外国語学習の科学-第二言語習得論とは何か(白井 恭弘著 2008年 岩波書店社)~英語には正しい学び方がある〜
こんにちは。荻原です。
「これからの時代に英語力は必要だろうか?」
営業パーソンの中には、そう疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。確かに、国内の取引先としか付き合いがない場合、日本語が使えるだけで十分かもしれません。
しかし今回は、「第二言語習得論」という視点から、なぜ今、営業パーソンに英語力が求められているのか、そしてどのように学んでいけばよいのかについてお伝えしたいと思います。
目次
1. そもそも第二言語習得論とは?
「第二言語習得論」とは、言語をどのように身につけていくのかを科学的に研究する学問分野です。
特に注目すべきは第二言語習得論においては、「学習」と「習得」を明確に分けて考えていることです。「学習」は意識的な暗記や練習を指すのに対し、「習得」は無意識のうちに言語を使いこなせるようになることを意味します。そのため、新たな言語を身につける場合、「習得」を目指す必要があります。
「学習」と「習得」の考え方は、営業活動における「スキル」と「本質的な営業力」の違いに似ていると言えそうです。例えば、商談の進め方やクロージングの技法は「学習」できますが、真の信頼関係の構築や顧客との深い関係性は「習得」していく必要があります。
英語も同様で、単なるスキルとしてではなく、コミュニケーションツールとして自然に使いこなせるようになることが重要なのです。
2. なぜ営業パーソンに英語スキルが必要な理由
「でも、うちの会社は国内取引がメインだから…」
そう思われる方もいるでしょう。しかし、考えてみてください。
かつて「パソコンは特別な部署の人だけが使えれば良い」と言われた時代がありました。今では、パソコンを使用しないビジネスパーソンは非常に少数です。
一部の業界や企業では、パソコンのように英語力もビジネスにおいて必要不可欠になりつつあります。
実際、国内取引メインの企業でも、取引先の経営陣に外国人が増えていたり、業務システムが英語版だったり、海外製品を扱うケースが増えています。さらに、競合として海外企業が参入してくることも珍しくありません。
このような環境変化の中で、英語力があることは、単なる「外国語を話せる」という以上の意味を持つと言えます。それは、新しい市場や機会を見出す能力、異なる視点や価値観を理解する力、そして変化に適応できる柔軟性を示すバロメーターとなっているのです。
3. 英語を身につけるには
ただ、一方でどうすれば英語を身につけるのか分からないという人が大半ではないでしょうか?
一般的に私たちは中高大と約10年に渡って英語を学習しますが、自信を持って英語を話せる人はそう多くはないというのが現実です。
この状況が起きている最も大きな要因は、言語を「習得」するための学習方法を知らないためです。
詳細な内容については本書に詳しく解説されていますが、第二言語習得論の研究では、最も効果的な学習方法の一つとして「インプット+話す環境」を挙げています。
ここでいうインプットとは、単なる暗記ではありません。意味を「理解する」ということです。
通常、赤ん坊が言語を習得する場合、最初は個別の単語どころか文法の概念さえありません。しかし、大抵の赤ん坊は3歳になる前までに言語を話し始めることがほとんどです。
私たちが約10年かけても身につけられない言語を子供はわずか3年で身につけてしまいます。これは、単語や文法を暗記しているからではなく、両親が使う特定の単語とシチュエーションを紐づけることで意味を「理解」しているからです。
私たちの場合では、例えば、海外ドラマを視聴する、映画を視聴する、YouTubeを視聴するなどをしてシチュエーション別に使用する単語を「理解」していくことが重要になります。
次に、「話す環境」です。
これは、想像にたやすいことですが、いくらインプットだけを重ねても言語を習得するには至りません。アウトプットする場、「話す環境」も必要になります。
具体的に言うと、「自分の意見を言わなければならない環境」が言語習得において最重要であると著者は言っています。カフェでコーヒーを注文する、ホテルの予約をする、道に迷ったので助けてもらいたい…。このような状況に置かれた時、私たちは自分が言いたいことをどうすれば英語で言えるのかを猛烈に考え始めます。これが会話の場合、さらに加速します。
先の赤ん坊の例にも通じる部分があります。通常、赤ん坊は両親の助けがないと生きていくことができません。ご飯を食べたい、トイレに行きたい、おもちゃが欲しいなど、何かの欲求が発生した場合、それらを両親に伝えないとなりません。伝えられなかったら、自分の望みは叶わないので、赤ん坊は必死に知っている単語を組み合わせて文章を作り続けるのです。これが言語習得に必要な「話す環境」です。
この話さなければならない環境があるからこそ、私たちは言語を知っている状態から習得している状態に変化すると言えるのです。
もちろん日本では、この環境を構築することは容易ではありませんが、オンライン英会話や国際交流の場、最近ではChatGPTも英会話の相手になってくれます。
「インプット+話す環境」を意識し、例えば、英語の視聴コンテンツをテーマ別に視聴し、オンライン英会話を週2回行うなどを組み合わせることで効率的に英語を身に付けることが可能です。
また、この英語学習で必要な「聞く」「話す」「理解する」というプロセスは、営業活動において重要な顧客対応スキルとも重なります。そのため、営業パーソンにとってはスキルアップの観点でも役立ちます。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
英語学習は、単なる言語習得以上の価値があります。それは、グローバル化する世界で生き抜くための思考力と適応力を培う機会でもあるのです。
今、あなたの目の前にある営業の仕事に英語が必要ないとしても、3年後、5年後の自分のキャリアを考えたとき、英語力は間違いなく大きな武器となるはずです。
本記事が、英語学習を「やらなければならないこと」から「自分の可能性を広げるための投資」へと捉え直すきっかけとなれば幸いです。
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。