こんにちは。石井です。

全４回に渡り、渋沢栄一の書籍をご紹介しています。

第一回：国富論　実業と公益

第二回：徳育と実業　錬金に流されず→今回のコラムはこちら！

第三回：立志の作法　成功失敗をいとわず

第四回：先見と行動　時代の風を読む

今回は、第二回として「徳育と実業」をお伝えします。

名著「論語と算盤」のタイトルが示すように、渋沢栄一は「論語」に重きを置いて事業を進めてきました。本著では、その考え方と渋沢栄一の言動が詳しく書かれています。

マネジメントの父と呼ばれているピーター・F・ドラッカーは、渋沢栄一のことを尊敬していたことは有名ですが、渋沢栄一に対してはこのような言葉を残しています。

私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は“責任”にほかならないということを見抜いていた。

さて、私たちは渋沢栄一から何を学ぶことができるのでしょうか。

1. 渋沢栄一という人物

日本資本主義の父と言われている渋沢栄一は、1840年に現在の埼玉県で生を受けます。裕福な農家の家系であり、渋沢栄一も若かりし頃は、農業に勤しむことになります。

その後、渋沢栄一は上京し、一橋家の家臣として武士となりました。そこで、渋沢栄一に大きな影響を与えたのが徳川慶喜（15代将軍）です。

徳川慶喜が将軍になると、幕臣（将軍を直接支える武士のこと）になります。1867年に開催されたパリ万博では、将軍の代わりに出席し多くのことを学び、日本に持ち帰ることになります。

帰国後、大蔵省で仕事をし、その後は銀行の設立や多くの株式会社の創設に携わりました。

驚くべきことは、創設した会社の多くがいまだに存続していることです。

このような功績が高く評価され、2024年より新一万円札の肖像画となることが決定しています。

2. 論語とは？

論語とは、孔子とその弟子たちの問答集を記録した書物です。この書物を小さい時から愛読し、自身の生き方の核にそえ、多くの事業を生み出した人物が渋沢栄一です。

著作「論語と算盤」にもあるように、「論語」にいかに重きを置いていたのかがわかります。

本著によると、

論語は、「道理」を説く。

「道理とは、人が行くべき道、従うべき掟」である。

と書かれています。

この考えの元、渋沢栄一は、私利私欲の事業をせず、徹底的に道理や正義に従った事業を展開しました。

その事業の多くが、公利公益につながり、今でも多くの会社が存続しています。

3. 成功と失敗

多くの事業を成功させた渋沢栄一ですが、彼は、その成功におごることなく生き抜いた人物と言えます。まさに、道理に従った生き方と言えます。

渋沢栄一は、本著で失敗と成功について言及しています。

一時の成功や失敗などは長い人生、価値の多い生涯における泡のようなものである。しかし、この泡のようなものに憧れて目前の成敗だけを論じる者が多いようでは、国家の発展や進歩も思いやられる。

これだけ多くの事業を創出した渋沢栄一ですが、私利私欲がなく、自身の成功や失敗への執着心がないことがわかります。

私たちの仕事はどうでしょうか。とりわけ営業という職業における成功はなんでしょうか。お客様からの受注獲得でしょうか。売上の拡大でしょうか。

確かに、これらは事業継続の上では欠かせないことですが、例えばこれらが上手くいったとしても、成功におごることなく真っすぐな気持ちで進むことが大事なのではないでしょうか。

4. おわりに

いかがでしたでしょうか。

本日は、渋沢栄一の「徳育と実業」をお伝えしました。

「論語」に重きを置き、自身の事業を進めてきた人物が渋沢栄一です。私利私欲に固執することなく、多くの事業を日本に残し、近代日本を創り上げた渋沢栄一の気概は、本当に力強いものだったのでしょう。

私たち営業パーソンにとっても、この渋沢栄一の考え方は多くの学びになると思います。

目標数字に追われ、つい目先の成功ばかりに気を取られてしまうことがよくあるのが営業職です。

もちろん、数字を達成することは大切ですが、それに一喜一憂することなく、お客様にとっての価値貢献はなにか、社会にとっての貢献はなにかをしっかり考え抜き、日々営業活動をしていきたいものです。

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