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<トップセールスの本棚>自由になるための技術 リベラルアーツ(山口周著 2021年 講談社)~スキルという「アプリ」を動かす、判断の「OS」を鍛える~

こんにちは。荻原です。

今回のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。
インタビューに答えてくださったのは、現役プロデューサーとして活躍中の阿南さんです。営業に役立つ一冊として、山口周さんの『自由になるための技術 リベラルアーツ』をご紹介いただきました。


 

目次

1. なぜ、この本を手に取ったのか


荻原:本日はよろしくお願いします。はじめに、阿南さんがおすすめする一冊について、簡単にご紹介いただけますか。

阿南:本日ご紹介するのは、山口周さんの『自由になるための技術 リベラルアーツ』という書籍です。著者の山口さんが、リベラルアーツを「武器」として捉え直す一冊で、単なる知識や教養にとどめず、固定観念や常識から自分を解き放って、自由に生きるための手段なのだ、という立場で書かれています。
哲学、宗教、歴史、美術と、各分野の専門家に山口さんが一人ずつ対談を挑んでいく形式で、章ごとに相手もテーマも変わっていきます。

荻原:教養を「武器」として捉え直す。その発想が、まず新鮮ですね。
お話を伺う前に、土台の部分を確かめさせてください。そもそも「リベラルアーツ」という言葉、私は教養やたしなみといった漠然としたイメージで捉えていたのですが、あらためて何を指すのでしょうか。

阿南:リベラルアーツの源流は、古代ギリシャ・ローマにまでさかのぼると言われています。「自由な人間にふさわしい学び」という考え方から生まれ、その後、文法や論理、数学、天文などの学問として整理されていきました。
物知りになるためというより、「自分の頭で考え、判断するための土台」として捉えられてきたものです。山口さんも、この「自由になるための」という原点に立ち返って書かれています。

荻原:教養そのものというより、教養を使って自由になる、ということですね。少し意外な捉え方で、惹かれます。
実際に一通り読み通してみて、いかがでしたか。

阿南:正直、リベラルアーツについては少なからず知っているつもりでいました。でも、本書を読んでみて、自分の認識がいかに甘かったかを思い知らされました。これは教養として“あると良いもの”ではなく、ビジネスパーソンの土台として必要不可欠なものなのだ、と感じました。

2. リベラルアーツは、判断を司る「OS」


荻原:ビジネスパーソンの土台として必要、というのは気になります。その手応えの中心にあった、リベラルアーツの捉え方から伺わせてください。

阿南:いちばん腹落ちしたのが、この本での定義でした。
山口さんは、リベラルアーツとはコンピュータで言うところの「OS」にたとえています。私たちの行動や判断を司る、根本のソフトウェアのようなもの。それがリベラルアーツにあたるという定義でした。

荻原:OSというと、パソコンやスマートフォンの土台にある、あの基本ソフトですね。

阿南:そうです。では、ロジカルシンキングやマーケティングといったスキルはどこに当たるのかというと、これは「アプリ」だと説明されています。場面ごとに使い分ける道具ですね。道具はもちろん大切なのですが、どの場面でどれを使うか。その判断の前提を形づくっているのが「OS」のほうで、その足元を確かにするためにリベラルアーツが要るのだ、という整理でした。

荻原:なるほど。となると、私たちが日ごろ熱心に増やしている営業のフレームワークやトーク術は、いわば「アプリ」ということになりますね。数をそろえるほど強くなる気がしていたのですが、その点はいかがでしょうか。

阿南:そこがまさに、気づかされたところです。アプリをいくら増やしても、それを選んで動かすOSが育っていなければ、使いこなせません。目の前のお客様に、どのタイミングでどれを差し出すのか。それを決めているのは、結局は自分の中の判断の軸ということですよね。

荻原:持っている手札の数と、それを使いこなせるかどうかは、別ものなのですね。耳の痛い話です。私もつい、新しい型を覚えた時点で満足してしまうところがあります。

阿南:変化が速くて前例が通じにくい時代ほど、その差が出ると思います。新しい道具はいくらでも出てきますが、どれをいつ使うかまでは、道具は教えてくれません。最後は、その人の判断の軸が決めるのだと思います。

3. 世界を、多面的に見る目


荻原:どんな道具を持つかより、それをいつ差し出すかを決める軸のほうが要になる。その順序が、この本の芯なのですね。そして、その判断の軸が育ってくると、日々のものの見方まで変わってきそうに思うのですが、実際はいかがでしたか。

阿南:変わりました。一つの面だけで決めつけず、多面的に見て判断しようと意識するようになりました。これは歴史的に見たらどうか、もっと言えば一人の人間としてどうか、など見る角度が増えた感覚があります。

荻原:受け取った情報を、そのまま鵜呑みにせず、いくつもの角度から捉え直すようになった、ということですね。何か身近な場面で変化を感じることはありますか。

阿南:ニュースの見方は変わりましたね。以前なら、中東情勢のニュースを見ても「大変なことが起きているな」で終わっていたと思います。でも今は、たとえば原油の供給に影響が出たら、物流コストや電気代、物価にも波及するかもしれない、と少し先まで考えるようになりました。さらに、過去には似たような局面で社会や人々がどう動いたのか、と歴史にも目を向けます。

荻原:一つの出来事が、経済や歴史や暮らしにまで、線でつながっていくのですね。ニュースを一つの点で終わらせず、過去の似た出来事とつなげて先を読む。それ自体が、一つの技術のように聞こえます。

阿南:はい。この見方は営業の現場でもそのまま活きると思っています。お客様の状況も、一面だけを見て「こういう課題ですね」と決めつけると、本質を外すことがあります。業界の流れ、これまでの経緯、その方個人の価値観まで多面的に捉えられると、提案の深さが変わってくるはずです。

荻原:見る角度が増えるほど、同じお客様でも、見えてくるものが変わってくる、ということですね。

阿南:そう思います。正直に言うと焦りもあって、世界にはもっと学んでいる人がいると思うと追いつきたくなります。一方で、いろいろなことを知れること自体が純粋に楽しくもあります。その相反する二つの気持ちを、今は抱えています。

4. 「判断の軸」を、増やしにいく


荻原:焦りと楽しさが同居している。その揺れ自体が、学び続けている人の実感なのかもしれませんね。最後に、この本はどんな方におすすめでしょうか。

阿南:今の自分を変えたい方や、新しい環境や役職について、これまでの経験だけでは太刀打ちできないと感じている方に、おすすめしたいです。
自分の経験だけで判断しようとすると、どうしても見えている範囲が狭いまま、その枠にはまってしまいます。だからこそ、自分の経験だけに頼らず、物事を見る視点や判断材料を増やしていく。そのうえで、自分なりの判断軸を磨いていくことが、壁を越える鍵になると思っています。

荻原:スキルという「アプリ」を増やす前に、それを動かす「OS」そのものを鍛える。最初の一冊としては、少し重たそうにも感じますね。

阿南:それが、前提知識はほとんど要りません。人名や専門用語には注釈がついているので、教養の有無にかかわらず読める本だと思います。
学んでからでないと読みづらいのでは、と身構えるくらいなら、先に読んでしまったほうがよいくらいです。そこから、歴史でも哲学でも芸術でも、興味の湧いた分野へ読み進めていけば、世界の見え方が少しずつ広がっていきます。その最初の一歩になってくれる本だと思っています。

荻原:入口として、とても手に取りやすい一冊なのですね。本日はありがとうございました。日々の商談や判断に追われていると、つい目の前の損得だけで物事を決めてしまいがちです。少し視点を引いて、過去の似た出来事に照らすとどうか、一人の人間としてどうか、と問い直してみる。その小さな習慣が、判断の質を静かに変えていくのだと感じました。本記事が、皆さんの「判断の軸」を見つめ直すきっかけになれば幸いです。

本日ご紹介した本のAmazonリンクはこちら⇒自由になるための技術 リベラルアーツ

〇トップセールスの本棚とは?
【毎週月曜日配信】営業担当者なら読んでおきたい一冊を、毎週厳選してご紹介しています。
営業スキルに直結するものから、視野を広げてくれるものまで幅広くセレクト。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

荻原エデル

社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。

阿南 康平

大学卒業後、システム開発を行うIT系ベンチャー企業に入社。個人事業主や中小企業の経営者に対しての新規開拓営業として、約2年従事。大手企業に対しての営業にチャレンジしたいという思いから、当社の理念に共感して2024年1月に入社。

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