インサイトセールスとの出会いと創業の想い
こんにちは。高橋です。
本日は、インサイトセールスとの出会いと創業の想いについてお話します。
ありがたいことに今では、「実践!インサイトセールス」の書籍を世に送り出すことも出来ましたが、そこに至るまでにはこんな背景がありましたよ、というお話です。
目次
1. 営業をはじめたのが30歳。とにかく必死でした…
私が営業職をはじめて経験したのは、30歳になってからです。
それまでは、大手化粧品会社で研究職の仕事をしていました。
私が30歳で営業をスタートした頃、まわりにいる営業は20代から営業をスタートさせたプロフェッショナルばかりでした。
当然30歳になってはじめて営業をした私とは大きな差があったわけです。
私は、人の3倍は働く。
そう決意して、年下の営業にも頭を下げて営業のイロハを聞いて回りました。
あの当時は、とにかく必死で、毎日が戦いでした。
2. コンサル業界への転職と、営業でぶつかった壁
努力が少しずつ成果になり、数年後コンサル業界へと転職することになります。
先輩はみな知的水準が非常に高く、とても刺激的な毎日であったと記憶しています。
私は営業職として、「お客様の課題を聞いて解決すること」を常におこなっていました。一方で、先輩や上司からは、他社と差別化をするために「お客様の業務上のありたい姿を捉えることを忘れないように」と徹底的に指導されました。
コンサル業界で提案活動をしたことがない私は、優秀な先輩たちが過去に作り上げた提案書をかたっぱしから見ては学び、そして実践するということを繰り返していました。
先輩や上司の助けもあり、成果は出てきました。しかし、どうしても多くの提案で、結局はコンペになるし、最終的には値引きをリクエストされて、なかなか条件競争から脱却できなかったのです。
しっかりと提案営業をしたのに価格競争や条件競争になる、ということは、多くの営業担当者が感じたことがあるのではないでしょうか。
まさに私も、この価格競争と条件競争の壁にぶつかったわけです。
3. 転機となった商談と、何とも言えない営業としての気持ちよさ
価格競争と条件競争の壁を乗り越えられない日々が続く中、輸送機器メーカーの取締役に、営業教育の提案をしました。
提案はいつも通り終了し、また価格競争や条件競争になるんだろう…私はそう感じていました。
取締役とは長くお付き合いさせていただいたこともあり、提案の終わりに雑談をしました。
たわいもない会話だったのですが、私が投げかけたある言葉をきっかけにいきなり話が盛り上がったのです。その言葉は、
「○○さんが、これから一番実現したいことは何ですか?」
という一言です。
その言葉を皮切りに会話の流れが変わりました。
取締役から、私の提案内容よりもはるかに壮大な夢とアイデアがあふれ出てきたのです。
そして、自身の会社での夢を語り始めました。
私はその話に引き込まれました。取締役からこんなワクワクするような話が聞けることはめったにないことだと思い徹底傾聴しました。
帰社後、取締役の話に感銘を受けた私は少し前に聞いたばかりの話をふんだんに盛り込んで提案書を再作成し送付しました。
それから数日たったある日の事です。取締役から電話がきました。
「先日の提案について価格や条件のことを言われるのかな…。」といつも通り思っていました。
すると取締役から、意外なお言葉をいただいたのです。
「提案のことはまだ話し合い中だから待って。ただ、この前まとめてくれた資料すごく良いんだ!この資料、株主総会や経営会議で使ってもよいか?」と。
私は営業として、商品を何も受注していないのに、鳥肌が出て、心が震えました。
この時、営業って商品を売るという仕事もあるけれども、お客様の夢を叶える存在でもあるのかもしれない…という気持ちになったのです。
そして、以降お客様の夢を叶えることにフォーカスした提案では、
価格競争と条件競争に陥るということが極端に減ったのです。
4. 創業へ
私はお客様の夢を叶えるのが営業だと感じたとき、たまたまハーバードビジネスレビューにて、
「インサイトセールス」という特集が組まれているのを見つけました。
そこで初めて、インサイトセールスという名前を知ったのですが、そこには、ビジョン・理念を実現する為の先回り提案について描かれていました。
それはまさに、私がつい先日お客様と経験した内容そのものだったのです。
私は、これだ!と思いました。
このインサイトセールスが日本に広まれば、きっと営業をする人、そして営業される人が楽しいを実現できる!
そう思えたのです。
このような想いから、私は株式会社アルヴァスデザインを創業しました。
一人で始めた会社ですが、今では15名ほどの規模になり、営業担当者も増えてきました。
これからもインサイトセールスを普及させ、少しでも営業を楽しむ人が増えたらいいなと感じています。