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【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則⑮(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳) ~マネジメントとコミュニケーション~

こんにちは、石井です。

これまで複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。

本日は15回目として、「マネジメントとコミュニケーション」を考えていきます。

ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。

そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)も参考にしながら読み解きます。

 

目次

    1. マネジメントの意思決定とは?(前回のあらすじ)

    ドラッカーは、マネジメント層が意思決定をする上で大切なことは「意見の対立」「意思決定へのフィードバック」と述べています。

    私たちは仕事をする上で、多くの意思決定をしています。その際に、メンバーとの意見を対立させることで、クリティカルに物事を分析することが大切です。

    また、いかなる良い意思決定も時代背景が変われば陳腐化します。

    つまり、私たちは実行した意思決定に対して絶えずフィードバックを実施することで、より良い意思決定をし続けなければならないのです。

    2. コミュニケーションとは?

    ドラッカーはコミュニケーションにおいて、有名な言葉を残しています。

    コミュニケーションとは、①知覚であり、②期待であり、③要求であり、④情報ではない。

    これらの4つの観点でコミュニケーションを紐解いていきましょう。

    ・その1:知覚

    ドラッカーがコミュニケーションにおいて強調していることは、「コミュニケーションを成立させるのは受け手である」ということです。

    つまり、発信側がいくら良い説明をしても、受け手に響いてなければ全く意味がないと言えるのです。

    そのため、基本的なことですが、コミュニケーションをする上では受け手の立場になって、受け手の言葉で意志を表現しなければならないのです。

    ・その2:期待

    期待に関しても、ドラッカーは「受け手の立場になること」の重要性を説いています。

    コミュニケーションにおける期待の文脈で忘れてはならないことは、受け手は期待していないことに関しては「反応」も「反発」もしないということです。

    私たちは、常に期待を持って人とコミュニケーションをしています。その期待にそぐわないものは、自然とコミュニケーションの土台から外しているのです。

    つまり、コミュニケーションの発信者は、受け手の期待は何かを把握した上で、コミュニケーションをしなければなりません。

    ・その3:要求

    繰り返しになりますが、要求においてもドラッカーは受け手至上主義の立場を崩していません。

    コミュニケーションは、本来的には「受け手に対して何かしらの要求をすること」です。つまり、コミュニケーションをした後は、受け手が何かしらの思考をし、行動することを求めるのです。

    ここで大切なことは、受け手の価値観に沿った要求をしているかという点です。これは、期待とも言い換えることができるかもしれません。

    マネジメント層はメンバーに要求をする時には、メンバーの価値観や期待を把握した上で実行する必要があるのです。

    ・その4:情報

    ドラッカーは、コミュニケーションは情報と別のものであると強調しています。

    ドラッカー曰く、情報とは「論理の対象」です。つまり、情報だけが行き来することには、人間としての感情、期待、価値観などが介在されないことを意味しています。

    裏返すと、コミュニケーションとは、これらが介在するがゆえに知覚的な活動と言えるのです。

    ドラッカーは、「情報とは記号である。」と表現しています。この言葉からもわかる通り、マネジメント層に必要なコミュニケーションは、情報の行き来ではなく「知覚」です。

    メンバーの価値観や期待に沿った、「意志」を疎通させることが重要なのです。

    3. おわりに

    いかがでしたでしょうか?

    本日は、ドラッカーのマネジメントのコミュニケーションについて考えてみました。

    マネジメント層にとってメンバーとのコミュニケーションは非常に重要です。

    コミュニケーションが上手くいけば、既存のビジネスだけでなく新しい事業の種が生まれる可能性もあります。

    しかし、現代社会において、リモートワークも常態化し、メンバーとのコミュニケーションに苦戦しているマネジメント層も少なくないでしょう。

    そんなときには、ドラッカーのコミュニケーションについて学び、実践してみるというのも良いのではないでしょうか。

    次回はマネジメントと管理を考えていきましょう。

     

    ▼これまでのシリーズはこちら

    第1回:マネジメントの基本と原則とは?
    第2回:企業の目的とは?
    第3回:戦略計画とは?
    第4回:仕事の生産性とは?
    第5回:仕事の働きがいとは?
    第6回:マネジメントとチーム作りとは?
    第7回:マネージャーの2つの役割とは?
    第8回:マネージャーの5つの仕事とは?
    第9回:マネジメント人材の開発とは?
    第10回:目標管理をする上で大切なことは?
    第11回:自己管理をする上で大切なことは?
    第12回:新種のミドルマネジメントとは?
    第13回:組織マネジメントの要諦とは?
    第14回:マネジメントの意思決定とは?

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
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