日本人の宿題(半藤一利著・保坂正康解説 2022年 NHK出版新書)~歴史から営業のあり方を考える~
こんにちは。石井です。
今回は、歴史に関わる「日本人の宿題」という本を通じて、営業について考えてみたいと思います。
今では、戦争経験者が減っていく一方ですが、私たちは人々が創り出した歴史というものから学び、今日と未来のより良い社会を生み出す必要があります。
1. 歴史を学ぶ意義
半藤一利氏によると、
「歴史というのは、要するに、人間がつくるもの。つまり、人間を学ぶことが歴史なんです。(一部省略)」
と述べています。
歴史は、人間一人ひとりが過去にどのような意思決定をして、行動してきたかの積み重ねです。
私たち営業パーソンも、日々営業現場でさまざまな意思決定に遭遇します。そして、意思決定に基づき行動を重ねています。
特に、お客様とのやり取りの先頭に立つ営業は、時に大きな意思決定を迫られることもあるでしょう。そんなときに、過去の人たちはどのような意思決定をしてきたのか、そしてどう成功して、どのように失敗してきたかという教訓は、とても意味のあるものになるのです。
2. コンペ勝利の罠
営業パーソンにとって、商談の勝ち負け、つまりコンペに勝つかどうかは重要です。商談で他社に勝つかどうか、受注できるか否かは営業の生命線とも言えます。
そんな営業パーソンにとって、コンペでの勝利はかけがえのない喜びをもたらすこともあります。私も、受注したときの喜びは、何にも代えがたいものであると感じます。
しかし、半藤一利氏の書籍での言葉を目にした際に、コンペ勝利の罠を感じました。
半藤一利氏は、
「(戦争に)勝ったという経験は、人間を反省させないし、利口にもさせない。」
と述べています。
営業パーソンにとって、受注を積み重ねることで出来上がる成績は、年数を重ねるごとに輝かしいものになっていくかもしれません。トップセールスと呼ばれている方々は、90%以上コンペ勝利をしているとも聞きます。
しかし、そこで何かを学び、何かに貢献しようとして行動を見つめなおしているでしょうか。つい、「またコンペに勝てば良い!」というように、コンペ勝利が目的になってはいないでしょうか。
3. 無関心であることの弊害
半藤一利氏によると、PCやスマートフォンの怖いところは、「自分の関心のあるテーマだけを閲覧するようになる」ということだそうです。確かに、日々レコメンドされてくるものは、自身の興味や関心にそったものばかりです。
そして、このような生活が続くと「自分の興味や関心のあるものだけが、自分の価値基準を作り、それ以外の価値は認めることができない人間になる可能性」を秘めているのです。
前章でお伝えしたように、コンペ勝利をすることで営業は盲目的になることがあります。現代のネット社会が、さらにこれらに拍車をかけてしまう可能性があるのです。
4. 思考の枠を広げる
過去に、どのような人たちがどのような意思決定をすることで、今日ができあがったのかを学ぶことで、私たちは未来を創ることができるようになるのです。
半藤一利氏は、昭和時代の歴史家ですが、本書において
「あそこ(昭和)だけ違う時代だからいいんだ、というわけにはいかない。これは歴史ですから、ずっと繋がってきている。(一部省略)」
と述べています。
私たちは、縦の関係で歴史を学び、そしてこれからの社会に繋げていく存在なのです。そのためにも、お客様と先頭に立ってビジネスを創造していく営業が歴史を学ぶ意義は大いにあると言えそうです。
5. おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、歴史に関する書籍から営業について考えてみました。
歴史を学ぶことで、私たちは思考の枠を広げることができます。日々、さまざまな意思決定をする必要がある営業にとって、歴史を学ぶことで活かせることは多いにあると言えます。
まずは、歴史に関する書籍を手にしてみる、もしくは自社の歴史について調べてみるというのも良いかもしれません。
そして、これからの未来は私たち営業パーソンが歴史を創出していくことになるのです。ぜひ、未来に向けて事業の核を創り出す営業活動をしていきましょう。
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営業におけるスキルのみならず、幅広い視点から営業を捉えていたりもします。
ぜひ、営業パーソンにとどまらず様々な職種の方にも読んでいただきたいです。