<トップセールスの本棚>道ばたの石ころ どうやって売るか?(野呂エイシロウ著 2025年 アスコム社)~視点を変えれば、価値は生まれる〜

こんにちは。荻原です。
「提案がいつも同じになってしまう」
商談に臨むたびに、こんな感覚を覚えることはないでしょうか。
資料は丁寧に作った。製品の知識だって十分ある。話す順番も練習してきた。
それなのに、なぜか響かない。
本日のトップセールスの本棚でご紹介する書籍は、「道ばたの石ころ どうやって売るか?」です。
著者の野呂エイシロウ氏は、放送作家として数々の人気番組に携わりながら、戦略PRコンサルタントとしても活躍されている方です。
タイトルだけ見ると、「石ころを売る?何の話?」と思うかもしれません。
でも、読み始めると止まらなくなります。
目次
1. 頭が悪いのではなく、視点が固まっているだけ

「アイデアが出ない原因は、頭が悪いからでも才能がないからでもない。視点が固定されているだけだ」
これが、本書の出発点にある考え方です。
正直に言うと、最初にこの一行を読んだとき、私は少しだけ心が救われた気がしました。「自分が思いつく提案がいつも平凡なのは、才能の問題じゃないのかもしれない」と思えたからです。
著者はその証明として、こんな問いを投げかけます。
「道ばたに落ちている石ころを、どうやって売りますか?」
ガーデニングの素材にする。水槽に入れる飾り石にする。文鎮にする。
ここまでなら、なんとなく思いつく人も多いでしょう。でも著者はさらに「ペットにする」と言います。
実際に、この発想で6億円を稼いだ人がいる。そう読んだとき、私は笑いながら、でも本気で考えさせられました。
石をペットに。冗談みたいな話ですが、「石は石でしかない」という前提を外した瞬間に、全く別の価値が生まれる。視点が変わると、モノそのものは何も変わっていないのに、見え方が180度変わるのです。
営業の現場でも、同じことが起きていると思います。
同じ製品を、同じトークで、同じ順番で説明している。それでも結果が出ないとき、私たちはつい「製品力が足りないのかな」「価格が高いのかな」といったことを考えてしまいます。
でも、本当の問題は、製品や価格ではなく、いつの間にか視点が固まっていることかもしれない。
「この製品を使ったら、お客様の日常がどう変わるか」に焦点を当てた瞬間、同じ製品が別の何かに見えてくる。そういう体験を、この章を読みながらじわじわと感じました。
2. 100個出せば、一つくらい面白いものが出る

「いいアイデアを一つ出そう」と構えるから、手が止まる。
著者はそう言います。
だったら「ダメなアイデアを100個出してみよう」と考え方を変えてみる。最初は変な話だと思いました。でも読み進めるうちに、これは本質をついているなと感じるようになりました。
100個出そうとしたら、途中で必ず「もうまともなことは言い尽くした」という状態になります。そこから先に出てくるものが、型破りで面白いアイデアだというわけです。
こんなシーンを思い浮かべてみてください。
チームで商談の準備をしていて、「何か新しいアプローチはないか」とブレストをしている。
最初の10個は、いつも通りの提案が並ぶ。
「価格を少し調整する」
「事例をもっと増やす」
「デモを追加する」
でも、「もう思いつかない」という頃に、誰かがぽつりと言う。
「そもそも、このお客さんは今、何に一番困っているのでしたっけ」
その一言で、空気が変わることがあります。
スクリプトを磨くより、お客様の「今」に視点を合わせる。当たり前に聞こえますが、100個出そうとした後でないと、なかなかそこにたどり着けないのかもしれません。
「量を出す」ことの本質は、正解を増やすことではなく、視点の固定を外すことにあるのです。
3. インプットが増えると、視点の引き出しが増える

著者はもう一つ、大切なことを言っています。
「アウトプットが貧しい人は、インプットが足りていないだけだ」と。
言われてみれば当たり前のことですが、改めて聞くとドキッとします。
スティーブ・ジョブズが大学中退後にカリグラフィの授業を聴き続けた話は有名です。当時は役に立つとは思っていなかった。でもそれが、後にMacの美しいフォントデザインにつながった。
著者はこれを「点と点をつなぐ」と表現しています。
すぐ役立つものだけを学ぼうとすると、引き出しの数が増えない。一見関係なさそうなことを面白がって吸収し続けることで、予想外のところで点がつながる瞬間が来る。
営業の仕事でも、これに近い経験はないでしょうか。
ふとした雑談の中で「あ、それ、うちの製品が役に立つかも」とひらめく瞬間。
趣味の話をしていたら、お客様の課題が見えてきた瞬間。
あれは、意識せずインプットしてきたものが、突然つながる瞬間なのだと思います。
本書を読みながら、「もっといろんなことに興味を持って良いんだ」と少し気が楽になりました。
4. おわりに

いかがでしたでしょうか?
「視点を変える」というのは、言葉にすると簡単に聞こえますが、実際には習慣が必要です。
ただ、著者が提案しているのは難しい修行ではありません。「ダメなアイデアを量産してみる」「そもそも何のためか、を問い直す」といった、明日から試せることばかりです。
石ころをペットにして6億円稼いだ人の話を、私はきっとしばらく忘れられないと思います。あの話を頭の片隅に置いておくだけで、固まった視点をほぐすスイッチになる気がするからです。
皆さんも、ぜひ一度手に取ってみてください。
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【毎週月曜日配信】弊社の社員はじめ、トップセールス経験者が厳選した本をご紹介しています。
営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

