ALVAS JOURNAL

なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(東畑開人著 2022年 新潮社)~人生で迷ったときの心に引く補助線~

こんにちは、土岐です。

人生には迷子になってしまう時期が、誰しもあるのではないでしょうか。

そんな時にあなたの心をふっと軽くする、そんな一冊をご紹介します。

著者は臨床心理士の東畑開人さん。

以前「心はどこへ消えた?」という本を読ませていただいて、「こんなに気軽に読める心理士さんの本があるなんて!」と感動し、今回も楽しみに読みました。

私自身、人生の目標は何か、自分にとっての天職は何か、日々迷子になりながら、たくさんの失敗を積み重ねながら、精一杯生きております。

「なんとなくモヤモヤしている」あなたの心をスッと軽くすることのできる一冊かもしれません。

 

目次

    1. 心は複数である「馬とジョッキー」

    この本の中では、世界を”大海原”とたとえて表現しています。

    そして、そんな大海原で生きる私たちは小舟に乗って航海をします。

    過酷な大海原の中で生き抜くためにサポートをしてくれる7つの補助線を著書の中では紹介していますが、今回は「馬とジョッキー」という補助線を紹介させてください。

    あるクライアントの例があります。主人公は「タツヤ」さん。

    タツヤさんは今の職場に強い不満を抱いており、転職を迷っています。

    転職に踏み切れない理由には恩義を感じている上司の存在がありました。

    しかしある日、タツヤさんは吹っ切れたようは表情でカウンセリングにやってきて、現在勤めている会社を辞める決意ができた、というのです。

    急に吹っ切れたのは先輩から勧められた本のおかげでした。

    「人生は一度きり。悩んでいる時間がもったいない。やりたいことがあるなら、まず動け。」

    とそんな力強い言葉がその本には書かれていたそうです。

    タツヤさんは吹っ切れてカウンセリングもこれきりでいいと思っているようでした。

    複雑だったはずの心がパワフルな処方箋により、シンプルになろうとしていたのです。

    そして、心のどこかにはシンプルすぎる自分に不安を感じている彼もいました。

    こういうときに補助線の出番がやってきます。

    心に補助線を引くと、馬とジョッキーが現れました。

    意のままにならない馬と、その馬を意のままにしたいジョッキー。

    タツヤさんの例で言うならば、

    馬=転職したい彼

    ジョッキー=現状維持したい彼

    ジョッキーは現実を把握し、リスクを回避するべく自分の舵取りをしています。ジョッキーがきちんと作動しているとき、私たちは社会生活を適切に行うことができます。

    一方で、馬は現実を無視して、衝動に従って心を突き動かします。馬はリスクを増大させる厄介者でもあるし、同時に人生にあたらしいものをもたらす輝かしい存在でもあります。

    心に補助線を引いてみると、いつの間にかジョッキーの声に耳を傾けすぎている自分に気が付きます。

    学生の頃から、「主体性を持って、自分を律することができる子が優等生」と、ジョッキーにより自己をコントロールできる人が評価されてきました。

    それは社会人でも同じ。体調管理をし、仕事の進捗を管理し、人間関係に気を遣い、自己投資をしてキャリア設計ができる人が評価されていますし、当たり前にできないと、生き残れない空気さえ感じます。

    ジョッキーによる精妙な自己コントロール、これこそが、今の社会が私たちに求めている倫理です。

    あなたの周りでもジョッキーが支持される場面のほうが多いのではないでしょうか?

    ジョッキー推しの社会に過剰適応した結果、ジョッキーにがんじがらめにされた馬は悲鳴をあげています。

    ただ、難しいのはコントロールのし過ぎが問題なのに、コントロールが足りないと自分を責めて、より強力にコントロールできるようになる手だてを探してしまっていること。

    本当に必要なのは馬の声を聴くことなのに。

    だから、補助線を引き、心を分割します。

    私たち自身が想像すらできなくなっている馬の声を発見するために。

    タツヤさんはこれまでの人生でも急激に変化しようとしたときの経験を思い出し、そのときの失敗を繰り返さないよう努めました。

    結果的に時間をかけていろんな人と話し合い、現在の仕事を続けながら副業で小さな会社を立ち上げる結論に至りました。

    2. おわりに

    私は、馬の声に耳を傾けることはできていたかな、と自身を振り返るきっかけになった章でした。

    タツヤさんと同じように、急激に馬が走り出すのを感じるタイミングもありますが、基本的にはジョッキーが強く手綱を握っているように思います。

    ジョッキーが強いときは社会で生きやすいのでラクです。一方で馬の声も聴いてあげないと、すごく孤独で面白味のない人生になるような怖さがあります。

    ときには気を緩めて、馬の声に耳を傾け、本当に自分自身がやりたいことに思いを馳せる、そんな時間があってもいいのではないでしょうか。

    本記事でご紹介したのは本書の一部です。(7つの補助線の内1つにしか触れられていません…!)

    もっと詳しく知りたい方は、ぜひ購入してみてください!

    本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない(東畑開人著 2022年 新潮社)

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    土岐優

    石川県金沢市出身。2022年2月入社。
    音楽大学(ハープ科)卒業後、ファンマーケティングのリーディングカンパニーに勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。お客さまと向き合い続けることを大切にしています。趣味は読書、Webデザイン。好きな言葉は「強がらなくても大丈夫。どんなあなたも大好きだから。」

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