ALVAS JOURNAL

顧客の心を掴むプレゼンをするには『インサイト営業』をベースに組み立てなさい

 

こんにちは、高橋です。

プレゼンテーションをするシーンは営業担当者にとって特に気合いが入るところ。論理的にモレの無いスライドを作り上げ、何度もリハーサルをして臨む人も多いのではないでしょうか。

しかし、論理的に完璧なプレゼンテーションをしても、顧客経営者からあまり良い反応が得られないことがあります。

これは、「ソリューション営業」と「インサイト営業」の違いが挙げられるのではないかと考えます。

 

ソリューション営業がベースになっているプレゼンのシナリオ

あまり良い反応が得られないプレゼンのシナリオは、以下のようなものです。

 

1)表紙

2)環境整理

3)課題整理

4)課題解決のソリューション提案(商品/サービス)

5)見積概算

 

実際の例で当てはめてみましょう。

例えば飲料会社がファミリーレストランに対して次のような提案をするとします。

▼「ディスペンサーを活用したフリードリンクサービス」の提案

1)表紙

「フリードリンク用ディスペンサー新設による来店客数向上施策のご提案」

2)環境整理

当該ファミレスにおける飲料流通量の整理、飲食チェーン店の客層分析、業務効率分析等お客さまが置かれている状況や環境を客観的に整理

3)課題整理

家族連れの割合をXX%にしたい、リピート顧客をXX%にしたい等、業務/戦略上のあるべき姿と現状のギャップを洗い出す。さらには今後の課題解決施策の方向性を整理する(例えば子供向けメニューの充実やリピート割引の実施など)。

4)ソリューション提案(商品/サービス)

お客さまが抱えている課題を飲料のディスペンサーで解決するという趣旨の提案をする(例えばディスペンサーで子供向けソフトドリンクを幾つか取り扱うなど)。場合によっては費用対効果の図表を添える。

5)見積概算

  競争力のある条件を提示する

 

以上のプレゼンは、ソリューション営業に基づいた典型的な課題解決提案です。

構成自体は決して悪くありませんが、例えば2)の環境整理は誰がやっても同じような結果になります。

3)も提案に先立ってお客さまから開示された情報を整理しているだけなので、競合との差は付きにくいといえるでしょう。

結果的に4)のソリューション提案も、お客様としてはある程度予測できる内容になってしまいます。「まあそうなりますよね」という感じで、論理的に違和感こそないものの驚きや感動もありません。

この状況で競合と差別化をするなら、5)の価格や取引条件で優遇するということになってしまうでしょう。しかし、それではせっかくの提案営業も“条件競争”に陥ってしまいます。

 

インサイト営業をベースにプレゼンを組み立てなさい

ではどうすれば良いのかというと、「インサイト営業」のプレゼンテーションです。

 

お客様経営者への提案時には、理屈での納得感よりも“ビジョナリーな共感”を重視した構成にします。なぜならば、顧客経営層は現状の問題解決以上に“中長期のビジョンの実現”に強い関心を持っているからです。

 

私はこのスタイルのプレゼンテーションを「ビジョナリープレゼンテーション」と呼び、以下のような構成を推奨しています。

 

1)表紙

2)臨場感の湧くビジョン

3)ビジョンを実現したい個人的な理由

4)ビジョン実現までの道筋

5)具体的な商品/サービス

6)見積概算

 

※3)は資料にする必要はありませんがこの提案のキモになります。

先ほどの飲料会社の例であれば、以下のような構成になります。

▼「ディスペンサーを活用したフリードリンクサービス」の提案

1)表紙

  子供たちから「また行きたい」と言われるワクワク型店舗づくりのご提案

2)臨場感の湧くビジョン

子供がワクワクするようなメニューが常に満載。選べて、体験できて、美味しいだけでなく、“楽しめるお店”にする。子供が楽しく過ごすことで親も笑顔になり、レストランが楽しい家族の食卓になる。この想い出は子供たちの記憶に残り、大人になった時にまた子どもたちを連れてくるようになる。親子3世代でワクワクしながら食事ができるお店を創りあげるという提案。

3)ビジョンを実現したい個人的な理由

先日、ファミレスに妻と一緒に5才の娘を連れて行ったときにメニューを選びながら「パパとママはいいよね」と言われた。理由を尋ねると、大人のメニューは飲み物も食べ物もたくさんあるが、子どものメニューはお子様セット1つだけで面白くないとのこと。さらに、大人はいろいろなお酒を飲んで楽しそうだが、自分はオレンジジュースばかりで飽きたという。言われてみたら自分も幼いころにそうだった。大人を真似てお酒を飲んでいるふりをしたくてお猪口にジュースを入れたらこぼしまくってテーブルを汚したことなどの記憶が蘇った。その瞬間、子どもが「もう1度行きたい、毎日でも行きたい」と思えるお店作りを支援したいという衝動に駆られ、この提案を考えてきた。

4)ビジョン実現までの道筋やアイデア

ノンアルコールのカクテルづくりによって子供たちが大人の疑似体験ができるお店を創りたい。カクテルのメニューと作り方はディスペンサーの横に掲示し小さな子供でも気軽に作れるようにする。

お店が空く平日午後は子供たちのカクテルづくりコンテストも実施。カクテルの名前も子供たちがつける。子供たちは自分オリジナルのカクテルを友達にも見せたくなり、友達同士の家族で誘い合って来店する。

5)具体的な商品/サービス

20種類のソフトドリンクが入っているディスペンサー。ソフトドリンクのカクテルメニューと作り方を各店舗に提供。お店はディスペンサーのスペースを確保するだけ。

6)見積概算

値引きしない定価を提示

 

いかがでしょうか。同じ提案であっても聴き手側の印象は全く違うと思います。

まず、1)の未来志向のタイトルと、2)の提案ビジョンに関しては、常に未来のことを考えている経営者の心を惹きつけます。

さらに、3)の個人的な理由/体験談には説得力があり、それ自体で人は心を動かされます。なぜ営業担当者がそのビジョンを語り出したのかという理由が腑に落ち、熱い気持ちが聴き手に伝わるのです。

その結果、聴き手は「自分もそのビジョンを実現したい」と思いはじめます。

この時点でこのビジョンは誰か一人のビジョンではなくその場の全員のビジョンに変わっていくのです。

しかも、4)ではビジョン実現に向けての現実的なアイデアが提示されるため「できたらいいな」という感情が「すぐにでもやりたい」という気持ちに変化し、実現意欲を掻き立てられます。

これが理屈よりも共感を重視した“ビジョナリープレゼンテーション”の構成です。

 

営業研修でプレゼンテーションのトレーニングを受けたことがある方は多いと思いますが、そのほとんどは「ソリューション営業」のプレゼンテーションの訓練になっています。

ぜひビジョナリーなこのスタイルを、営業の引き出しとして加えてみてください。

予期せぬ成果が期待できるはずです。

アルヴァスデザインの「ビジョナリープレゼンテーション」スキルトレーニングとは

アルヴァスデザインでは、この「ビジョナリープレゼンテーション」のスキルトレーニングを行う研修も提供しています。

・ビジョンを描く

・ストーリーを描く(プレゼンコンテンツをつくる)

・ビジョン・ストーリーを語る(プレゼンする)

 

という3段階に分け、実際にクライアント企業様が業務で使用するプレゼン資料も使用しながら、実践的なトレーニングを行うプログラムです。

ビジョナリープレゼンテーションによる「相手をポジティブに、ワクワクさせられる」「自分が気持ちよくなり、自信が出てくる」といった経験を通して、単なるスキルアップだけでなく、“苦手意識”から変えていけるような内容となっています。

(日本人は、プレゼンに苦手意識を持っている人がほとんど言われています・・・)

 

上位層から若手層まで、プレゼン相手が社内・社外どちらの想定でも効果を得られるプログラムとなっていますので、この機会に是非ご検討してみてください!

 

研修のご相談、お問い合わせはこちらから

 

 

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