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「LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる」(ケイト・マーフィー著 2021年 日経BP )~話を「聴く」ために大切にしたい2つのこと~

 

こんにちは、伊藤です。
今回ご紹介するのは「LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる」(ケイト・マーフィー著 2021年 日経BP )です。

著者のケイト・マーフィーさんはニューヨーク・タイムズ紙や英エコノミスト誌で活動するジャーナリストです。彼女の職業柄、インタビューするという形で延べ4000人もの様々な人種・職種の方々の話を聴く経験を積んできました。

みなさんは誰かに、「自分の話をしっかり聴いてもらえたな」という体験をしたことがありますか?それはいつ頃で、聴いてくれた人はどのような方でしたか?

私もじっくり考えてみたのですが、思い出してみると、案外少なくありませんか?

話をしっかり聴いてもらえると分かると、人は安心しますよね。しかし、なかなか話を聴いてもらえるというシーンは多くないのです。

 

本書には、話を聴いてもらうことによる安心感に関する脳科学の研究が紹介されています。

研究によると、安全を脅かす危機に反射的に反応してしまう海馬という部位の活動量と、話を聴く時に活性化する前頭前野という部位の活動量は相反する関係にあるそうです。

 

今回は、営業活動においても最も大切であるといっても良い「聴くこと」の焦点を当てていきます。

みなさんは「お客様の話をしっかり聴いていますか?」

この「しっかり」という尺度は人それぞれだと思いますが、今一度この本を読んで、「聴くこと」の重要性に目を向け、自分や身の回りで起きるコミュニケーションを改めて認識できればいいと思います。
それでは見ていきましょう。

 

1. 「次に何を話そうか」という心配が「聴く」を邪魔する

心をしっかりと相手の話に集中させて聴き続けるにあたり、一番の障壁は

「自分が話す番になったら、何を言おうか」
「次はどのような質問をしようか」

という心配が頭から離れないことだと著者は言います。

 

ビジネスシーンにおいて、大切な会話であれ気軽な会話であれ、言葉に詰まるという状況は誰しも陥りたくないものです。

加えて今の社会では、発言のリスクはさらに高く感じられます。誰かの発言が無神経だとか侮辱的だと思ったら、すぐに噛みつこうとしたり、インターネット上に投稿しようとしたりする風潮があるからです。

そのため、どうしても言葉は注意深く選ばなければならないという意識が強くなり、相手がまだ話しているにも関わらず、次は何を言おうかとあれこれ吟味するようになってしまったとも言えると思います。

 

では、こうした心配を拭うためにはどうしたらいいのでしょうか?解決策の1つとして、筆者は自らの「思い込み」をなくすことから始めることを筆者は推奨しています。

具体的な内容を次の章で紹介していきます。

 

2. 無意識な思い込みにご注意!

みなさん、「アンコンシャスバイアス」という言葉をご存じですか?

人間は気づかぬままにいかなる人、モノに対して、「無意識的な思い込み」をしてしまうものです。こういったことを「アンコンシャスバイアス」と言います。

固定観念や先入観を持つことは、相手への理解というものを妨げてしまいます。例えば、この人は外国人だから自分とは思考が異なる、年齢が上の女性だから理解できないというようなシグナルが、「聴くこと」を邪魔します。

こうした先入観は、自分や他の人の個性を発見しにくくしてしまい、その人から学ぶ機会を減らしてしまうのです。

 

しかし、相手の話に耳を傾けることが、思い込みからくる予想をひっくり返してくれるのです。このように先入観を捨て、他者の話を聴くことで、良好な人間関係を築けるようになります。

よく「聴く」とは、相手の頭と心の中で何が起きているのかをわかろうとすることです。そして「あなたを気にかけています」と行動で示すことです。

良い聴き手になることで、相手から多くのことを学べるようになり、自分の可能性を広げることができるのです。

 

それでは、自分の可能性を広げるためには、どんな聴き方をすると良いのでしょうか?

 

3. Support response

「聴く」とは、大人しく相手が話していることに耳を傾けることとは違います。むしろ逆で、

相手の考えを引きだし、それを受けて自分の考えも整理していく、能動的な活動だ

と著者のマーフィーさんは述べています。

 

その方法の一例として著者は、社会学者のチャールズ・ダーバーが提唱する方法を紹介しています。それは、「ずらす対応」(shift response)ではなく「受け止める対応」(support response)をしようというものです。

それでは、営業シーンでの会話で想定してみましょう。

■ずらす対応:
Aさん「昨日、すごく興味のある資料を見つけたんですよ。これからの事業推進に役立ちそうです。」
Bさん「そうなんですね。私が集めた情報ですと、こういうものが役に立つような気がして…。」

 

■受け止める対応:
Aさん「昨日、すごく興味のある資料を見つけたんですよ。これからの事業推進に役立ちそうです。」
Bさん「常に意識を張り巡らしているんですね。すごいですね。どうやって見つけたのですか?私もその内容は気になります。」

 

「ずらす対応」が特に感じが悪いということはありません。私も友人同士の会話でよくこのような反応をします。しかし、「受け止める対応」の方が、相手の内面にもっと触れることができて、より実り多い会話になりそうですよね。

マーフィーさんは次のように述べています。

Our collective listening, or the lack thereof, profoundly affects us politically, societally, and culturally.
(私たちの組織や社会において「聴く」がどれくらい行われているかが、私たちの政治、社会、文化に大きな影響を及ぼす)

 

4. まとめ

いかがでしたでしょうか。

話を「聴く」ために大切にしたいこととして、自らの「思い込み」をなくすこと、「受け止める対応」(support response)をすること、の2つをご紹介しました。

話を聴くということは、自分では考えのつかない新しい知識や経験をもたらしてくれます。また、他人の考え方や見方を認識することでもちろん相手から信頼され、ビジネスシーンや、友情や愛情など、特別な関係を育みます。

「自分の話をしっかり聴いてくれた」ら、自分の中でも思いもよらなかった考えが出てくるかもしれません。どんな会話も、我慢という技術は必要です。しかし、それを知っておくだけで、人生は驚くほど豊かなものになるのではないでしょうか?

気になった方は、是非ご一読ください。

 

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北海道生まれ札幌育ち。2020年9月入社。
大学卒業後、公立教員、某大手アパレル企業にて勤めたのち、プロデューサーとしてアルヴァスデザインに参画。丁寧かつ親切な対応を心掛けています。趣味は温泉巡りで、好きな言葉は「一期一会」

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