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陽明学のすすめ~人間学講話「佐藤一斎」~(深澤賢治著 2019年 明徳出版社)~言志四録からの学びを営業に~

こんにちは、石井です。

本日は、「陽明学のすすめ」というシリーズ本(計8冊)の第七回目です。

早速ですが、陽明学という学問を聞いたことはありますか?

陽明学とは、中国の明代に、王陽明という人物がおこした学問の1つです。

この学問は、時代を経てもなお、多くのビジネスパーソンに愛読されています。特に、陽明学からの学びを経営に活かして大活躍されている方も多いと言われています。

今回は、「陽明学のすすめ」シリーズの第七回として、人間学講話「佐藤一斎」をお伝えします。

第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」
第四回:人間学講話「河井継之助」
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」←今回はこちら
第八回:人間学講話「中江藤樹」

 

目次

    1. 佐藤一斎という人物

    佐藤一斎は、1772年に東京で生まれました。幕末の1859年に88歳の生涯を終えた大儒学者と言われています。

    人物としては、人のことを大切にする優しい心の持ち主だったようです。

    実際に、弟子の数は3,000人を超していたそうです。前回第六回でご紹介した二松學舍を設立した三島中洲も、同様にこのくらいの弟子がいたそうです。

    さて、生涯を通して王陽明を崇拝して、その学びを多くの弟子に伝えてきた佐藤一斎ですが、どのようなエピソードがあるのでしょうか。

    私たち営業パーソンにとっての学びという視点で、紐解いていくことにしましょう。

    2. 言志四録とは?

    佐藤一斎を語る上で、まず外せないのが「言志四録」です。

    言志四録とは、4冊の本から構成されている佐藤一斎の教えです。

    これらを42歳の頃から書き始め、晩年までの間に4冊完成させました。

    佐藤一斎は、88歳まで生きたので、長い年月をかけて言志四録を完成させたと言えます。

    40代では「言志録」、50-60代では「言志後録」、67-78歳では「言志晩録」、そして「言志耋(てつ)録」をそれぞれ完成させています。

    言志四録からは、私たち営業パーソンにも大きな学びになる事柄が含まれています。次章を見ていきましょう。

    3. 佐藤一斎からの3つの学び

    本書では、言志四録のことが詳細に記載されていますが、その中でも特に営業パーソンの学びになる3つをご紹介します。

    ・その1:学問の仕方

    「三学」という言葉を晩録に残しています。

    [晩録60]三学

    少にして学べば、即ち荘にして為すこと有り。

    荘にして学べば、即ち老いて衰えず。

    老いて学べば、即ち死して朽ちず。

    いかがでしょうか。

    これを一言で表現すると、「一生学ぶことの大切さ」です。

    私の解釈も含めて現代の表現にすると、「小さい時の学びは、社会人としての活躍につながる。社会人での学びは、晩年になってもなお続く気力につながる。

    晩年での学びは、自身が死んだあとも朽ち果てることがなく後世につながっていく。」という意味になります。 

    学びを生涯続けることの大切さを説き、その学びは死んでもなお残るものであるとしています。弟子に多くの学びを与えた佐藤一斎ならではの言葉です。

    私たちは、学びを実務に活かすことが大事であると理解していますが、その学びを後世に残すことをどのくらい実践できているでしょうか。

    佐藤一斎から、このようなことを問いかけられている気がします。

    ・その2:本の読み方

    限られた人生において、良い本と出会うことの大切さを説いています。

    [後録239]

    本はやたらに読むな。良い本を選べ。そして活用せよ

    学びの意欲が高まると、たくさんの本を買い、いわゆる乱読状態になることもあるかと思います。

    本は、著者の人生観がつまったものです。乱読することも1つの学びの形態として成立すると感じますが、まずは読む本を吟味することも重要であると感じました。

    ・その3:教育の仕方

    教育の方法は、3種類あるとしています。

    ([耋録2]で記載されていますが、長文であるため引用文の掲載は割愛します。)

    1種類目は、「師匠の身近にいて自然に覚えていくこと」としています。そして、弟子は知らず知らずのうちに、師匠から学びを得ていくことが大切だとしています。

    営業パーソンも、現場で先輩や上司から自然と学びを得ているはずです。ここで大切なことは、先輩や上司がいかに正しい営業活動を自然とできているかということでしょうか。

    2種類目は、「弟子が意識して真似ること」だそうです。良き先輩や上司の営業行動を、模倣することで自分のものにしていくイメージと言えそうです。

    3種類目は、「師匠が言葉で説明すること」です。営業現場では、「背中を見て覚える」という言葉を聞くように、先輩や上司の行動を見て覚えることがよくあります。

    しかし、言葉で伝えることも非常に大切なのではないでしょうか。

    4. おわりに

    いかがでしたでしょうか。

    今回は、第七回として佐藤一斎氏について、また彼が残した言志四録の中身を一部ご紹介しました。

    佐藤一斎が残した言志四録は、まさに現代の営業パーソンにも役に立つ内容ばかりです。弟子が、3,000人を超える佐藤一斎からは、教育という側面でも学ぶことが多いと言えるでしょう。

    これからも、「陽明学のすすめ」シリーズでは、実際に陽明学を活かしてビジネスを成功させた方々の本をご紹介します。

    陽明学を活かして、良いビジネスを創り出していきましょう。次回は、第八回:人間学講話「中江藤樹」です。

    第一回:経営講話「抜本塞源論」
    第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
    第三回:山田方谷「擬対策」
    第四回:人間学講話「河井継之助」
    第五回:人間学講話「渋澤栄一」
    第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
    第七回:人間学講話「佐藤一斎」←今回はこちら
    第八回:人間学講話「中江藤樹」

     

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    石井 健博

    ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
    営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
    趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。

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