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【第2回】海外では既に当たり前の 「非対面」いま、生き残るための営業術(輸送経済新聞 2021年1月26日掲載記事)

新型コロナウイルスの感染拡大によって、営業手段は大きな変革が求められた。
対面営業が制限されたことで、営業は非対面で顧客とコミュニケーションを
取る必要が増えてきた。
今回は、その「非対面営業」について考えてみたい。
日本での非対面営業は、これまで盛んだったとは言えないが、海外ではどうなのだろうか。

米国では80%以上

海外、特に米国では、なんと1950年代から、
顧客を訪問しない内勤型営業手法の「インサイドセールス」が普及していたというから驚きだ。
普及していった背景は3つある。

1つ目は移動距離の問題。

国土が広いため、訪問営業をするにはあまりに非効率だ。
ニューヨークからロサンゼルスまでは飛行機で往復12時間もかかってしまう。

2つ目は営業のキャリアの問題。

米国では早くから分業が進んでおり、働き手の専門家志向も高い。
営業職の中でもより専門性が求められるインサイドセールスが育ちやすい環境と言える。

3つ目は企業としてのリスク分散だ。

雇用の流動性が高く、平均転職回数が10回以上といわれる。
商談過程全体を担当者に任せると、最悪の場合には顧客を持っていかれてしまうから
リスクが大きいのだ。

 

2015年3月に米国の労働局が発表したデータによると、同国内での営業時間配分は
インサイドセールスが、顧客を実際に訪問する「フィールドセールス」を上回り、
17年の時点では80%以上がインサイドセールスに移り変わった。
いままでも、米国で流行した営業手法は数年遅れで日本にやって来ている。
日本にも、遠くない未来にこのような状況が訪れることは容易に想像できる。
非対面営業のメリットは、営業活動の効率化に尽きる。移動時間を削減できるため、
時間を他に充てられる。
一方、デメリットは人間の感性に関わることだ。顧客のことを深く理解することや、
営業が熱意を伝えるといった点は、まだまだ対面営業にかなわない。
こうした特徴=表=を加味すると、私たち営業は対面営業と非対面営業双方の良いところを
認識して、上手に併用していく必要がある。

■非対面営業と対面営業の主な特徴

非対面営業対面営業
・視覚・聴覚のみのコミュケーション
・商談実施の心理的ハードルが低い
・移動時間やコストを削減可能
・場所の制限を問わない
・五感のすべてを活用可能
・互いに熱意を伝えやすい
・感情の伝達と把握がしやすい
・体験価値の演出が容易

これからは、対面営業と非対面営業を上手に併用して使いこなせる営業が生き残る。
では、どのように使い分けをすべきなのか。

使い分けの判断は

私は、次の3点を考慮して対面か非対面の判断をするようにしている。

1つ目は、誰と会うかだ。

経営層と面談する際には対面がお勧めだ。経営層が語る理念やビジョンといった
深い部分を理解するには、直接会った方が伝わりやすい。それ以外で、業務内容を確認するような打ち合わせなら非対面でよいだろう。

2つ目は、営業プロセス。

特に分かりやすいのが、顧客が購買を決定する過程の「クロージング」だ。
クロージングでは感情が重要になるため、顧客に熱意を伝えたいときは対面が効果的だ。

3つ目は、シチュエーション。

例えば、顧客に実際に触れて体験してもらう、あるいはクレームが入って謝罪をするとなったら、現地に足を運ぶべきと言える。

 

代表取締役 CVO
早稲田大学大学院理工学研究科終了後、株式会社ファンケルに入社。
その後、30歳を節目に営業の世界に飛び込み、多くの会社の教育支援に携わる。
2013年(株)アルヴァスデザイン設立。著書に「実践!インサイトセールス(プレジデント社)」。

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