陽明学のすすめ~人間学講話「河井継之助」~(深澤賢治著 2013年 明徳出版社)~陽明学を活かして改革を起こす~
こんにちは、石井です。
本日は、「陽明学のすすめ」というシリーズ本(計8冊)の第四回目です。
早速ですが、陽明学という学問を聞いたことはありますか?
陽明学とは、中国の明代に、王陽明という人物がおこした学問の1つです。
この学問は、時代を経てもなお、多くのビジネスパーソンに愛読されています。特に、陽明学からの学びを経営に活かして大活躍されている方も多いと言われています。
今回は、「陽明学のすすめ」シリーズの第四回として、人間学講話「河井継之助」をお伝えします。
第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」
第四回:人間学講話「河井継之助」←今回はこちら
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」
目次
1. 河井継之助という人物
河井継之助氏は、1828年に長岡で生を受けました。
現在の新潟県長岡市です。
1868年にわずか享年42歳でこの世を去りますが、その間に多くの功績を残しました。
特に、藩政改革や北越戊辰戦争では中心人物として活躍しました。
河井継之助氏は、短い生涯でしたが、王陽明を信奉しました。
また、前回第三回目でご紹介した山田方谷氏の弟子にあたります。
河井継之助氏が陽明学をどのように学び、それを実践したのかを見ていくことにしましょう。
2. 陽明学と立志
本著によると、河井継之助氏は17歳のときに王陽明を祀り、立志を誓ったとされています。
この時から、36歳くらいまでの間はとにかく自己研鑽を続ける生活を続けていたそうです。大変長い期間ではありますが、この期間での深い学びが、後の活躍につながっていることは、想像に難くありません。
前述した通り、河井継之助氏は山田方谷氏に師事することになります。
河井継之助氏の学びのスタイルは、多読よりも精読で、書物を書き写すことで自身の血肉にしていったそうです。しかし、どうしても実践に紐づけることが難しいと感じ、山田方谷氏の門を叩いたと言われています。
山田方谷氏も、河井継之助氏の才能を認め、はれて師弟関係となったわけです。
河井継之助氏は、陽明学を代表する「事上磨錬」「知行合一」「致良知」を深く学んだとされています。こちらの3つの言葉をさらに知りたい方は、こちらのコラムで紹介しています。
>経営講話「抜本塞源論」
3. 藩政改革と北越戊辰戦争
河井継之助氏が起こした改革は、数多くあります。
実際に、本著でも「意識改革」「財政改革」「行政改革」「政治改革」「教育改革」「軍事改革」と6つの改革が紹介されています。
今回は、その改革の中でもとりわけ3つに絞ってご紹介します。
■その1:意識改革
河井継之助氏は、北越戊辰戦争の中心人物ですが、戦争の前に数多くの改革を実施しました。はじめに取り掛かった改革が、「意識改革」と言われています。
これは、当時「刀・剣・槍」が一般的な武器であった兵士に対して、「大砲・鉄砲」を使うことを当たり前にした意識の改革です。
この背景には、「刀・剣・槍」だけでは諸外国との戦争になった際に勝つことができないという判断があったとされています。
歴史を見ると、「刀・剣・槍」から「大砲・鉄砲」への転換はよく聞きますが、攻撃のスタンスを切り替えることは容易ではありません。それに伴う、戦略の変更も伴いますし、何より兵士の士気を高めなければなりません。
当然ながら、河井継之助氏への反対者が出て、暗殺されかねない事態も起きたようです。しかし、河井継之助氏の強い丹力によって、意識は徐々に改革されていったのでした。
■その2:教育改革
教育は、全ての基であると言っても言い過ぎではありません。改革を実行するにも、長い年月をかけて教育を実行していくことが必要不可欠です。
河井継之助氏は、「寄宿舎制度」を作りました。
これは、江戸に宿舎を作り、優れた人物を学びに行かせる制度です。
今では、大学で上京することや、海外に留学することは一般的になりました。しかし、当時このような制度を作り出すことはとても稀だったようです。
当然、宿舎を作ることや運営することはお金がかかります。
お金を投資してでも、優秀な人物を教育によって生み出していく彼の気概を感じます。
教育は時間がかかるものですが、やるとやらないとでは大きな違いが生まれます。教育体制を整え、じっくり人物を育て上げる姿勢を当時から持っていた河井継之助氏は、とても先見性があると言えるのではないでしょうか。
■その3:軍事改革
北越戊辰戦争で活躍した河井継之助氏ですが、軍事改革の1つとして「ガットリング砲」をフランスから2機購入したとされています。
当時、日本では「ガットリング砲」は計3機しかなかったようです。つまり、2機は河井継之助氏が購入しており、残る1機は幕府が購入したようです。
当時では、世界最先端の攻撃能力を持った兵器であり、180発連射できる能力を保持していたそうです。
当時から、諸外国を意識していたことはポイントの1つですが、意識していただけでなく、実際に兵器の購入まで実行したことは、河井継之助氏の実行力そのものです。
実行してこそ本当の知であるというのが、陽明学でいう「知行合一」であり、まさに河井継之助氏は、これを実行してきた人物と言えるでしょう。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、第四回として河井継之助氏について、また彼が実行した改革についてお伝えしました。
河井継之助氏が実行した数々の改革から、どのように陽明学を活かしたのかを学ぶことができます。本著では、6つの改革に対してそれぞれ詳しい解説が載っているため、ぜひチェックしてみてください。
これからも、「陽明学のすすめ」シリーズでは、実際に陽明学を活かしてビジネスを成功させた方々の本をご紹介します。
陽明学を活かして、良いビジネスを創り出していきましょう。
次回は、第五回:人間学講話「渋澤栄一」です。
第一回:経営講話「抜本塞源論」
第二回:人間学講話「安岡正篤・六中観」
第三回:山田方谷「擬対策」
第四回:人間学講話「河井継之助」←今回はこちら
第五回:人間学講話「渋澤栄一」
第六回:人間学講話「三島中洲・二松學舍創立者」
第七回:人間学講話「佐藤一斎」
第八回:人間学講話「中江藤樹」
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。