理念経営2.0~会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ~ (佐宗 邦威著 2023年 ダイヤモンド社)新時代の理念の捉え方を紐解く
こんにちは。松下です。
本日は、「理念経営2.0」をご紹介します。
本書は、ソニー、オムロン、クックパッドなど様々な企業・組織のイノベーションやプランニングの支援を実施し、各社の理念経営の策定に向けて伴走をし続けてきた佐宗氏が、『21世紀の「理念経営」の在り方とは何か?』についてまとめた一冊です
企業の中で生き続ける「理念」という存在をベースに据えた経営が、時代の変遷とともにどのように変わってきたのか?
21世紀はどのような理念経営が求められているのか?そんな事柄が分かりやすく解説されています。
日々、多くのお客様企業と関係構築をすることが必須の営業パーソンにとって、お客様の「理念」に触れる機会は少なくないと思います。そのため、知っておくと役に立つ内容が満載です。
本日は、その中から特に役立ちそうな内容を3つに絞って取り上げます。
目次
1. 理念経営2.0とは?
まず、本書のタイトルにもある「理念経営2.0」についてご紹介します。
「理念経営2.0」とは、著者が名付けた21世紀の「理念経営」のあり方です。
前時代の「理念経営1.0」と比較し、書籍の中で以下のような記載をしています。
「社長の誓い」としての理念経営を植え付けていく経営スタイルが理念経営1.0であるとすれば、あくまでも「みんなの価値創造の物語を生むためのソース」として企業理念を位置づけていくあり方は理念経営2.0と呼ぶことができるだろう。
いかがでしょうか?
これまでの時代は、創業者や組織の「答え=正解」を示す存在として「理念」があり、当たり前に浸透してきていたが、時代の経過とともに、それでは社員に響かなくなってきている…という変化を感じさせます。
その背景には、価値観の多様化があげられます。
いまや、「社長の価値観=組織の価値観」という常識が通用せず、多様化しているという事実を受け止め、常識をアップデートさせていく必要がありそうです。
2. 存在意義を問う
さて、そんな「理念」ですが、本書の冒頭で奥深さを感じた内容があったのでこちらもご紹介します。
それは、要約すると
「企業理念」を考える際には、「存在意義」を問わざるを得ない
という内容です。
「自分達はどういう存在であるのか?」
「なにを実現するための組織なのか?」
そのような問いと向き合って初めて、新たな企業理念が生まれる・・
本気で未来に向けて価値創造をしようとしている会社ほど、企業理念という課題にぶつかる。
そして、組織の存在が脅かされる「死」の匂いを感じた時に組織のDNAスイッチが入り、「自分達の会社には、どんな存在意義があるのか?」と本気で考え、何とか生きたいと渇望する・・
と筆者は言います。
理念経営2.0の常識に照らせば、その「理念」には働く個人の存在意義や働く意義も内包されるのではないでしょうか?
「理念」紐解くと、そこには、自社の存在意義のみならず、個人の働く意義までを問う必要があるのです。奥深さが見え隠れしますね。
そう考えると、営業パーソン自身が、個人の働く意義を認識すること、そして、その軸を持ちながらお客様と対話することは非常に重要になるのではないでしょうか。
そして、お客様企業の理念を深く捉え、伴走することは、これからの時代求められる事の一つかもしれません。
3. 理念を生み・育てる問い
最後に、理念を生み・育てる問いだてについて、書籍の中からご紹介します。
ビジョン:私たちは将来、どんな景色をつくり出したいか?
バリュー:私たちがこだわりたいことはなにか?
ミッション/パーパス:私たちはなんのために存在しているのか?
ナラティブ:私たちの会社はどこから来て、どこに向かうのか?
私たちは、なぜここにいるのか?
ヒストリー:私たちのいまをつくった原点は、どこにあったのか?
カルチャー:私たちの会社の「らしさ」とはなんだろうか?
エコシステム:私たちの理念を育てるためには、どんな仕組みが必要か?
(P60 序章より引用)
目の前の仕事に向き合ってる人ほど、普段は意識しない「問い」かもしれません。
そのため、誰かに問われて語ることで初めて認識することもあろうかと思います。
営業現場で、お客様の理念を引き出す際に役立つのはもちろん、自身の理念を捉える為にも役立ちます。是非、日々の現場で意識し問いを投げかけてみることをお勧めします。
4. おわりに
いかがでしたでしょうか。
本日は、「理念経営2.0 」をご紹介してみました。
新しい時代の理念の在り方、そして、理念を生み育てるための問いだてについてもご紹介しました。
目の前の仕事に忙殺されて、「なぜ、働いているんだっけ」「この仕事は何のためにやっているんだっけ」「この組織は何のために存在しているんだっけ」そんな感覚にふっとなる瞬間があれば、本書はそこから抜け出す一助になるはずです。
また、企業での行き詰まりを感じている、変革を行いたい方にもヒントとなる内容が多く含まれています。
今回は、ピンポイントでのご紹介となりましたが、各章ごとに理念づくりのために必要なポイントが分かりやすく明記されています。気になった方は是非ご一読ください。
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
keiko matsushita
株式会社アルヴァスデザイン・マーケティング担当。
大学卒業後、大手電機メーカーでシステム営業を経験。
2014年よりアルヴァスデザインへ参画。
旅と犬をこよなく愛する1児の母。