ALVAS JOURNAL

時代が「インサイトセールス」に転換してきた代表的な事例とは

こんにちは、高橋です。

突然ですが、皆さんが牛乳会社の営業パーソンだとします。

牛乳全体の消費量が年々下落してきているので、何とか多くの人に飲んでもらいたいと考えています。

店舗での販売にも限界があるため、1軒1軒のお宅を訪問して牛乳を売っていくことになりました。ただし、牛乳自体は一般的な商品で、値段への裁量も多少あるとします。

訪れたお宅には男女問わず20代~50代の方が在宅しているとして、何と言ってそのお客様たちに対して牛乳をアプローチしていくでしょうか。

 

考えられるアプローチとして次のようなものがあるのではないかと思います。

・牛乳は手軽にカルシウムが取れますよ

・昔から飲まれていて健康にいいですよ

・牛乳を飲むと気分が落ち着きますよ

・お安くしておきますよ

 

皆さんも、ご自身の商材で同じようなアプローチをしていないでしょうか。

商品の性能訴求や情緒の訴求。

そして、価格の訴求。

しかし、こういったアプローチでは通用しない時代へ変わってきています。 

インサイトを捉えなければいけない

では、どのように変わってきているのでしょうか。
まずすべきは、いきなり商品を売り込むのではなく、お客様の話を聞かなければなりません。

先ほどの牛乳の売り込みの例で言えば、お客様に対して「牛乳はいかがですか」ではなく、好きな食べ物のことや食事でお困りのことなど、周辺の話を聞いていかなければなりません。

そこで、ある奥様が「パンが好き」と知った時に

「パンと牛乳って合いますよね。色々なパンに合う牛乳があるのですが、いかがでしょうか?」

とアプローチしたらどうでしょうか。

ある大学生の子が

「オシャレなクッキーにハマっている」と知った時に

「クッキーってたくさん食べると口のなかがボソボソして困りませんか?

クッキーにピッタリの牛乳があるのですが、いかがでしょうか」

とアプローチしたらどうでしょうか。

 

普通に売り込むよりも、お客様の反応も少しは変わってくるのではないかと思います。

実はこの話、米国で実際にあった事例なんです。
カリフォルニアの牛乳協会が、落ち込んでいる牛乳消費をなんとか上げたいとプロモーションを実施しました。
「牛乳は健康だ」「カルシウムが豊富だ」などと機能面を前に押し出したのですが、売り上げは変わりませんでした。

そこで着目したのが「インサイト」です。

インサイトとは、お客様が買い物をする際の

「購買意欲の核心やツボ」のことで、潜在化しているためなかなか見えにくいものです。

インサイトを発見して潜在ニーズを捉えよう

そこでカリフォルニアの牛乳協会は、消費者にヒアリングをしていったところ

「牛乳が無いと困ってしまうシーン」としてパンを食べる時やクッキーを食べる時があることを発見しました。

そこで、そのようなシーンと一緒に「got milk?」(ミルクある?)というコピーを添えたポスターを街中に展開していったのです。

「牛乳を家にストックしておけばクッキーやパンを食べる時に困らない」

ということを世間に印象付けていった結果、スーパーに寄った際に牛乳を手に取る人が増えていったのです。

「こんな時に牛乳が無いとつらいんだよな」
というインサイトを捉え、このアプローチは大成功して牛乳の消費量が激増しました。

そしてこの動きは、カリフォルニア州だけでなく全米に広げられ長期間にわたって続いたのだそうです。

では、なぜ機能面のアピールではなく「インサイト」が重要になってきたのかと考えてみますと、背景として「市場の成熟」が挙げられるかと思います。

モノが溢れている現代は、単純に「モノ」として欲しいものが無くなってきています。

つまり、顕在化されたニーズというのは分かりにくいのです。

「人が欲しいと思うもの」を掘り起こさなければなりませんので、インサイトの発見が必要になってきたのです。

ですから、現代の営業パーソンがやるべきは、

「インサイトを発見するためのトレーニング」だと言えます。

専門の研修などでヒアリングスキルを培って、潜在ニーズを捉えていくような動きが重要になってくるのではないでしょうか。

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