ALVAS JOURNAL

【第2回開催レポート】ドラッカーに学ぶ「人と組織のマネジメント対話会」

他社との対話から、自社のマネジメントを問い直す
〜マーケティング編〜

本レポートは、全4回シリーズでお届けしている「人と組織のマネジメント対話会」の第2回(マーケティング編)の開催レポートです。第1回「ITとコミュニケーション編」の様子は、こちらの記事でご紹介しています。

▼第1回のレポートはこちら
https://alvas-design.co.jp/column/16469/

人と組織のマネジメントには、誰にでも当てはまる唯一の正解があるわけではありません。
だからこそアルヴァスデザインでは、異なる業種や立場の方々が経験や課題を持ち寄り、対話を通じて自社のマネジメントを問い直す、全4回の「人と組織のマネジメント対話会」を開催しています。

本対話会のコンテンツは、PROJECT INITIATIVE株式会社 代表取締役の藤田勝利さんにご監修いただき、ドラッカーのマネジメントに関する考え方を手がかりに設計しました。

2026年8月4日、その第2回となる「マーケティング編」を開催しました。当日は、お客様12名と、オブザーバーとして早稲田大学の学生4名が参加し、社外からの参加は合計16名でした。講師として弊社代表取締役CVOの高橋研が登壇し、社内メンバーも各テーブルのファシリテーターとして加わりながら、4つのグループに分かれて対話を深めました。

企業の目的は、顧客の創造である

第1回では、「マネジメントとは管理ではなく創造である」というドラッカーの言葉を出発点に、ITとコミュニケーションをテーマに対話を重ねました。第2回のテーマは、「マーケティング」です。

冒頭、高橋からは「マネジメントにおいて重要なテーマは7つあり、それらは切り離せず、互いに影響し合っています」という話がありました。セルフマネジメント、組織とチームマネジメントの目的、ITとコミュニケーション、そしてマーケティングとイノベーション、会計とマネジメント。今回はそのうちの「マーケティング」、いわば組織の「手」にあたる部分を扱う回です。

 

 「企業の目的は顧客の創造であり、それを実現するためのエンジンがマーケティングとイノベーションである」

ドラッカーのこの言葉をもとに、続けて次のような話がありました。
マーケティングとは、商品を売る活動ではなく、顧客にとっての価値を考え抜き、選ばれる理由をつくり続ける活動である、と。

さらに、「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである」というドラッカーの言葉も紹介されました。売り込むのではなく、顧客が自然と選びたくなる状態をつくる。そのために欠かせないのが、「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」という、2つの問いです。

 

同じ商品でも、選ばれる理由はちがう

講義に続いて、対話会は一つの問いへと進みました。「好きなハンバーガーチェーンはどちらですか。その理由を教えてください」という、身近な問いが投げかけられ、笑いも起きるほど盛り上り、活発なやり取りが交わされました。

参加者の答えは、さまざまでした。安さや提供スピード、期間限定メニューの面白さを理由に一方を選ぶ人もいれば、地産地消や素材へのこだわり、落ち着いた店内の雰囲気を理由にもう一方を選ぶ人もいました。さらには、まったく別のチェーンを挙げる参加者もいて、多種多様な意見が出ました。

同じ「ハンバーガー」という商品でも、顧客が感じている価値はまったく違います。企業は何を売るかだけでなく、自分たちがどんな価値として認識されているかを、あらためて考える必要がある。そんな気づきの入り口として、この日のテーマであるマーケティングへの関心に火をつける問いになりました。

 

「機能」を提案したのに、選ばれなかった

前半の中心となったのは、一本のショートドラマです。
ある営業担当が、自社のシステムを顧客に提案する場面です。部下は良かれと思って機能の魅力を丁寧に説明しますが、結果としてお客様からの信頼を損なってしまいます。

「もし自分が、この部下の上司だったらどう対応するか」という問いが投げかけられると、グループでは「上司も部下も、何が起きているのか分かっていないのでは」「自分ならこうするのに」というもどかしさの声が多く上がりました。

続けて高橋から、「お客様が買っているのは、機能やその製品の良さそのものではなく、成果なのです」という解説がありました。あわせて、「自社が提供したい価値と、お客様が実際に買ってくれているものとの間に、ずれを感じた瞬間はありますか」という問いも差し込まれます。

ある参加者は、自社の事業に関わる具体的な経験を話してくれました。自分たちが強みとしてこだわってきた部分と、お客様が実際に評価しているポイントは、必ずしも一致しない。決まったタイミングで、約束どおり確実に対応してもらえること自体に、価値を感じているお客様もいる。そんな気づきです。
「ずれがあること自体は避けられません。大切なのは、それに気づいているかどうかです」という言葉に、グループ全体が深くうなずいていました。

また、別の参加者からは「自分たちが提供している価値は、時代が変わっても、人が入れ替わっても変わらないと思う。長年にわたってお客様が自分たちの何を買い続けてくれているのかを理解し、その軸を守り続けることこそがマネージャーの役割だ。」という発言がありました。守るべきものを見極める視座の高さに、聞いていた参加者たちも共感していました。

 

受注理由を聞いていますか?

休憩をはさんだ後半は、前半のドラマを振り返るところから始まりました。
部下が自社の事業を「システムを提供する会社」と定義したまま、顧客の目的ではなく自社の商品価値を起点に考えてしまっていたこと。それが、うまくいかなかった原因として示されました。

そのうえで対話は、「あなたの会社のお客様は、何を価値として買っていますか」という、より自分ごとに引き寄せた問いへと進みます。

保険を扱う参加者からは、「安さや便利さよりも、誠実さで買ってもらっている」という声が上がりました。改善点をきちんと振り返り、すぐに対応する姿勢が信頼につながっている、という実感のこもった発言でした。他にも、「相手が求めていること以上に、プラスアルファの価値を提案し続けている部分が、自分たちの価値になっている」と語る参加者もいました。

対話の中で、高橋が繰り返し強調していたのが「失注理由は聞くのに、受注理由は聞かない」という提言です。長くお付き合いのあるお客様ほど、なぜ買い続けてくれているのかを尋ねる機会は少ないものです。
この一言に、「確かに」とうなずく参加者が多くいました。
実際、アンケートにも「失注理由はきくけど、受注理由はきかない」というキーワードが複数寄せられており、この日の対話を象徴する言葉になりました。

さらに対話は、「部下が担当しているお客様も、マネージャーにとっての顧客だ」という気づきへと広がっていきました。
さらには、自分が直接関わるお客様だけでなく、部下が何を大切にし、何を求めているかを理解しながらコミュニケーションを取るべきだという発言に、深くうなずく参加者が印象的でした。

このグループには、実際にアルヴァスデザインと取引のある企業のご担当者も同席していました。「アルヴァスデザインとは、どんな場面で本質に向き合ってもらえていると感じたか」を、他社の参加者から直接尋ねられる場面もありました。まさに、他社同士が同じ取引先について語り合う、とても貴重な時間になりました。

対話の終盤では、「自分が思う価値、自分と一緒に働くメンバーが感じている価値、そしてお客様の価値。この三者をすり合わせていくことの大切さに気づいた」という声が聞かれました。
「自分寄りにも、相手寄りにもなりすぎず、意識的にすり合わせていく。」そんな次の一歩を、参加者それぞれが持ち帰りました。

 

参加者の声

対話会終了後のアンケートでは、ご回答いただいた11名のうち10名が5段階評価で最高の「満足」、1名が「やや満足」とご回答いただきました。

 

また、今後聞いてみたい内容として「価値の理解度と現場実践について」というお声もいただきました。学びをより現場での実践につなげられるよう、次回に生かしていきます。

 

「顧客は誰か」を、問い続ける

第2回の対話から見えてきたのは、マーケティングとは、顧客に何かを売り込む技術ではなく、「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」を問い続ける営みだということです。

自分たちが提供したいと思っている価値と、お客様が実際に買ってくれているものとの間には、多かれ少なかれずれがあります。大切なのは、そのずれに気づいているかどうか。そして、失注の理由だけでなく、選ばれ続けている理由にも、意識的に耳を傾けることです。

今回の対話会でも、他社の実践や異なる立場からの気づきに触れることで、自社の当たり前を見つめ直す時間になりました。参加者の皆さんが持ち帰った問いは、日々の営業やマネジメントの中で、お客様や部下と向き合うときのヒントとして、これからも生き続けていくはずです。

本対話会は、今後も「イノベーション」「会計とマネジメント」をテーマに続きます。

【今後の開催スケジュール】

第3回 イノベーション編
2026
年9月3日(木)18:30~21:30
変化の時代において、組織はいかにして新たな価値を生み出し続けるのかを探求します。

第4回 会計とマネジメント編
2026
年10月1日(木)18:30~21:30
数字を「管理」のためではなく、“意思決定”のためにどう活かすかを学びます。

会場:アルヴァスデザイン新橋ワークショップ会場(新橋駅 徒歩1分)
参加費:2,000円(税込)/回 ※1社につき2名様までご参加いただけます

<このような方におすすめです>

・管理職育成や次世代リーダー育成を担当している人材開発・人事部門の方
・営業やマーケティングの現場で、自社が「選ばれる理由」をうまく言語化できずにいる方
・部下とのコミュニケーションや1on1に課題を感じているマネージャーの方
・他社のマネジメント事例から、自社の取り組みを見直したい方
・自社のなかだけでは得にくい、新しい視点や問いを求めている方

<参加して持ち帰れること>

・自社のマネジメントを、異なる角度から見直す視点
・他社の管理職や人材開発担当者が実践している工夫
・ドラッカーの原則を手がかりに、自社の顧客や提供価値を整理するための問い
・受注理由や失注理由を、現場でどう聞いていくかのヒント

第2回でも、参加者の多くが「顧客は誰か」「価値は何か」という問いを、現場に持ち帰りたいテーマとして挙げてくださいました。持ち帰った問いは、自社の提供価値がお客様の求めるものとずれていないかを振り返るきっかけとして、現場でご活用いただけます。

第3回・第4回のお申込みはこちら
https://alvas-design.co.jp/information/15730/

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(執筆:株式会社アルヴァスデザイン)

 

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