問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術(安斎 勇樹著 2021年 ディスカヴァー・トゥエンティワン)〜日々の「質問」を、相手の力を引き出す「問いかけ」に変える〜

こんにちは。荻原です。
本日のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。
インタビューに答えてくださったのは、現役プロデューサーとして活躍中の結城さんです。
営業に役立つ一冊として『問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術』をご紹介いただきました。商談でお客様の本音を引き出すのも、チームの力を引き出すのも、結局は日々の問いかけ次第だと気づかせてくれる一冊です。
ぜひ、ご一読ください。
目次
1. 「問いが上手くなりたい」から始まった

荻原:本日はよろしくお願いします。今日ご紹介いただける本と手に取ったきっかけについて教えてください。
結城:今回ご紹介したいのは、安斎勇樹さんの『問いかけの作法』です。
この本を手に取った背景には、営業の現場で感じていた課題がありました。
営業をしていると、聞き方ひとつで、お客様から返ってくる答えが大きく変わると感じることがあります。一方で、自分自身の聞き方を振り返ると、まだ感覚に頼っている部分も多いと感じていました。
そこで、お客様の本当のお悩みを引き出すために、聞くべきことを的確に押さえる知識と、問いそのものを組み立てる型、その両方を身につけたいと思い、本書を手に取りました。
荻原:聞き方ひとつで答えが変わる。営業をしている人なら、誰もが心当たりのあるところですね。著者の安斎さんは、どのような方なのでしょうか。
結城:東京大学大学院の博士課程を修了された方で、組織づくりを専門とする経営コンサルティングファーム、MIMIGURIを創業されています。これまで、竹中工務店や三菱電機、キッコーマン、マネーフォワードなど、350社以上の組織づくりを支援してこられたそうです。現場で人と組織を動かしてきた方の一冊なので、机上の話で終わらない説得力がありました。
荻原:それだけ現場を見てきた方の本だと、期待できますね。読み始めて、「これは自分が求めていたものだ」と感じた入り口はどこでしたか。
結城:本の最初のほうにある、
「他者の思考と感情は、あなたが日々発する問いかけの質に少なからず影響を受けている」
という一節です。
相手から得たい反応を引き出せるかどうかは、こちらの問いかけ次第だということですね。この一文を読んだ時点で、まさに学びたかったのはここだ、と引き込まれました。
2. 私たちの多くは、「質問」止まりだった

荻原:読み進めていく中で、営業をしている自分にも効きそうだと感じた箇所はありますか?
結城:はい。「質問」と「問いかけ」は違う、という指摘です。頭では分かっているつもりでしたが、改めて突きつけられてはっとしました。私たちは無意識のうちに、日々たくさんの問いを発しています。ただ、その多くは頭に浮かんだ疑問をそのまま口にしているだけで、相手の力を引き出す「問いかけ」にはなっておらず、ただの「質問」で終わっている、と書かれていました。
荻原:普段お客様に投げかけている質問も、実は「ただの質問」で止まっているかもしれない、ということですね。
結城:そうです。本書では、頭に浮かんだ疑問をそのまま投げるのが「質問」、相手から引き出したい反応を思い描いて、言葉を選んで投げるのが「問いかけ」だと分けています。同じ一言でも、相手の何を動かしたいのかを設計しているかどうか。工夫し、良い反応を引き出そうとか、どんなパスを出せば相手が輝くのか、というところまでは、普段なかなか考えきれていません。自分に当てはめてみると、まさに図星でした。
荻原:「どんなパスを出せば相手が輝くか」。営業でいえば、お客様が思わず話したくなる一問を渡せるか、ということですね。
結城:はい。質問は相手の気持ちを前向きにも後ろ向きにもする、とも書かれていました。だからこそ、その一言をどう設計するかが大事なんだと腹落ちしました。
3. 相手の「こだわり」を深掘りし、「囚われ」を揺さぶる

荻原:ほかにも、読んでいて「これは自分の仕事に効く」と感じた考え方はありましたか。
結城:はい。実はこの本、チームづくりについての一冊でもあるのですが、その根っこにある考え方が、営業にもそのまま通じると感じました。
一人の力でできることは限られているので、周囲の人の力を問いかけで引き出していく。これまで主流だった、トップダウンで指示に従う「軍隊型」のチームから、一人一人のこだわりや強みを活かす「冒険型」のチームへ、という考え方です。
この「相手の力を引き出す」という発想は、お客様との商談にもそのまま活きると感じました。
荻原:相手が持っているものを引き出す、という点では、チームもお客様も同じだと。
結城:まさにそうです。鍵になるのが、「こだわり」と「囚われ」という二つの言葉です。
こだわりは、その人ならではの衝動や好奇心、強みのこと。
囚われは、こうでなくてはいけないという固定観念や、暗黙のルールのように、いつの間にか自分を縛っているものです。
そして、こだわりは「深掘り」して引き出し、囚われには「揺さぶり」をかけて、当たり前になっている前提を問い直し、外していきます。
荻原:お客様に置き換えると、大事にしている軸は深掘りして、思い込みは一緒にほぐしていく、というイメージでしょうか。
結城:その通りだと思います。そう考えると、営業のヒアリングも、ただ要望を聞くのではなく、お客様のこだわりを深掘りし、囚われを揺さぶる問いかけなのだと捉え直せました。ただ、本書ならではの言葉が多いので、読み終えた今も、一つずつ自分の言葉に置き換えて、じっくり自分のものにしている途中です。
4. 明日から使える「素人質問」

荻原:その中で、結城さんがまず自分でも取り入れてみようと思った技術はありましたか。
結城:「素人質問」という型です。これは本当に取り入れやすかったです。
チームやお客様が当たり前だと思っている前提や、暗黙のルール、専門用語などに対して、少しでも引っかかったら、素人のように素朴な疑問をぶつけてみる、という問いかけです。
荻原:あえて、基本的なところを聞いてみる。少し勇気がいりそうですが、効果は大きそうですね。
結城:はい。下手をすると、なぜ知らないの、と思われそうな質問ではあります。でも、話がすれ違うときは、実はその初歩的な前提のところで認識が合っていないことから始まっていたりします。誰も聞かないから、きっとみんな分かっているのだろうと惰性で進んでしまう。それを放置すると、だんだんお互いの本当の狙いも見えなくなってしまう、と書かれていました。
荻原:分かっているつもりで進めて、後で食い違う。商談でも、身に覚えがあります。
結城:ええ。だから、分かっていないかもしれない、という前提で確かめにいくことは大切だと感じました。この本を読んでからは、自分が引っかかって、かつ、みんなで揃えておいたほうがよいなと思うことは、その場で聞くようにしています。実際に思い切って聞いてみたら、私もそこが気になっていました、という声が返ってきたこともありました。使うときには、確認なのですが、とか、当たり前のことを聞くかもしれないのですが、といった枕詞を添えるとよい、とも書かれていて、そこも真似しやすかったです。
荻原:「確認なのですが」の一言があるだけで、お客様にも切り出しやすくなりますね。
結城:はい。相手を否定するのではなく、一緒に前提を揃えにいく質問なので、関係を壊さずに核心へ近づけると感じています。
5. お客様の「良い」の基準を、掴めているか

荻原:ほかに、心に残っているフレーズはありますか。
結城:「自分たちが良いと思える仕事をなすためには、自分たちが良さの基準を持ち、そこへ執着しなければならない」という一節です。
荻原:良い・悪いを測る物差しを、まず自分の側に持っておく、ということですか。
結城:はい。良いと思えるためには、そもそも何をもって良いとしているのかを握っておく。そして、一度握ったらそこへ執着する。ぶれない基準があるからこそ、ここは譲れない、と言い切れるのだと思います。
そして、この考え方は、お客様を理解するときにこそ効いてきます。お客様が何を良いと思っているのか、その基準を先に掴めるかどうかで、こちらの提案の刺さり方が変わってくるからです。
荻原:お客様の「良い」の基準がずれたまま提案しても、なかなか響かない、と。
結城:はい。その基準を引き出すのにも、問いかけが使えます。本書では、相手が「正しい」や「美しい」といった言葉を使ったときに、その”正しい”とは何ですか、と問い直す技が紹介されていました。
営業でいえば、お客様が「良い提案がほしい」とおっしゃったときに、その”良い”とはどういう状態か、を一緒に確かめにいく感覚です。すると、相手が本当に大事にしている基準が見えてきます。相手が何をもって物事を評価しているのか、そこにこだわりが隠れているのだと思います。
6. どんな人におすすめか

荻原:ここまで伺うと、営業の現場にそのまま持ち込めそうですね。改めて、本書はどのような方におすすめですか。
結城:まさに私のような営業の仕事をしている人におすすめです。
質問によってお客様のどんな反応を引き出したいのか、そこを設計できるようになる一冊だと思います。お客様が大事にしていることを深掘りできますし、視野が狭くなっているときには、視野を広げる問いかけもできるようになる。お客様を深く知りたい、お客様に新しい発見を届けたい、という営業の方にはぴったりです。
荻原:チームをまとめる立場の方にも効きそうですね。
結城:はい。会議がうまく進まない、メンバーの強みを活かしきれていない、と感じているマネジャーやチームリーダーの方にもおすすめです。人の力を引き出す問いかけは、お客様にもチームにも同じように使えます。
荻原:最後に、結城さんがこれから特に取り組んでみたいことを教えてください。
結城:実のところ、本に書かれている型をすべて使いこなすには、私もまだ時間がかかりそうです。それでも、この考え方をもとに問いを作っていきたい、という気持ちは強く残りました。まずは素人質問から、日々の商談や会議で少しずつ、自分の問いかけを磨いていきたいです。
荻原:等身大の一歩ですね。本日は、日々の「質問」を「問いかけ」へと変えていくヒントが詰まった一冊をご紹介いただき、ありがとうございました。
結城:こちらこそ、ありがとうございました。
本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術
【毎週月曜日配信】営業担当者なら読んでおきたい一冊を、毎週厳選してご紹介しています。
営業スキルに直結するものから、視野を広げてくれるものまで幅広くセレクト。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
結城 香織
埼玉県生まれ埼玉県育ち(本籍は福井県)
営業の力で、「笑顔」と「明るい未来」のあふれる社会に貢献していきたいという思いから、アルヴァスデザインの企業理念に共感し2025年4月に入社。 趣味はサウナ、家の片づけ、四季のお花を飾ること。

