【エッセンシャル版】マネジメント基本と原則③(ダイヤモンド社 2001年 P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳)~戦略計画とは?~
こんにちは、石井です。
現在、複数回にわたって、P・F・ドラッカーの「エッセンシャル版 マネジメント基本と原則」を取り上げています。
本日は第三回目として、「戦略計画」について考えていきます。
ドラッカーのマネジメントは、ややアカデミック性が高く、現場で応用するには一定の障壁があると考えられていることもあります。
そこで今回は、ドラッカースクールを卒業生である藤田勝利氏の著作「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)」も参考にしながら読み解いきます。
第1回:マネジメントの基本と原則とは?
第2回:企業の目的とは?
目次
1. 企業の目的とは?(前回のあらすじ)
ドラッカーは、企業の目的を「顧客を創造すること」としています。
「ドラッカースクールで学んだ本当のマネジメント(日経BP 2021年)」の著者である藤田勝利氏は、顧客の創造とは”to create a customer”であり、”to create customers”ではないことを強調しています。
つまり、不特定多数の顧客を創り出すということではなく、一人の顧客を創り出すことを大切にしていることが伺えます。
企業の目的を達成するための機能は、「マーケティング」と「イノベーション」です。
ドラッカーが「マーケティング」において強調していることは「顧客起点」であり、分析に頼りすぎることなく、「顧客の声に耳を傾けること」を重視しています。
「イノベーション」とは、何か大きな発明だけを指すのではないことが示されています。イノベーションとは、顧客の新しい満足を創造する行為だからです。
2. 戦略計画とは?
さまざまな組織が戦略を検討し、その計画を立てます。ドラッカーは、その戦略計画に対して、印象的な言葉の数々を残しています。
私たちは、未来を見据える際に空想的なことを考えがちです。確かに、Visionを創り上げる際にはクリエイティブな発想やアイデアの捻出が必要だと思います。
しかし、これらの創造的な考えと「戦略計画」は異なります。
ドラッカーは、
「いま意思決定をしなければならない」
「戦略計画とは予測ではない」
「不確実な明日のために今日何をなすべきか」
という言葉を残しています。
私たちは、誰しもが将来に起こることを正確に把握することができません。
そのため、将来の意思決定について話をしても意味がないわけです。大切なことは、ありたい将来の姿に近づくために、「いま」すべき意思決定は何かを検討することです。
例えば、営業組織においても目指すべき営業組織像や営業パーソンの姿があるはずです。これらを実現するために、リーダーはどのような意思決定をすべきかを考えるべきなのです。
将来の望む姿をVisionとして語り、メンバーを動機づけすることに加えて、それらを実現するために必要な意思決定とは何かに目を向けることも非常に重要なのではないでしょうか。
3. セルフマネジメントとの接点の考察
最後に、セルフマネジメントとの関連も考えてみましょう。
マネージャーは、戦略を構想することも、それらを計画的に実行することも仕事の1つですが、それを根幹で支えているのは「自分という資源」です。
つまり、自分をマネジメントすることが、戦略計画の第一歩であるということもできます。
ドラッカーは、「セルフマネジメント」に関して多くの名言を残していることも有名です。
You can not manage other people, unless you manage yourself first.
(自分自身をマネジメントできない限り、他者をマネジメントすることはできない。)
Remember who you are. Take your responsibility.
(あなたは誰かを思い起こしなさい。そして、それに対して責任を取りなさい。)
戦略計画を個人の成長にあてはめて考えてみましょう。
私たちは、「自分」という経営資源を活かすために、どのような戦略的計画ができているでしょうか。
「こうなったらいいな。」「こんな人みたいになりたい。」という将来の理想像を持っている一方で、いまやるべきことにどのくらいフォーカスできているでしょうか。
ドラッカーの戦略計画における、「いま意思決定すべき」という印象的な言葉は、私たちが自分をマネジメントする上でも大切な問いかけをしてくれているように感じます。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか?
本日は、ドラッカーのマネジメントにおける戦略計画を考えてみました。
私たちが、将来のありたい姿を実現するために必要なことは、「いま」に目を向けることです。将来のために、「いますべき意思決定は何か」ということを考え、実行していくべきなのです。
次回は仕事の生産性を考えていきましょう。
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石井 健博
ブランドマネージャーとして、マーケティングを担当。
営業・リベラルアーツ・マネジメントなどのコラムを発信中。
趣味は、読書・英語学習・ラグビー。5歳息子のパパ。