0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書(落合陽一著 2018年 小学館)~人生100年時代、営業が大切にすべきことは何か?~
こんにちは。松下です。
今回ご紹介させていただく書籍は、メディアアーティストとしてご活躍されている落合陽一氏が書かれた
「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書」です。
本書は、一見子育て世代にヒットする内容にも思えます。
しかし、実は社会人、そして本コラムをご覧頂いている営業職の皆様にも役立つ内容が随所に含まれています。
例えば、質問に回答する形で解説をしていたり、コラムを随所に挟んだりと、最初から最後までじっくり時間をかけて読まなくても、自分にとって必要な箇所を読み解くという方法で学びを深められる一冊となっています。
本コラムでは、その中から、これからの営業のヒントとなりそうな内容を取り上げます。
それでは見ていきましょう。
1. 人生100年時代を生きている
人生100年時代とは、学校を卒業してからの人生が長く、例え60才で仕事を退職したとしてもさらに余生が40年もある、という時代です。
本書では「20世紀の標準的な生き方から劇的に変化する時代になる」と述べられており、
・ビジネスのルール
・働き方や企業のあり方
・学歴の作り方
・研究の仕方
など、すべての価値観が変わっていく
と書かれています。
まさにこれまでの価値観を拭い去り、自分でこれからの時代に求められているものは何かを思考し、見極める必要が出てきているのです。
学生時代に学んだ知見も、すぐに古びてしまうため、常に学び続けることが大切なのです。
2. これからの学びのスタンダードSTEAM
本書では、日本も含めた世界的な教育の潮流である「STEAM教育」について取り上げています。
STEAMとは
S…Science(科学)
T…Technology(技術)
E…Engineering(工学)
A…Art(美術)
M…Mathematics(数学)
の頭文字をとった教育です。
もともとはSTEMのみだったものにArtを加え、STEAMとなったそうです。そして、「Art」を加えた事を著者は高く評価しています。
なぜならばSTEM教育で育成された人材は、基本的に「システム思考」に陥りがちで、いわば課題に対しての最適解を求めることは得意だが、それ以上を突破することが困難な傾向にあるからです。
一方、「Art」が加わる事で何が起こるかというと、とびぬけた発想や「何か新しいものを生み出したい」という創造が起こるのです。
つまり、STEAMを統合的に学ぶことで論理的なアプローチとアート的なプロセスを組み合わせて独創的で価値の高いものを生み出すことが可能になります。
営業として押さえておきたいことは、これからの時代はSTEAM教育を受けた人材が増えるという事です。つまり、お客様先担当者に、ロジカルだけでなく、予測不能なイノベーションを起こす土台を持ち合わせた方々が増える可能性がある訳です。
そう考えると、これまで通りのロジカルな「説明」だけはつぶしが聞かず、物事の本質をとらえ、「対話」をしていくことが求められると言えそうです。
3. なぜと問いかけられる力の重要性
これからの営業にとって「対話」における問いかけの重要性は、さらに高まると感じています。
第一章でも述べたように現代は価値観が様変わりしていく人生100年時代です。この時代においては、「サービスを説明し購入して頂く」「お客様の課題を解決する」といった説明型やロジック偏重型の営業スタイルは、取り残されてしまう可能性があります。
代わりに、お客様のビジョンを正確に捉え実現をサポートする事が必要になるでしょう。
そのためには、「まだ明確になっていないこと」や「正解のない問い」をお客様との対話を通じて見出す力が必要となります。
「分からないことは率直に分からないと伝え」、そして時には「お客様だけでは考えつかないような視点での質問」や「お客様にとって批判的とも言える質問」を行う事で、お客様の中で整理できていなかった思考をつまびらかにしていくことも大切です。
本書では、
「あえて説明はせずに質問する、簡単に答えにたどり着くことを良しとはせず、常に問いを前提とした対話のやりとりを続けることは、思考の修行になる」
と書かれています。
そして、「問いの答えを自分で見つけ、まだない価値をつくるスタイルを習得することが必須」とも書かれています。
「なぜ?」と問いかけをすることのできる力がとても重要になる時代と言えるのではないでしょうか。
是非、参考にしてみてください。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、落合氏の著書の中から、これは役立つと感じた一部分をご紹介しました。
これからの時代は、100才までのスパンで学び続ける必要のある時代です。
また、VUCAと呼ばれているように非常に不確実性が高く、価値観が様変わりしていく時代です。
そのため、従来の営業の価値観にしがみついているのはナンセンスで、むしろ、自分自身で考え、営業価値を創造していく力が求められる、と言えそうです。
本コラムで取り上げた以外の観点でも本書には気づきをもたらす内容が含まれています。
気になった方は是非、ご一読下さい。
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。