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<トップセールスの本棚>1分で話せ(伊藤羊一 著 2018年 SBクリエイティブ)~世界のトップが絶賛した、シンプルに伝える技術~

こんにちは。根建です。

 

本日は、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長などを務める伊藤羊一氏による『1分で話せ』をご紹介します。

著者の伊藤氏は、かつてソフトバンクアカデミア(孫正義氏の後継者を育てる場)に所属し、孫氏へのプレゼンを重ねる中で、国内CEOコースで年間1位の成績を収めた経験を持つ方だそうです。

タイトルの『1分で話せ』には、単に短く話そう、という以上の意味が込められています。本書は「1分で話せないような話は、結局どんなに長くても相手には伝わらない」という考えを出発点にしています。

営業活動において、お客様との時間は限られています。その中で要点を的確に伝える力は、商談の成否を分ける大切なスキルなのではないでしょうか。

本記事を通じて、「短く、わかりやすく、人を動かす」話し方のヒントをお届けします。

目次

1. まず「結論」から話す

本書がもっとも大切にしているのは、結論から話す、という姿勢です。

日本語の会話では、背景や状況の説明から入り、最後にようやく結論にたどり着くことが少なくありません。しかしビジネスの場面では、その順番がかえって相手の関心を遠ざけてしまうこともあります。

本書は、「結論」を一番上に置き、その下に「根拠」を並べる、ピラミッドのような構造で考えることを勧めています。

聞き手は、まず結論を知ることで、これから何の話を聞けばいいのかという心の準備ができます。そのうえで根拠を聞くからこそ、話がすっと頭に入ってくるのです。

例えば、お客様から「結局、どのプランがいいの?」と尋ねられた場面を考えてみます。ここで「まず各プランの特徴をご説明しますと…」と前置きから入ると、お客様は知りたい答えになかなかたどり着けず、もどかしさを感じてしまうかもしれません。

一方で、「おすすめはBプランです。理由は3つあります」と切り出せば、お客様は結論を受け取ったうえで、安心して理由に耳を傾けてくれます。

何を伝えたいのかを、まず一言で。この順番を意識するだけで、話の伝わりやすさは大きく変わってくるのではないでしょうか。

2. 根拠は「3つ」に絞る

次に本書が説くのは、根拠を欲張らない、ということです。

伝えたいことがたくさんあると、私たちはつい根拠をいくつも並べたくなります。しかし本書では、根拠は3つを目安に絞るとよいと言います。

理由は単純で、人はたくさんの根拠を一度に並べられても、すべては覚えきれないからです。数を絞ったほうが、一つひとつが相手の記憶に残りやすくなります。

本書では、「理由は3つあります」と前置きして指を3本立てると、聞き手は自然とメモを取り始める、という話も紹介されています。

例えば、新しいサービスを提案するとき、メリットを思いつくままに10個並べても、お客様の印象には何も残らないことがあります。

一方で、「御社にとっての価値は、コスト・スピード・安心の3つです」と絞って伝えれば、お客様はその3つを軸に検討を進めてくれます。

絞ることは、情報を減らして物足りなくすることではありません。相手の記憶に確実に残すための、思いやりのある工夫なのです。

3. 人は「正しい」だけでは動かない

三つ目にご紹介するのは、人を動かすために必要な、もう一つの要素です。

ここまで見てきた「結論」と「根拠」は、いわば理屈の部分です。本書は、それだけでは人は動かないと言います。

伊藤氏は、ロジックで左脳に働きかけ、イメージで右脳に働きかけることで、はじめて人は動く、と説いています。正しさを示すだけでなく、相手の頭の中に具体的な情景を思い描いてもらうことが大切なのです。

そのための鍵になるのが、「たとえば」という言葉です。抽象的な主張に具体例を添えることで、相手は話を自分のこととして思い描けるようになります。

例えば、「このツールは業務を効率化します」とだけ伝えても、お客様の心はあまり動きません。

一方で、「例えば、毎週金曜の夜に残っていた集計作業が、ボタン一つで終わります。定時に帰れる金曜日を想像してみてください」と伝えると、お客様は自分の働き方が変わる様子を思い描きやすくなります。

正しいことを、わかりやすく、そして相手が思わず動きたくなるように。本書は、その3つがそろってはじめて「伝わる」のだと教えてくれます。

4. おわりに

いかがでしたでしょうか。

『1分で話せ』は、日本人が苦手としがちな「簡潔に伝える」というスキルを、具体的で実践しやすい形で示してくれる一冊です。

まず結論から話す。根拠は3つに絞る。そして、ロジックだけでなくイメージで相手の心を動かす。本書が伝えるこれらの考え方は、プレゼンの場面だけでなく、日々の商談や報告など、あらゆるコミュニケーションに活かせるのではないでしょうか。

私自身、お客様に価値を伝えようとするあまり、つい説明が長くなってしまうことがあります。しかし本書を読んで、「話す量」と「伝わる量」は比例しないことを改めて認識しました。特に研修提案では、カリキュラムの詳細を説明する前に、「この研修で何が変わるのか」という結論を先に伝えることが重要だと感じています。まだ十分に実践できているとは言えませんが、本書は私にとって「話し方の技術書」であると同時に、自分自身のコミュニケーションを見直すための一冊となりました。

本記事ではご紹介しきれませんでしたが、本書には、結論の決め方や、緊張を乗り越えて人前で話すためのメンタルの整え方など、すぐに役立つヒントが数多く詰まっています。

明日の商談で、最初の一言を「結論」から始めてみる。その小さな一歩が、伝わる話し方への入り口になるのかもしれません。

本記事が、短く、わかりやすく、人を動かす話し方を考えるきっかけになれば幸いです。

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〇トップセールスの本棚とは?
【毎週月曜日配信】営業担当者なら読んでおきたい一冊を、毎週厳選してご紹介しています。
営業スキルに直結するものから、視野を広げてくれるものまで幅広くセレクト。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。

根建 良司

大学卒業後、医療業界に長く従事。その後、組織マネジメントに携わったのち、営業コンサルにも興味を持ち、現職に至る。好きな言葉は、ある物語に登場する大旦那の一言。「人間なんてものはな、無駄なことがしたいがために、普段から額に汗して働くんだ」。

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