ALVAS JOURNAL

THE HEART OF BUSINESS「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ (ユベール・ジョリー、キャロライン・ランバート(著) 2022年 英治出版)

こんにちは、土岐です。
日々仕事に向き合う中で、「最近、働くことがあまり楽しくないな」「なんだか『やらされ感』ばかりで仕事がつまらない」と感じる瞬間はありませんか?

今回ご紹介するのは、ユベール・ジョリー氏らの著書『THE HEART OF BUSINESS―「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ』です。この本を手に取ったのは、経営やビジネスの前段に「HEART(ハート)」という言葉が据えられたタイトルに、強く惹かれたからでした。
副題にもある通り、本書では「人とパーパスを本気で大切にする」という姿勢が一貫して描かれています。多くの日本企業の経営者が深く共感されているのも納得のいく名著です。

思考を少し転換してみることで「働くことを楽しむ人」が一人でも増えたら嬉しいな、と思っておりますので、そんな想いを込めてお届けします。


 

目次

1. 「労働、それは目に見えるようになった愛」

あなたにとって「仕事」とは何ですか?

私は現在でこそ仕事を楽しめているほうだと感じていますが、5年前の自分であれば「仕事とは、とても苦労して苦労して行うべきもの」と答えていたかもしれません。
前職にいた頃、ベテラン社員の方に「仕事って何だと思いますか?」と尋ねたことがあります。その時、「生活するためにお金を得ることだよ。それ以上でも以下でもなくない?」と言われ、軽くショックを受けたことが今でも記憶に残っています。(長く勤めていらっしゃる方なら、その人なりの深い仕事哲学があり、人生が豊かになっているはずだと、当時の私は期待していたのです)

しかし、本書の著者であるユベール・ジョリー氏は、仕事の定義について次のように語っています。 仕事とは「人間らしく生きるのに欠かせないもの」「自分の生きる意味を探すための鍵」「人生に充実感を見出す手段」である、と。
私はこの定義に深く共感しました。
本書の中ではヴィクトール・フランクルの名著『夜と霧』も紹介されていますが、フランクルによれば、人間が人生の意味を見出せる場所は「仕事・愛・勇気」の中にあるとされています。
私自身は、つくづく「生きる意味」がないと生きていけない人間なのだと実感しています。ファーストキャリアである前職の時も、最初は就職する意味が分からず、「アーティストとして頑張って生きていこうか」と考えていたほどでした。そしてセカンドキャリアである現職(アルヴァスデザイン)でも、「働く意味とは何なのか?」「私がここに居る意味とは?」と考え続け、目の前のやるべきことと、心に引っかかり続けるモヤモヤとの間で葛藤を重ねていました。

そんな模索を経て、今の私には一つの「暫定解」があります。
それは、仕事とは「愛」であり、人間としてより善く生きるために意味を探すのにぴったりの場所である、ということです。ユベール氏の言葉に触れたことで、私の中にぼんやりと存在していた仕事観に、しっくりくる美しい言葉が与えられたような感覚でした。

もし今、あなたの仕事観が「苦役だ」「呪いだ」「生きるために嫌々やっている」という状態にあるなら、それは非常にもったいないことです。一度少し離れたところから、ご自身の働く意味を俯瞰してみてはいかがでしょうか。

2. すべてのステークホルダーを大切にしながら協働する

ここまで、個人にとっての「働く意味」について考えてきました。しかし、仕事に意味や喜びを見出すためには、個人の意識だけでなく、働く組織のあり方も重要なのではないでしょうか。
本書では、そうした組織のあり方についても、具体的な企業の変革事例を通じて紹介されています。その内容は、組織で働く私たちに大きな勇気を与えてくれるものです。
本書は、表層的な綺麗事ではなく、真の意味で「人を大切にする経営」とはどういうものかを目の当たりにさせてくれます。

例えば、共著者の一人であるユベール・ジョリー氏がCEOを務めたベスト・バイ社の変革においては、まず「顧客を喜ばせること」を出発点とし、次のような問いを徹底的に探求したそうです。

・私たちの最高の姿はどのようなものだろう?
・ベスト・バイが人間だとしたら、どのように行動するだろう?

この探求を通じて見えてきたのは、ベスト・バイという会社は顧客にとって「背中を押す友人」のような存在であるべきだ、という結論でした。

その結果、「人間らしく」という行動指針のもと、すべての人を顧客のように尊重し、一人ひとりの切実なニーズを持った人間として扱うという、真の経営革命に至ったのです。

3. 「あなたが見たいと思う変化に、あなた自身がなる」

ここまで述べてきた「本当に人を大切にする」というのは、当たり前のことかもしれません。しかしながら、その「当たり前」を真摯に持続できている企業は、果たしてどれほどあるでしょうか。
自組織にあてはめて耳が痛いなと思われる方へ、本書の最後に記された「リーダーへ」と題したユベール氏の言葉を贈ります。

———引用———
パーパスフル・リーダーになるためには、誰もが自分自身から始めなければならない。自分を突き動かすものを言葉にし、それとつながり続けるためには、自分を見つめ、己を振り返る必要がある。自分自身と深くつながっていなければ、偽りのない自分になることも、他者と真につながることもできない。そして周りの人が成功をおさめ最高の自分になる手助けをするためには、自分自身も最高の自分を日々目指す必要がある。
だから、あなた自身から始めよう。
なりたいリーダーになろう。
あなたが見たいと思う変化に、あなた自身がなるのだ。
(ユベール・ジョリー、キャロライン・ランバート著/樋口武志訳『THE HEART OF BUSINESS「人とパーパス」を本気で大切にする新時代のリーダーシップ』英治出版、2022年)
———引用———

一人ひとりを真に大切にするリーダーとしてのあり方が、まっすぐに心に響いてきます。

4. おわりに


いかがでしたでしょうか。 ユベール氏の「人を本気で大切にする」リーダーシップや仕事に対する情熱が、少しでもみなさまに伝わっていれば幸いです。

仕事に追われたり、働く意味を見失いそうになったりした時、この本はいつでも原点に立ち返らせてくれる温かい光になるはずです。少しでも心に引っかかるものがあった方は、ぜひ手に取ってみてください。

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土岐優

石川県金沢市出身。音楽大学(ハープ科)卒業後、ファンマーケティングのリーディングカンパニーに勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。2024年10月よりナレッジ・マネジメント部を立ち上げ、ナレッジコーディネーター兼ラーニングデザイナーとして奔走中。趣味は内面探求、読書、マインドフルネス瞑想。好きな言葉は「強がらなくても大丈夫。どんなあなたも大好きだから。」

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