<トップセールスの本棚>チームが自然に生まれ変わる「らしさ」を極めるリーダーシップ(李英俊・堀田創 著 2021年 ダイヤモンド社)~人は「モチベーション」では動かない~

こんにちは。荻原です。
本日のトップセールスの本棚は、インタビュー形式でお届けします。
インタビューに答えてくださったのは、現役プロデューサーとして活躍中の池田さんです。
営業に役立つ一冊として「チームが自然に生まれ変わる『らしさ』を極めるリーダーシップ」をご紹介いただきました。認知科学にもとづいて、人や組織が主体的に動き出す仕組みについて触れています。
是非、ご一読ください。
目次
1. 「『チームが自然に生まれ変わる』との出会い」

荻原:本日はよろしくお願いします。はじめに、池田さんがおすすめする本について簡単にご紹介をお願いします。
池田:私がご紹介するのは『チームが自然に生まれ変わる「らしさ」を極めるリーダーシップ』という本です。認知科学の視点から、「人や組織はどうすれば主体的に動くようになるのか」を解説した一冊です。
著者はお二人で、マインドセット株式会社の代表としてリーダー向けのエグゼクティブコーチングをされている李英俊さんと、AI企業である株式会社シナモンの共同創業者で、工学博士でありAI研究者でもある堀田創さんです。
荻原:認知科学からのアプローチなのですね。しかも人にも組織にもフォーカスしているのが面白そうです。この本とはどのように出会われたのですか?
池田:きっかけはYouTubeでした。著者のお一人である李英俊さんが、人材育成やマネジメント、組織づくりといった難しいテーマをとても分かりやすく解説されていました。難しいことを現実の場面に置き換えて伝えてくださるので、こういう方が書く本はどんな内容なんだろうと興味を持ったのが出会いです。
荻原:YouTubeで先に著者を知って、それで本を手に取ったのですね。
池田:はい。認知科学の知見を、日常やビジネスの場面に結びつけて説明されていたので、本の内容にも興味を持ちました。
荻原:それは期待が高まりますね。
2. 「モチベーションは幻想である」

荻原:では、本書の中で特に印象に残った内容を教えてください。
池田:一番印象に残ったのは、「モチベーションは幻想である」という考え方です。
荻原:モチベーションは、幻想ですか。
池田:はい。ここで言う「モチベーションは幻想」とは、やる気そのものが存在しないという意味ではなく、「やる気を直接高めれば人が動く」という考え方が誤解である、という意味です。
リーダーの方の多くは、どうすればチームのモチベーションを高められるかで悩むと思います。しかし、この本では、「モチベーションが高いから人は動く」という考え方が、そもそもおかしいと言い切っています。
荻原:なるほど。それはどういうことなのでしょう。
池田:かつて高度経済成長期のような時代は、評価や昇進、昇給といった外部からの働きかけで人を動かそうとしていました。しかし、今は、いわゆるVUCAの時代と言われるように、人の価値観が本当に多岐にわたっています。
そのため「早く出世したい」というような画一的な外的要因だけでは、人は動きにくくなっている。人を動かす力が、外的要因から内的要因へと変わってきているそうです。
荻原:たしかに、今の時代に合っていますね。
池田:その考え方の土台になるのが「内部モデル」というものです。内部モデルとは、その人が持つ価値観や信念、経験によって形づくられる「ものの見方」のことです。
本の中ではケーキの例が出てきます。お店でケーキを見つけたとき、人はケーキを見たから買うわけではなくて、頭の中で「太るかもしれない」「値段が高いな」「でも食べたら幸せそう」といったいろんな情報を無意識のうちに処理して、その結果として買う・買わないという行動を選んでいるということです。
荻原:出来事そのものではなく、その出来事をどう解釈したかで行動が決まる、ということですね。
池田:まさにそうです。仕事でも同じで、難しい仕事を任されたときに「成長のチャンスだ」と思う人もいれば、「面倒だな」と思う人もいる。これは能力や根性の差ではなく、内部モデルの違いによるものだと書かれています。だからこそ、人を変えようとするなら、外から「もっと頑張れ」と叱咤激励するのではなく、その人の内部モデルそのものを変えるきっかけをつくることが大切だ、というのが本書の主張です。
荻原:非常に興味深いですね。
3. 「人を内側から動かす『ゴール』と『エフィカシー』」

荻原:では、その内部モデルはどうすれば変えられるのでしょうか。
池田:本書では、内部モデルを変えるためには、「ゴール」と「エフィカシー」の二つが重要だとされています。
まず大切なのが「ゴール」です。ただ目標を立てればよいわけではなく、条件が二つあります。一つは、自分自身が心から実現したいと思えるものであること。本書では、これを「真のWant to」と表現しています。もう一つは、今の自分の延長線上ではなく、「現状の外側」に設定されていることです。
荻原:現状の外側、ですか。
池田:はい。今の自分でも達成できる方法が想像できてしまうと、これまでと同じ考え方や行動の延長で到達しようとするので、内部モデルが変わりません。だから、あえて現状の外側にゴールを置くことが重要だとされています。
考え方を変えなければ届かない場所にゴールを置くからこそ、内部モデルが変わっていくそうです。
荻原:自分の認識の範囲内でゴールを設定してしまうと、今のやり方で届いてしまうから、変わる必要がない、ということですね。
もう一つのエフィカシーというのは何でしょうか?
池田:エフィカシーは、一般的には「自己効力感」と言われるものです。「自分たちならできる」「必ず達成できる」という確信ですね。大事なのは、これが他者評価ではなく自己評価だという点です。やったこともないし、どうなるかも分からない。それでも自分ならできると確信している、という状態です。
荻原:誰かに励まされて一時的に前向きになるのではなく、自分の中で「できる」と思えていることが大事なのですね。
池田:はい、まさにそうです。面白いのが、人はエフィカシーが高いから行動するのであって、行動したからエフィカシーが高まるのではない、と書かれている点です。これまで経験したことのない挑戦であっても「自分たちなら実現できる」と信じ切れている状態。誰かに「あなたはできるよ」と言われることではなく、自分自身がそう確信できることが重要だとされています。
荻原:このゴールとエフィカシーの二つがそろうと、人は主体的に動き出すということですね。
池田:そうです。最高のチーム、一人ひとりが自主的に動いていくようなチームは、圧倒的なエフィカシーから生まれる、と書かれていました。
4. 「現実だけを見ていても、変化は生まれない」

荻原:池田さんが、この本を読んで特に気づきになった点や、明日から取り入れてみたいと思った観点はありましたか。
池田:「現状の外側」という言葉に対して、最初は理想論というか、少し夢見がちなイメージを持っていたんです。でも読んでみて、変化を生み出すためには、現実だけを見ているのでは不十分なんだと気づきました。人や組織が本当に変わるには、理想やゴールを描くことが必要なんだと。
荻原:それは深いですね。終わりを思い描くところから始める、という『7つの習慣』の話にも通じますね。
池田:通じると思います。私たちはつい「どうすればやる気を出せるか」「どうすれば人をやる気にさせられるか」という視点で考えてしまいがちです。
でも大切なのは、やる気を高めることそのものよりも、その人が心から実現したいゴールを持てているか、そして自分にはできると信じられているか。これは自分自身に対しても、メンバーに対しても言えることだなと感じました。
荻原:人に何かを求める前に、まず自分から、ということですね。
池田:そうですね。本書でも、リーダーやマネージャーがまず最初に、エフィカシーが高くてゴールもしっかり描けている状態を持つべきだと書かれています。外的な要因で「もっと頑張れ」と説得するのではなく、その人が本当にやりたいこと、真のWant toを持って、それを実現できると信じられる状態をつくる。それがリーダーの役割だということです。
荻原:ちなみに、ここで言う「外側」とは、どこまでの外側を指しているのでしょうか。
池田:本書では、スティーブ・ジョブズの例が挙げられていました。ジョブズは、誰もが不可能だと考えるような事柄であっても、周囲の人に「ひょっとしたら達成できるかもしれない」と思わせてしまう天才だった、と。たとえば売上目標を掲げて、周りが「いや、無理でしょう」と思っても、リーダーが高いエフィカシーを持って「絶対に出来る」と語り続ける。すると、チームのメンバーもそれに影響されていくのです。
荻原:明るい未来を見せ続けられると、なんだかいける気がしてくる、ということですね。
池田:まさに、その通りです。
5. 「どんな人におすすめか」

荻原:最後に、この本はどのような方におすすめですか。
池田:チームを率いる立場の方や、人材育成・マネジメントに関わる方には特におすすめです。また、なぜ人は主体的に動くのか、どうすれば組織の主体性を高められるのかを考えたい方にも、多くの学びがあると思います。役職や年齢を問わず、何か変化のきっかけが欲しい方にも響くはずです。
荻原:人を変えようとするのではなく、まずは自分が変わるという観点ですね。
池田:そうですね。人を変えようとするのではなく、人が自ら動く環境をつくっていきたい。そう思っている方には、学びの多い一冊になると思います。
荻原:明日から実践するとしたら、最初の一歩は何になるでしょう。
池田:まずは自分自身が、現状の外側にゴールを置いてみることだと思います。今のやり方の延長では届かない、でも心から実現したいと思えるゴールを描いて、「自分ならできる」と信じてみる。リーダーがその状態を持つことから、チームの変化は始まるのだと思います。
荻原:まずは自身が、「自分はどんな未来を実現したいのか」を描くことが大切なのですね。他人を変える前に、自分が前向きに進める状態をつくることから始める。営業チームを率いる方にとっても、大きなヒントになりそうです。本日は、とても興味深いお話をありがとうございました。
池田:ありがとうございました。
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【毎週月曜日配信】営業担当者なら読んでおきたい一冊を、毎週厳選してご紹介しています。
営業スキルに直結するものから、視野を広げてくれるものまで幅広くセレクト。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。
荻原エデル
社内では、デザイン関係や営業支援をメインで担当しています!最近は動画編集も始めました。
趣味は筋トレ、空手、映画鑑賞、読書。インドア人間です。
池田優梨香
宮城県出身。2026年4月アルヴァスデザイン入社。
趣味はジム、旅行、読書。心休まる時間の確保を大切にしています。

