晴らしい名言などを取り上げていきます。
目次
1. 読書の基本
小林氏は、本著の中の「作家志望者への助言」において、いくつかの提言をしています。その中で、私たちにとても参考になる2つのことを読書の基本としてご紹介します。
※読書の基本と題したのは、私の解釈です。
1つは、「第一流の作品を読むこと」です。
もう1つは、「それらは難解だと理解すること」です。
私たちの多くは、「読書は良い事」と認識していると思います。ちなみに、私はそう思っています。
ただ、この思考が強くなると、「より多くの本を読めばいい」「理解しやすい本をたくさん読めばいい」という考えに陥ってしまうこともあるのではないでしょうか。
ただ、小林氏は読書に大切なことは「一流作品を読むこと」であり、「その難解に挑戦すること」なのです。
確かに、時代を経てもなお廃れないロングセラー(ベストセラーではない)には難解なものが多いでしょう。そのため、読むのに時間もかかりますし、何より強い精神力や忍耐力も要します。
ただ、難解であることを知った上で読書に挑戦することが人間力を高めることにつながるのでしょう。
2. 全集を読め!
さらに、小林氏は「全集を読むこと」を薦めています。
恐らく、相当な読書家の方でない限り全集を持っていることはないと思います。また、どんな全集があるのかも知らない方がほとんどだと思います。
ただ、小林氏は全集を読むことを強く薦めています。
これは私の解釈ですが、読書とは単に字で表現されていることだけを理解すれば良いというものではないと思います。
大切なことは、著者が「なぜその文章を作ったのか」や、「何を伝えようと思ったのか」を考えることだと思います。言い換えると、本との対話です。
また、この対話によって読み手である私たちの思考も深まるはずです。そのためにも、好きな著者の全集にチャレンジすることは大切なのだと思います。
3. 小説を小説として読むな!
この言葉を聞いた際に、はじめは意味を理解することができませんでした。
「小説を小説として読まない」とは、まさに先ほどお伝えした「本との対話」と関連していると思います。
小説の中の文章を、著者は「どのように表現したかったのか」や、「何を伝えたかったのか」を読み手が考えることは非常に重要です。
この行為は、営業シーンとも似ていると思います。なぜならば、お客様を理解することは、お客様が発した言葉だけを理解すれば良いというわけではないからです。
むしろ、お客様自身が表現することができない、言葉になっていないことを顕在化させることが営業パーソンの仕事の1つです。
このような意味でも、営業パーソンが読書に打ち込むことへの価値があると言えるのではないでしょうか。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、小林氏はの「読書について」をご紹介しました。小林氏の書籍はまさに「一流作品」と言えます。そのためとても難解です。
ただ、言葉の裏にある背景を理解しようと本と対話をすることは、自身の考えをまとめてくれたり、本への理解をも促進してくれたりします。
ぜひ、皆さんも本コラムを参考に一流の書籍にチャレンジし、営業シーンに活用してみませんか?
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒読書について
【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。